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ニューモデル 2018.7.5

今後FRスポーツは置いてけぼりになる トヨタ セリカ GT-FOUR試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

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 徳大寺有恒氏の美しい試乗記を再録する本コーナー。今回はトヨタのセリカ GT-FOURを取り上げます。

 1985年フルモデルチェンジを果たし、直線的なそれから曲面的なボディへ、そしてFR(後輪駆動)からFF(前輪駆動)へと大きなターニングポイントを迎えた4代目セリカ。その4代目に1986年10月追加されたフルタイム4WDモデルがこのGT-FOUR(ST165型)です。

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 4WDはデフロック機構を持つベベルギア式センターデフで、これはWRCを席巻したアウディクワトロと同じ。同じくWRCを戦うべく開発が進められるなか、激しいラリーステージを戦うには信頼性と耐久性が最も重要、という判断からでした(後にビスカスカップリングに変更)。

 当時2L最強の185psを発生したエンジン3S-GTEは、長くトヨタのスポーツエンジンとして君臨することになります。

 FRからFFへの大きな変革を遂げたセリカ、そしてスポーツカーのトレンドそのものを、徳さんはどのように見たか。1985年の試乗記をリバイバル。

※本稿は1985年に執筆されたものです
文:徳大寺有恒
初出:ベストカー2015年4月26日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です


■アウディ・クアトロとの類似点

 セリカGT-FOURの4WDはごくごくオーソドックスだ。センターデフはオーソドックスなベベルギアを使い、パワースプリットは前後50対50だ。つまり、セリカGT-FOURはフルタイム4WDのロードカーとしては、元祖的なアウディ・クアトロとそっくりなのだ。センターデフはサイドブレーキの前、センターコンソール上にあるスイッチでロックができる。エンジン横置きのFFからフルタイム4WDを作るという点では、ファミリアGT-Xとも相通じるものがある。

写真中央のつまみがセンターデフのロックスイッチ

 新しい3S-GTEは従来の2L 4シリンダー、DOHC、4ヴァルブの3S-GE にインタークーラーターボを与えたものだ。

 排気量1998cc、ボア×ストロークは86.0×86.0mmとスクエア、圧縮比は8.5だ。最高出力185馬力、最大トルク24.5kgmという数字はターボエンジンとしては、そう驚くものではないが、0~400m加速タイムはメーカー発表値で14.9秒というからすごい。

 これは3L級の高級スポーツカーのものであり、4WDのトラクションの有利性がこの0~400mタイムにハッキリと表われている。

 150~160馬力以上になるとFWDではトラクションが不充分だ。ならば4WDでそのパワーを吸収してやろうというのがアウディ・クアトロが生まれた理由だ。セリカGT-FOURが誕生したのもまったく同じ。FWDにならざるをえない時代で、第一線の動力性能を与えるためには、4WDは必須であった。

 しかし、この4WD化のためにセリカGT-FOURは1350kgと大いに重くなった。リアサスペンションを強靱なサブフレーム構造にするなど、各部の剛性アップを行ったこともあるが、およそ200kgも重い。

■平和な加速フィール

 セリカGT-FOURはとにかく速い。そしてその加速フィールは4WD独特のものだ。ハイパワーのFWDは派手にホイールスピンをともなってスタートする。こいつがドライバーの気分を高揚させる。しかし、4WDは違う。5500rpmあたりでクラッチをつなぐと、この瞬間からぐいぐいと車速を上げる。

 前から引っ張るのでもなく後ろから押されるのでもない。とにかくクルマの姿勢もほんの少しノーズアップするだけである。外から見ると速いことは速いのだろうけれど平和に見えるだろう。

 実はドライバーも2WDよりもずっと平和なのだ。メーカー発表値で0~400m加速14.9秒!! という空恐ろしい加速を持つクルマのわりには首にこない。例によってすこし腹にはこたえるが、ドライバーはあまりやることがない。とにかくスロットルを踏みつけるだけ。あっという間に160km/hを超えてしまう。

 ものすごい加速は6000rpmを超え、6500rpmくらいまで有効である。エンジンはトルクフルでスムーズだが、3S-GEほどの快感はない。そのぶん、圧倒的にパワフルだ。

 ターボの威力は箱根ターンパイクの登りで大いに発揮される。その加速感と到達するスピードはポルシェ911カレラよりもわずかに下回るというところだ。

 コーナリングアビリティもよく仕上がっている。基本的には弱いアンダースティアでFWD的なハンドリングを持つが、フロントが際限なく外へ動くこともなく、さりとてリアがブレイクしてピンチを迎える可能性も少ない。

 下りでのコーナリングの安定した姿勢は感心させられる。また直進安定性もさすが4WDだ。このクルマの高速道路での100km/hはさぞたいくつなものであろう。

■FRは古典派になってしまうかもしれない

 セリカGT-FOURは国産車の新しい高性能GTカーで、それはRX-7やスープラ、フェアレディZなどをライバルとする。このなかで、もっとも楽にハイスピードをどこでも手に入れられるのは、セリカGT-FOURに違いない。

 これほどの性能を持つセリカGT-FOURは、そこがいかにもトヨタ車らしいが、実にイージーに走らせることができる。このスティアリングのフィールやブレーキは硬派ドライバーをきっと惑わせるだろう。そして実にソフトな乗り心地。この点に関してはやや低速型になりすぎたかとも思う。もう少し4輪を締めてもいいと思うこともあった。ブレーキはまずまずだが、ABSのスタンダード化を望みたい。今や高級な4WDにABSは常識なのだ。

当時2Lとしては最強の185psを出力した新エンジン 3S-GTE。

 かくてセリカGT-FOURは、多少運転に自信のないドライバーにとってハイスピードを比較的簡単にしてしまう魔法のカーペットである。

 このセリカGT-FOURに曲がりくねった道で競り勝つのは少々たいへんだと覚悟しておいたほうがいい。

 それでも後輪駆動にこだわる人がいても、私は少しも驚かないが、オールラウンドなスポーツクーペとしては、このセリカGT-FOURが論理的にも、実際も一歩リードしていることは、認めねばなるまい。

 このセリカGT-FOURに乗っていると、私を含め、多くの人々が好いている後輪駆動のある種のスポーツカー道のようなものは、そう遠くない将来、古典派となるやもしれぬと思った。

セリカ 2000GT-FOUR。当時の広告コピーは「流面形、発見さる。」だった

◎セリカ GT-FOUR 主要諸元
全長:4365mm
全幅:1690mm
全高:1295mm
ホイールベース:2525mm
車重:1350kg
エンジン:直4DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:185ps/6000rpm
最大トルク:24.5kgm/4000rpm
トランスミッション:5MT
10モード燃費:10.0km/L
サスペンション:ストラット/ストラット
価格:297万6000円
※ネット表記

◎ベストカーテストデータ
0~400m加速:14秒66
0~1000m加速:27秒67
最高速:221.99km/h
筑波サーキットラップタイム:1分14秒72

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(ベストカーWeb ベストカーWeb編集部)

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