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アストン マーティンのSUV(2) 美しさと実用性を両立したモデルに

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アストン マーティンのSUV(2) 美しさと実用性を両立したモデルに

もくじ

ー 業績は絶好調 アストンの将来にはSUVが必要
ー 量産モデルにもコンセプトモデルのDNA
ー ハイブリッド開発中 ポルシェ・マカンがライバル
ー 美しさと実用性の両立 女性の意見が重要
ー セント・アサン新工場 成長のカギ

アストン マーティンのSUV(1) モデル名は「ヴァレカイ」か

業績は絶好調 アストンの将来にはSUVが必要

アストン マーティン初のSUVモデルは、既報の通りヴァレカイという車名になる見込みだが、その開発状況についても新情報が入ってきた。

現在量産モデルの開発中であり、昨年夏には、この105年の歴史を誇る自動車メーカーの販売台数を劇的に引き上げる使命を託されたデザインが公開されている。アストン マーティンの業績はますます好調であり、2016年の1億6300万ポンド(247億5000万円)もの赤字から、昨年は2億5000万ポンド(379億6000万円)の急回復を見せ、過去最高益となる8700万ポンド(132億円1000万円)を記録している。

DBXが発売されれば、ラグジュアリーな4✕4のセグメントで、ベントレー・ベンテイガ、ランボルギーニ・ウルス、マセラティ・レヴァンテ、さらにはレンジ・ローバーのトップモデルたちや、ポルシェ・カイエンのライバルとなるだろう。一方で、アストン マーティンCEOのアンディ・パーマーは以前DBXについて、「DBXは実用性やパフォーマンスのために、スタイルを犠牲にしていない」ために、こういったモデルとは一線を画す存在になるだろうと述べている。


SUVモデルの登場については、パーマー自身によって、2014年にCEOの地位に就く前から計画されており、CEO就任後わずか4日目には正式にプロジェクトをスタートさせている。「アストン マーティンのような会社を経営するには、その地位に就く前にオーナーたちと全てのアイデアを共有しておくものです」とパーマーはいう。「わたしのメッセージはシンプルなものでした。アストン マーティンがこの先も生き残るためには、SUVが必要だと言ったのです」

「CEOとしての4日目には、デザイン責任者のマレク・ライヒマンにDBXが必要だと話していました。あれは10月のことでしたが、翌年3月のジュネーブ・モーターショーでコンセプトカーを展示したいと言いました」

「マレクと彼のチームは素晴らしい仕事をしてくれました。巨大企業と比べたアストンの数ある利点のひとつは、われわれは素早く行動できるということです。いったん何かに合意すれば、すぐに部屋を飛び出して作業に着手するんです。何度もプレゼンテーションを繰り返す必要などありません。この活気こそがわれわれの強みであり、いまやその強みを存分に活かしはじめています。こんにちのアストンはかつて失っていた自信をもちつつも、決して傲慢になってはいけないと思っています」

量産モデルにもコンセプトモデルのDNA

2015年にジュネーブで公開されたDBXコンセプトは、2ドアの4シーターモデルであり、リチウム硫黄電池を動力源として、インホイールモーターを搭載していた。このコンセプトモデルでは、最先端のパワートレイン技術として、F1で使用されていた運動エネルギー回生システムなどが採用されていたが、ライヒマンと彼のチームでは、キャビンや積載能力などのより実用的な点も重視していた。

パーマーは、量産モデルにもコンセプトモデルのDNAが多く引き継がれることを示唆している。「劇的な変化があるでしょう。最も端的な違いは4ドアになるということかも知れませんが、それ以外にも、細かな点で多くの変化にお気付きになると思います。しかし、そのボディラインや本質的な部分についてはコンセプトどおりでもあるのです」


ライヒマンは、量産モデルではさらなる実用性を確保するため、コンセプトモデルよりも高いルーフラインが採用される可能性を認めている。

DBXには、DB11同様の接着とリベット接合によるアルミニウム製アーキテクチャーが用いられることになる。アストンは株主でもあるメルセデス・ベンツのシャシー技術に頼るようになるのではないかとの憶測があるが、パーマーによれば、いくつかのシステムやV8エンジンといったようなものについてはメルセデスの技術を使用したとしても、アストンでは自社技術を使うことを好んでおり、それは次世代モデルでも変わらないと話す。さらにDBXは、全てのモデルではないかも知れないが、アストン初の四輪駆動モデルとなる。

