現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ試乗レポート 心を揺さぶる高揚感とカミソリの切れ味のスーパースポーツ・セダン

ここから本文です

アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ試乗レポート 心を揺さぶる高揚感とカミソリの切れ味のスーパースポーツ・セダン

掲載 更新
アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ試乗レポート 心を揺さぶる高揚感とカミソリの切れ味のスーパースポーツ・セダン

アルファロメオのファンなら1960年~70年代に販売されたベルトーネ・デザインの名車、ジュリアの名前を知っているはずだ。この時代のジュリアはボクシーなセダン・スタイルで、合理的なパッケージングとスポーティでドライビング・プレジャーでアルファロメオの名を高めた。<レポート:松本晴比古/Hatuhiko Matsumoto>

■ブランドの再定義

レクサスLS V6ツインターボ試乗記 感性フィールをデジタルで作りこむことへの挑戦

新型ジュリアは2015年に発表され、2016年ヨーロッパで販売が開始された。この新型タイプ952は途絶えていた初代ジュリアの再出発というだけではなく、アルファロメオというブランドを再定義する役割が求められている。FCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)は、アルファロメオをマセラティのE/Fセグメントのラグジュアリー・ブランドに接するDセグメントのポジションに上位移行させ、グローバルに、特にアメリカ市場、中国市場での存在感を高める役割を担っているのだ。

もちろん、アルファロメオのDNAである官能的なドライビング・フィール、上質なクルマの造り込み、合理的なパッケージングなどの核心はきっちり守られている。そしてこの新しいジュリアは新たに開発されたFRプラットフォーム(コードネーム:ジョルジオ)を採用している。そしてフロントがダブルウイッシュボーン、リヤがマルチリンク、日立製カーボンファイバー・プロペラシャフト、アルミ材の多用などブランドに相応しい革新的なクルマ造りが行なわれているのだ。

この新世代ジュリアのフラッグシップがクアドリフォリオ(四葉のクローバー)だ。四葉のクローバーの名称を付けたからには単なるフル装備モデルではなく、アルファロメオの走りを象徴する特別なモデルといえる。

ジュリアは2.0L 4気筒200psのベースモデルが446万円、ジュリア スーパーが543万円、同じ2.0L 4気筒280ps/4WDのジュリア・ベローチェが597万円だが、クアドリフォリオは1132万円と価格的にも別格で、BMW M3、アウディ RS4、メルセデス・ベンツ C63 AMGなどに比肩する存在だ。

だから、搭載するテクノロジーも最新版で、装備も充実し、インテリアの上質な作りなど、価格にふさわしいクルマに仕上げられている。そしてクアドリフォリオならではの高揚感を高める熱さがプラスアルファとして加わっている点が一味も二味も違うところだ。

この注目のアルファロメオ クアドリフォリオに試乗できる機会が巡ってきた。

■ハイパフォーマンスと官能性を両立したV6エンジン

クアドリフォリオの持つ魅力のハイライトは、やはりこのエンジンだ。2891cc、ボア×ストロークは86.5mm×82.0mm、圧縮比9.3のV型6気筒直噴ツインターボ・エンジンは510ps/600Nmという高出力で、しかも最大トルクは2550rpmで発生する。

この新型エンジンは、フェラーリのエンジニアにより開発されており、フェラーリの血統を受け継いでいる。実はフェラーリの最新シリーズに搭載される3.9Lの90度V8ターボのボア・ストロークは86.5mm×82.0mmと共通で、実質的にグループ内でモジュラー・エンジンのV6版であることがわかる。

しかし、このエンジンはハイパワーエンジンというだけではない、低負荷時に作動する気筒休止システム、アイドリングストップも採用するなどきわめて現代的なスペックだ。

出力、シャシーの統合コントロールのために「DNAプロ」が装備され、センターコンソール上のダイヤルで、ダイナミック(D)、ノーマル(N)、アドバンスド・エフィシェンシー(A:エコモード)と、ダイヤル中央のボタンを押すことでレース・モードになり、これらのモードはセンターディスプレイにも表示される。

モードを選ぶことで、出力、レスポンス、そしてステアリングやZF製CDCダンパーの減衰力、排気サウンド、リヤデフのLSD効果やトルクベクタリングの効きが走り最優先モードに変更される。

Dを選ぶと、スポーツサウンドとともにシートに体が押し付けられる強烈な加速が味わえ、Rモードではさらに大きな排気サウンドとハイブーストの強烈なトルクが生み出される。ちなみにRモードではESCやドライバー支援システムもすべて強制的にオフになる、スポーツドライビング専用のアグレッシブなモードだ。

