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新型BMW M5試乗 4輪駆動システム採用 ハンドリングも向上 歴代最高の仕上がり

掲載 更新
新型BMW M5試乗 4輪駆動システム採用 ハンドリングも向上 歴代最高の仕上がり

もくじ

どんなクルマ?
ー 4輪駆動となった599psの新しいM5

試乗 ポルシェ718ボクスターGTS 装備、価格に見合う?

どんな感じ?
ー 全方位で虜になってしまう仕上がり
ー 明確な目標を掲げた、濃い血筋
ー 従来モデルを凌駕する卓越したハンドリング
ー 何度も試したくなる、快心の加速

「買い」か?
ー 現時点でM5以上のクルマが思い浮かばない

スペック
ー BMW M5のスペック

どんなクルマ?

4輪駆動となった599psの新しいM5

6世代目となったBMW M5。

スーパーサルーンの象徴とも言える地位を築いてきたM5を後輪駆動から4輪駆動にするために、BMW Mディビジョンは、ドライブシャフトやクラッチ、ユニバーサルジョイントなど、必要なものをすべてつぎ込んだ。

ただ、高評価だった先代よりもボディ・ディメンションは大型化。その分、ターボの力を借りて、パワーもトルクも増強されている。これまでのBMW Mシリーズの中で、もっとも洗練されたと言っても過言ではない、電子制御シャシーコントロールシステムも搭載されている。

加えて、よりシンプルな後輪駆動モデルだった先代よりも、軽量化されている。わずか15kgとは言え、軽くなったことは事実。素晴らしい。2018年、2輪駆動だったパフォーマンス・サルーンは、車重を削りながらも4輪駆動となったのだ。

心から喜びを表現したい気分だが、額面通りに受け取っていいのだろうか。

英国の道を599psのパワーを解き放ってドライブした時、このクルマは素晴らしい価値を発揮できるのか。駆動方式の変更という大きな変化は、われわれの期待通りの、細かな気遣いの上に成り立っているのか。今回、その答えを探りたい。

ちなみに、過去30年にも渡るM5の歴史を追ってきたわれわれだが、フルバージョンのロードテストや、複数のライバルとの比較テストも近日中にお届けできる予定なので、楽しみにしていてほしい。クルマの核心部分に、疑問の余地がないほど迫ることができると思う。

とにかく、試乗を始めてみよう。

どんな感じ?

全方位で虜になってしまう仕上がり

まずは、英国西部に位置するアングルシー・サーキットでの数時間の走行と、スノードニア国立公園近隣の一般道を数百km走行した第一印象から。

ドアミラー間の全幅が2.1mを超えてしまうから、一般道では特に大きく感じられてしまうボディサイズ。何しろ、マクラーレン570Sよりも幅が広いのだ。それにも関わらず、桁外れの速さやトラクション、アジリティに加えて、日常利用も可能な落ち着きなどを備えている。実は、すっかり虜になってしまった。

ドライビングフィールの純粋さやバランス、鮮明さなどの悪化という、ドライブトレインの変更に伴う憂慮は、みじんも感じられない。先代の5世代目となったF10時代に築き上げた基準を、間違いなく、あらゆる面で凌駕していると言っていいだろう。

そんな楽しさに溢れた、約600psを叩き出す新しいBMWのテストドライブは、今回が初めてではない。

ミュンヘンから4輪駆動化の発表がされた2017年にプロトタイプを味わい、その年末にポルトガルで開かれたプレス発表のタイミングで、試乗記を紹介している。その時は、新しい4輪駆動システムを好んで使用するかどうかは、オーナー次第だということと、520dのように、暮らしに自然に馴染むめる性格だということを記している。

しかし、これは少し修正しなければならなそうだ。

明確な目標を掲げた、濃い血筋

今回は、2017年に見いだすことができなかった、M5が持つダイナミクス性能の幅の広さに驚かされた。このクルマは、弾けるような存在であるべきだと、Mディビジョンの幹部たちがドライビング性能を煮詰めていったのだろう。

決して荒々しいわけでもなく、乗り心地も悪くない。V8ターボも間違いない性格付けを得ている。しかし、新しいM5はそれ以上の明確な目標を掲げた、濃い血筋を持つクルマなのだ。

アダプティブダンパーをコンフォートモードに設定すれば、垂直方向のボディの動きはしっかりコントロールされるが、余程滑らかな路面でない限りは、若干だが、落ち着きがない部分がある。