トップモデルにはアストン製5.2ℓV12が搭載されるが、その出力とトルクはDB11の609ps、71.3kg-mから変更されることになるだろう。加えて510ps/68.9kg-mのAMG製4.0ℓV8ツインターボと、いずれはウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングの協力のもと、アストンが自社で開発する電動パワートレインがラインナップされる。なお、ディーゼルモデルの登場はパーマーが否定している。

ハイブリッド開発中 ポルシェ・マカンがライバル

ハイブリッドモデルの開発をパーマーは認めているものの、リサーチの結果、ラグジュアリーカーの購入層はプラグインハイブリッドをプレミアムではないと考えているために、同技術は採用されない見込みだ。

この結果、アストンは去年のジュネーブ・モーターショーで公開されたメルセデス-AMG GTコンセプトが搭載するハイパフォーマンス・パワートレインを使用するのではないかとの憶測が強まっている。このハイブリッドユニットはAMG製ツインターボ4.0ℓV8に電気モーターを組み合わせて、システム出力は811psを誇る。DBXはより重いとはいえ、GTコンセプトの0-100km/h加速は3秒以下である。バッテリーは走行中、ブレーキ回生エネルギーとガソリンエンジンの両方によって充電が可能だ。


しかし、パーマーはアストンが、レッドブル・テクノロジーズとともに、ハイパーカーのヴァルキリー向けに開発したハイブリッドシステム(KERSに似たもの)を通じて得たノウハウも強調する。つまり、メルセデスから調達する代わりに、このシステムをベースにしたパワートレインを採用するという可能性もあるということだ。

乗り心地とハンドリングについて、パーマーはポルシェ・マカンを「おそらく、SUVのなかで最高のダイナミック性能をもったモデルです」として、ライバルにあげている。

DBXには、デザインチームがこれまで以上に実用性を重視した新たなアプローチによるインテリアが組み合わされることになる。「無視することができないいくつかの課題があります。その手始めは乗降性です。つまり、乗りこむ必要があるのか、単に座るだけでよいのかという違いです」とパーマーはいう。「多くの点でDBXはアストン マーティンにとって革新的なモデルです。つまり、われわれのやり方をうまく適合させる必要があるということです」

美しさと実用性の両立 女性の意見が重要

「われわれには決して変わることのないひとつのルールがあります。それは美しさを犠牲にしないということです。しかし、四輪駆動モデルらしいスタイリングと、こういったモデルにお客様が期待するユーティリティー性を実現しようとすれば、そのための方法を見つけ出す必要があります。4✕4モデルらしい大きさ、安全性と安心感に加えて、乗り降りも楽にできるものでなくてはならないのです」

アストンでは既存顧客の意見を聞くため、いくつかのフォーカス・グループを設けている。このなかには女性グループも含まれていた。これまでに販売した全7万台のうち、女性オーナーに送り出されたのがわずか3500台にすぎないことが明らかとなったあと、コンセプトカーの公開に引き続いてパーマーがその設置を主張したのだ。


「何人かの特別なお客様からは、このモデルの方向性についてのフィードバックを頂戴することができました」とパーマーはいう。「まさにわれわれにとっての陪審員のような方々で、このモデルで達成すべき点を明らかにしてくださいました」

「特に女性のお客様からのご意見はとても貴重なものでした。これはある特定のお客様向けのモデルではなく、こういったお客様グループからのご意見によって、われわれがこれまで重視してこなかった点を理解することができたのです」

セント・アサン新工場 成長のカギ

アストンがウェールズのセント・アサンに建設する新工場で、DBXの量産準備が進められている。アストンの全大型モデルを生産する一方で、この新工場は電動化とサイバーセキュリティの拠点ともなっている。顧客とスタッフのレセプション・エリアの建設が完了するとともに、3つのかつては格納庫だった場所を製造プラントへと改造する工事が全力で進められている。この工場での生産が開始されれば、750人の新規雇用が生み出されることになる。


昨年の新型ヴァンテージの発売に続いて、アストンではラインナップの拡充を図っており、アストンの成長戦略にとって、セント・アサンが持つ役割は重要なものとなる。より多くの販売が期待される新型ヴァンキッシュも年内に発売の予定であり、2019年のDBX、2020年のミドエンジン・スーパーカー、2021年のラゴンダ・サルーン、2022年にはラゴンダSUVが続く予定だ。

2017年初頭にアストンの命運は大きく好転している。この年、DB11の販売好調によって、ここ10年で初めて第1四半期に590万ポンド(8億9600万円)という利益を計上することができたのだ。それ以前には、アストンは2011年以降、毎年赤字決算を続けてきた。しかし最近では、独立したEVブランドとしてラゴンダの名を復活させてもいる。

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