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ライバルを超えたか!? 日産 セレナ e-POWER 試乗でわかった長所と短所

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ライバルを超えたか!? 日産 セレナ e-POWER 試乗でわかった長所と短所

 ノートに設定され、一躍人気を集めた「e-POWER」の第2弾、セレナ e-POWERが3月1日に発売。しかし、ライバルも強敵揃い。トヨタのノア/ヴォクシーは、ハイブリッドとガソリン車をともにラインナップ。ホンダのステップワゴンはターボエンジンに加え、ハイブリッド車も追加している。

 ミニバンはパワーがモノを言う車ではないけれど、エンジンの性能は家族や荷物を満載した実用的な使い方や燃費を大きく左右する。激戦区に新たに登場したセレナe-POWERはライバルを超える“実力車”なのか?

「格別な存在」のベビーギャング! ホンダ シティターボ試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

文:片岡英明、ベストカー編集部/写真:平野学
ベストカー2018年4月10日号

死角はあるか? セレナ e-POWERの長所と懸念

セレナ e-POWERのモーター出力&トルクは136ps/32.6kgmという値。同109ps/25.9kgmのノートe-POWERに対し、大幅にパワーアップしている

 セレナ e-POWERは、エンジンで発電し、モーターだけの力で駆動する。そのパワーユニットの基本部分は、ノートe-POWERと同一としながら、モーターの最高出力は、ノートに比べて27psのパワーアップを実現してきた。

 反面、標準車に対してセレナ e-POWERの価格は、実質的に39万円高となる。そのコストパフォーマンスについては既報のとおりだが、本稿では、まずミニサーキットでの試乗でわかった長所と短所を見ていきたい。

◆  ◆  ◆

 まず、心配だったのは1730~1760kgという車重にe-POWERは対応できるのかということだったが、モーターのパワーアップでさすがにそれは問題なし。それよりもガラスに遮音フィルムを追加し、センターカーペットを4層構造にするなどして静粛性を向上させた効果が出ていたのが収穫。

 また、瞬時にトルクが立ち上がるモーターの特性とワンペダルドライブを生かした走りもSハイブリッドよりも楽しくて上質であることも確認できた。

 乗り心地を重視した足回りだけに、コーナーを曲がる時には「船ですか?」というような、なんとも牧歌的な走りとなるが、これはこれで「攻めるほうがバカ」という割り切りがあっていい。

 ただ、「これで緊急回避は大丈夫なのだろうか?」という思いがよぎったのも事実。もう少し足回りを締めてもいいのではと思ったが、そうすると乗り心地に影響が出る。そのあたりのバランスは一般公道試乗の評価に譲りたい。

【本誌・飯干俊作】

対競合車でみるセレナ e-POWERの現在地

セレナのライバルはトヨタのノア/ヴォクシーとホンダ ステップワゴン。ステップワゴンはハイブリッドを2017年に追加して商品力を高めた

 セレナが属すミディアムクラスで、最もトータル性能が高く、高得点を叩き出して1位に輝いたのは、ステップワゴンのハイブリッドだ。

 走りの洗練度が高く、セレナe-POWERを凌ぐ軽快感と上質なパワーフィールを実現し、実用燃費も優れている。ガソリン車から乗り換えてもブレーキなどに違和感もない。

 また、冴えたフットワークも自慢。一般道や高速道路に加え、ワインディングでも気持ちいい走りを楽しめる。そして特筆したいのが、歩行者にも対応したホンダセンシングを全車に標準装備すること。堂々の1位獲得だ。

 2位は同じくステップワゴンの1.5Lターボ車。ハイブリッドの陰に隠れているが、力強い走りなど、実は実力派だ。燃費はハイブリッドにかなわないが、スポーティ度は高く、装備の使い勝手もいい。

セレナ e-POWERはなぜ1位じゃない?

セレナはe-POWERに加えて、ガソリン車(最安グレードのみ)、マイルドハイブリッド車もラインアップ

 そして、奥様を中心とするファミリー層を狙い、わかりやすい実用性能をアピールしているのがセレナである。キャビンは不満のない広さで、ハンズフリースライドドアやガラスハッチなども重宝する。

 パワートレーンを豊富に用意するのもセレナの特徴。最も魅力的で存在感が際立っているのは、リーフの電動化技術を応用したe-POWERだ。

 ラージクラスが買える価格だがモーターならではの気持ちいい加速フィールは魅力的。余裕ある走りに加え、静粛性に代表される快適性能も高い。ステップワゴンの1.5Lターボと並ぶ2位とした。

 マイルドハイブリッドとガソリン車は今一歩の魅力と実力だ。ファミリー層が重視する実用性能にこだわっているが、多人数乗車、荷物満載だとガソリン車は余裕がない。マイルドハイブリッドも、モーターが補助するのは発進時だから物足りなく感じる。

 ハンドリングもそれなりのレベルでいいと割り切っているのだろう。少し手を入れたe-POWERを除けば、平凡な実力にとどまっている。だが、乗り心地にはこだわっているから、元気な走りをしなければ快適だ。

 鳴り物入りで登場した自動運転化技術の「プロパイロット」も、セレナの走りの実力がそれなりだから使い切れていないところがある。

 また、ステップワゴンがホンダセンシングを全車に標準装備しているのに対し、セレナはオプション設定だ。この消極的な姿勢もマイナスとなっている。

ノア系は安全装備に物足りなさ

安全装備で競合車に水をあけられたノア/ヴォクシー。改良で進化版の予防安全装備を追加すれば、大幅に商品力はアップするはず

 ノア/ヴォクシー/エスクァイアは、ステップワゴンとセレナの後塵を拝し、ハイブリッド車が5位にとどまった。だが、実際にはトータル性能の高いミニバンだ。

 ハイブリッド以外に飛び道具はないが、ハイブリッド車、ガソリン車ともに平均点が高く、ファミリー派には魅力的。扱いやすく、快適装備も充実し、キャビンも2列目までは広く快適だ。動力性能も満足できる実力。特にハイブリッド車はドライバビリティ、実用燃費ともに優秀で快適性能もミディアムクラスではトップレベルだ。

 ただし、先進安全装備は物足りない。1世代前の安全/運転支援システムだから、点数をあまり上乗せできなかった。この弱点が解消されればもっとセレナに肉薄できるはずだ。

【片岡英明】

■Mクラスミニバン パワーユニット別ベスト5(評価/片岡英明)

1位/ホンダ ステップワゴン ハイブリッド
2位/ホンダ ステップワゴン 1.5Lターボ
3位/日産 セレナ e-POWER
4位/日産 セレナ ハイブリッド
5位/ノア・ヴォクシー・エスクァイア ハイブリッド

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