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ニューモデル 2018.7.5

ヤナセ・クラシックカー・センター開所 百年企業が示す価値ある旧車の創造とは

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もくじ

ー クラシックカーを走らせ続けるための専門工場をヤナセが設立
ー 「ヤナセ物」消費の時代にヤナセがレストアをする意義とは
ー クラシックカーガレージとしてのテュフ認証を取得
ー ヤナセの本気と底力を感じさせる、広大なボディファクトリー
ー 膨大な量のATミッションをOHする、ヤナセ随一の特殊部隊

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クラシックカーを走らせ続けるための専門工場をヤナセが設立

6月22日に横浜市都筑区のヤナセオートシステムズ横浜ニューデポーで「ヤナセ・クラシックカー・センター」の開所式が執り行われた。

同センターはその名の通り、クラシックカーの修理やメンテナンス、リコンディションやレストレーションといったサービスを提供するための専門工場で、2018年4月より稼働を開始していたが、このたび世界的な第三者検査機関テュフ・ラインランドのクラシックカーガレージ認証を取得したことと合わせて、関係者や報道陣を集めてのお披露目の場を設けた。

会場には同社が保有する車両や顧客から託されたプロジェクトカーが展示されていたが、いわゆる「クラシック」と呼ばれる60年代以前のモデルだけではなく、W124やR129など、80~90年代の「ヤングタイマー」までが含まれているのが、近年の旧車ブームを感じさせるところだろう。

関係者によるテープカットの後、ヤナセ代表取締役社長の井出健義氏が挨拶。クラシックカーセンター設立にあたって「『クルマはつくらない、クルマのある人生をつくっている』というヤナセの理念に基づくもの」、「海外におけるクラシックカーの価値を見い出し大切にする文化を日本にも取り入れたい」、「昔ながらの整備技術を伝承し、遺していきたい」、「電気自動車や自動運転車の時代になっても優雅なクラシックカーが走り続けることにより、人々にクルマへの憧れを持ってもらう社会的意義」と4つの動機を挙げた。

また、現在は顧客からの依頼によるレストアを行っているが、将来的にはレストア済み車両の販売なども視野に入れているとのことだった。

「ヤナセ物」消費の時代にヤナセがレストアをする意義とは

ヤナセといえば103年の歴史を持ち、わが国のモータリゼーションの黎明期よりビュイックやキャデラックの輸入販売を開始。また、フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツ、オペルといった欧州車の日本におけるインポーターを長らく担ってきた。

日本人の感性や価値観に合わせた献身的ともいえる車両の改善や細やかなサービスは、同社が輸入・販売・整備を手掛けたクルマに対して、中古車市場においても安心と高品質の証として「ヤナセ物」という別格の付加価値を持たらせるまでに至った。

実はヤナセおよびそのグループ企業では従来より旧車のレストアを手掛けていたのだが、それはあくまでも通常の顧客サービスの一環であった。事業として専門の施設/組織を立ち上げてというのは初めてのこととなる。

「ハイクオリティな輸入車ライフ」の同義語ともいえる鉄壁のブランド、ヤナセ。その伝説とも謳われるクオリティを支えてきた現場スタッフの技術力の高さや国内外に構築された部品調達のルートなど、同社がこの100年、輸入車に注ぎ込んできたノウハウを活かしてのクラシックカーのレストア事業参入なのである。

クラシックカーのレストアにおいてはクルマとしての機能維持は当然ながら、「どこで(誰の手で)・どのように」レストアしたのかという事実は、そのクルマの価値を決める重要なポイントとなる。そういった意味ではヤナセは、その「資格」がある企業であり、そうすべき「義務」もまた、有しているといえるだろう。

それが近年、多くのプレミアムカーのメーカーが社内にレストア部門の設立、レストアされたクラシックカーへの認証を行うようになってきた理由でもある。ヤナセがレストアしたクラシックカーもまた「ヤナセ物」と憧憬を持って迎えられる時が来るのかもしれない。

クラシックカーガレージとしてのテュフ認証を取得

従来、レストア工場のクオリティとは、職人個人の技能や経験を風評、そしてなによりも仕上げられたクルマを基に判断するというのが一般的であったが、ヤナセ・クラシックカー・センターでは今回、世界的な第三者検査機関であるテュフ・ラインランドのクラシックカーガレージ認証を取得した。前述したように世間のクルマ好きからしてみれば「ヤナセが手掛けるレストア」というだけで充分な太鼓判なのだが、そこで敢えてドイツ系の認証機関のお墨付きもいただくというのが、実にヤナセらしい「堅さ」であるといえる。