スポーツモードなら、スプリングレートとダンパーの減衰力がより調和し、高速での巡航走行状態とも相性が良く、レスポンスも好印象。わたしの場合、テスト中はほとんどこのモードを選んでいた。

このドライビングモードの設定はサスペンションだけでなく、そのほかの多くのコンポーネンツにも統合的に変更が及ぶ。ステアリングやトランスミッション、エンジン・コントロールユニットのマッピング、エグゾースト、4輪駆動システム、スタビリティコントロールなど、クルマのあらゆる面に渡っている。

このBMWの複雑なマネージメントだが、AUTOCARがその仕上がりを確かめてみよう。

従来モデルを凌駕する卓越したハンドリング

まずはサーキットとグリップの限界領域において。

M5の特出した魅力が、決して2WDモードを選択しなくても、卓越したハンドリングのバランスと操縦性、手応えを獲得している点にある。

4WDスポーツモードに設定すれば、リアタイヤが主にクルマを進行方向へと進める力点として作用することで、パワーをかけながら繊細なコーナリングが可能なのだ。2t近い車重のサルーンなのに、日産GT-RやアウディR8よりも印象は優れていると思う。

また、電子制御はONのままMダイナミックモードを選択しても、同等の走りが得られる。

しかも、バランスに優れ、調整の幅にはまだ余裕が残る。F10よりも鮮明な中回転域でのスロットルレスポンスに加えて、強烈なトラクションが生み出す加速力にも目を見張る。

M5の4輪駆動システムは、ドライバーが望むなら、まるで後輪駆動かのように、クルマを扱うことが可能なのだ。むしろ今回、4輪駆動システムを得たことで、今まで以上に、BMW Mアクティブ・リアディファレンシャルの存在意義が高められたと言えるだろう。

何度も試したくなる、快心の加速

このダイナミクス性能は、一般道で味わえる領域のものではない。

しかし、M5の鋭いコーナリング特性と、波打った路面などでの上下方向の優れたボディコントロールは、極めて引き立つ部分。ボディサイズをコンパクトには感じさせてくれないまでも、軽快で活発なクルマへとまとめている。

高速道路では、直進性も高く安定しており、またたく間に加速を済ませる。この場面では、多少の時間差はあるが、結果的にボディサイズもコンパクトに感じられてくる。クルマの突出したパフォーマンスレベルは際限知らずと言ったところだが、目立ちすぎないところも良い。

M5のアクセルペダルは、わずかな操作でも、望んだ以上のスピードが出てしまう印象がある。あるいは、あえてのロケット加速も望み通り。そのため、常に右足の力を抜く、自制心が必要となってくる。

でも、そんな我慢ができるのはつかの間。

気持ちを抑えきれず、アクセルペダルを深く踏み込めば、思わず子供のように笑ってしまう走りが待っている。そんな快心の体験は、何度も試したくなるに違いない。

「買い」か?

現時点でM5以上のクルマが思い浮かばない

一点、わたしにとっては、ドライビングに関わる設定や選択の幅が、ありすぎるように感じてしまった。

設定の組み合わせが多すぎて、自分にとって日常使いに丁度よい、中間点のセッティングを見つけることが難しいのではないだろうか。シンプルに、コンフォートモードとスポーツモードのふたつで、この複雑なシステムをマネージメントするくらいで良いと思える。数百km走行した後も、納得するセッティングの組み合わせを見つけられなかった。

わたしのようなモータージャーナリストは、常にクルマを短時間でわかりやすく評価するから、オーナーのようにしっかりと精通することはないのだけれど。

ただ、この件に関しては、Mシリーズに対して以前から記していた注文でもある。ここまでの大きな進化を遂げている中で、強くそれを批判することは、妥当ではないだろう。

このBMW M5は、今まで以上に能力を高め、利便性も充分で、より早くエキサイティングな仕上がりを得ている。しかも、ドライバーズカーとしての資質も極めて高い。現実的で、充分な航続距離と使い勝手を備えた4輪駆動のスーパーサルーン。個人的な趣味に合わないことがない限り、完璧な存在だと言える。

記憶にある限り、現時点でM5以上の最高のクルマは思い浮かばないというのが、今回の結論だ。

BMW M5 のスペック

■価格 ―
■全長×全幅×全高 ―
■最高速度 249km/h(リミッター)
■0-100km/h加速 3.4秒
■燃費 9.5km/ℓ
■CO2排出量 241g/km
■乾燥重量 1855kg
■パワートレイン V型8気筒4395ccツインターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 599ps/5600-6700rpm
■最大トルク 76.3kg-m/5600-6700rpm
■ギアボックス 8速AT

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