このクラシックカーガレージ認証、整備技術に関してはもちろん、設備・機器、運営・管理、法令の遵守に顧客対応など、約150項目もの監査項目をクリアしてはじめて与えられるというもので、ちなみに認証第一号はマツダが初代ロードスターのレストアサービスを開始するにあたって取得した。すなわちメーカーに匹敵するクオリティが要求されるということなのだ。

一般的なクルマ好きの感覚から見れば「ここまでしなくても……」と思ってしまうような認証の取得ではあるが、将来的に構想しているというレストアカーの販売や市場の構築といった部分までを見据えると、第三者による認証に重みが出てくるのであろう。しかしながらひとりのクルマ好きとしてはそういった大企業の思惑は別として、「ヤナセ」がクラシックカーを修理してくれるという事実こそが、何にも増して喜ばしいことなのだ。

4月の工場稼働開始よりすでに100件近い問い合わせを受けているというヤナセ・クラシックカー・センター。現在は各年代のメルセデスを中心にいくつかのプロジェクトが進行中だったが、今後は様々なメイクスのクラシックカーのレストアも手がけていくということなので、愛車のレストアを考えているエンスージァストにとっては、同センターに託すという選択肢も充分に考えられるだろう。

次ページからは当日公開された「ヤナセ・クラシックカー・センター」のファクトリー内部の様子をレポート!

ヤナセの本気と底力を感じさせる、広大なボディファクトリー

BPファクトリー

プレス一行が最初に案内されたのはBP(Body Repair & Painting)ファクトリー。フェラーリをはじめとした欧州各メーカーの認証に加え、テュフ・ラインランド・ジャパンによってスチール&アルミ補修対応鈑金塗装工場として最高水準である「プラチナ」認証を取得しているという。

十数台は同時に作業できるほどの広い工場、取材時の鈑金工場は高年式のメルセデスやマクラーレンといった車両が作業中だったが、クラシックカーの鈑金作業もこの工場で行われるとのことだった。

長いクルマにも対応

続いて紹介されたのが塗装ブースが並ぶ工場の一角。600プルマンなど、ショーファード・リムジンの全塗装にも余裕で対応できる奥行き9mクラスの塗装ブースをはじめとして合計で6基の塗装ブースを備えており、高品質な焼き付け塗装に対応している。

塗料メーカーの持つ情報と最新技術がレストア事業を支える

ヤナセ・クラシックカー・センターの塗装工場では、世界の自動車メーカーが採用するアクサルタ・コーティング・システムズ社のスタンドックス・ブランドの水性塗料を用いた、高品質で低公害の塗装ソリューションを導入している。

本国メルセデス・ベンツ・クラシックセンターと共同で補修塗装技術者向けのマニュアル作成も行っているアクサルタ社だけあって、クラシックカーの高品質な補修塗装に関してのノウハウも豊富だ。

当時の塗料のデータを保有していることはもちろん、最新の多角型分光測色機を用いた色調の判定なども行っており、より信頼性の高い調色が可能となっている。

膨大な量のATミッションをOHする、ヤナセ随一の特殊部隊

続いて一行が案内されたのはトランスミッションやステアリング・ギアボックスなどを分解/整備/組み立てする部署であるユニット課。実は筆者が今回の取材で最も見たいと期待していたのがこの部署である。

非常に複雑な構造を持つオートマティック・トランスミッションなどは、通常ではアッセンブリーでの交換や、メーカーに送っての修理となるもので、一部の専門業者以外は手を出しにくい部分だ。

しかしながら横浜ニューデポーでは全国のヤナセでも唯一、内製での修理/リビルドを行っているという事実は業界内でも知られており、その特殊部隊の本部を覗けるというだけでもワクワクするではないか。

広大な室内には重量棚が幾重にも並び、そのほとんどにはメルセデスのものと思しきATミッションがギッシリと並べられていた。これらは全国から送られてきた修理待ちや完成品の他に、部品取りなどでストックされているものも多いとのことだった。

さすがに現行モデルなどでは、オーバーホール用部品のみの供給というのがないとのことだが(すべてアッセンブリー交換となる)、2000年代初めの7GトロニックあたりまでのほとんどのATミッションに対応できる。

キレイに整頓された作業台の上には迷路のようなATの部品と対峙する若い職人の姿があったが、「目にも留まらぬ」を地で行くような手早さで、「さすがは特殊部隊!」と感心させられる練度の高さであった。

熟練の職人の手でくみ上げられたオートマティック・トランスミッションやステアリング・ギアボックスなどは、正常に動作することを確認された上で納品されるが、ここでは実車に搭載せずともユニット単体で動作試験が行えるテスターが用意されている。

機種別に用意されたテスター、旧いものなどは恐らく自分たちの手で自作したのだろうと思われるものもあり、職人魂が感じられた。

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(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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