さすがに市街地でDやRモードを選ぶのは無謀で、市街地ならAモード、郊外の道路でNモードを選べば十分にトルク感のある気持ち良い走りが堪能できる。0-100km/h加速は3.9秒、最高速307km/h、ニュルブルクリンク北コースを7分32秒で走る強烈なスペックと日常での扱いやすさは違和感なく両立されている。

鋭いエンジンレスポンスで、アクセルの踏み込みとトルクの発生が寸分の遅れもない一体感、そして野太い、迫力のあるエンジンサウンドなど、このクアドリフォリオの価値の半分はこのエンジンにあるといっても過言ではない。

このエンジンに組み合わされるトランスミッションはZF製の8速ATだが、パドルによるクイックな変速はDCTとほとんど同じようなフィーリングで、Rモードを選ぶと変速時間も最小化される。変速ショックも感じられるようになるが、これもダイレクトな変速を感じさせる演出だ。

■豹変するハンドリング

ハンドリングは、通常の領域では操舵力も軽く滑らかで、あっけないほど普通のフィーリングだが、車速が60km/hを超えると操舵力が重めになり、切れ味が増してくる。特にDモード、Rモードにするとステアリングの切れ味が一段と鋭くなる。ボディ剛性の高さ、フロントの慣性マスの小ささも効果的で、ステアリングの効き、回頭の早さはスポーツセダンのカテゴリーを超え、もはやミッドシップ的な動きだ。

このクアドリフォリオのクイックな動きには、最初は戸惑う。しかし神経質すぎず、タイヤのグリップ感、安定感が高いので次第にドライバーがこの動きに馴染む。このカミソリのような切れ味に慣れるとリアルスポーツ・ドライビングの気持ちよさが心地よく感じるようになると思うし、これこそが他にはないクアドリフォリオの味なのだ。

ジュリアは、ボディパネルもアルミ製、サスペンションやサブフレームをアルミ材とするなど軽量化され、さらにクアドリフォリオはボンネット、ルーフはカーボン製と、より軽量なボディだ。また、大径ブレーキ、フロント245/35ZR19、リヤ285/30ZR19という太いサイズのピレリ PZEROコルサ・タイヤなど、見て、触るだけでもマニアをうっとりさせる。

また乗り心地も特筆すべきだろう。Rモードを選んでも道路の舗装の継ぎ目や段差でサスペンションが硬い割にショックが刺々しくなく、それ以外のモードでもしなやかで滑らかな乗り心地で、荒々しさを感じさせないようになっているのだ。



インテリアはカーボンパネルやバックスキンを多用したスポーツカー的なデザインだが、上質な作り込みがされ、カーボン骨格に上質な本革とアルカンターラを使用したシートもピタッと体に馴染む。

1000万円を超えるハイエンドのDセグメント・スポーツセダンであるジュリア クアドリフォリオは、ライバルとは違うマニアックな味付けで、その意味で唯一無二の存在であり、マニアの心に強く訴えかける力を持った超高性能モデルである。

アルファロメオ・ジュリア 諸元表

アルファロメオ ジュリア 関連情報
アルファロメオ 関連情報
アルファロメオ 公式サイト

こんな記事も読まれています

トヨタ 新型BEV「bZ3C」「bZ3X」を世界初公開!北京国際モーターショー
トヨタ 新型BEV「bZ3C」「bZ3X」を世界初公開!北京国際モーターショー
グーネット
マツダ 新型EV「EZ-6」&「アラタ」世界初公開!EZ-6は約600キロの航続距離
マツダ 新型EV「EZ-6」&「アラタ」世界初公開!EZ-6は約600キロの航続距離
グーネット
フィアット 500/500Cに1.2L エンジン搭載の新グレード追加!特別限定車も設定
フィアット 500/500Cに1.2L エンジン搭載の新グレード追加!特別限定車も設定
グーネット
レンジローバー初のEVモデル!プロトタイプ車両を公開 過酷なロケーションで走行テスト
レンジローバー初のEVモデル!プロトタイプ車両を公開 過酷なロケーションで走行テスト
グーネット
2023年度のリコール、総対象台数は前年比1.7倍の約810万台 国交省発表
2023年度のリコール、総対象台数は前年比1.7倍の約810万台 国交省発表
グーネット
[新型トライトン]早くも要改善!? ランドクルーザー250並の機能が欲しい……せっかく装備してんだからカメラ目一杯使おーぜ!!
[新型トライトン]早くも要改善!? ランドクルーザー250並の機能が欲しい……せっかく装備してんだからカメラ目一杯使おーぜ!!
ベストカーWeb
衝撃! ”空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイがレッドブル離脱か
衝撃! ”空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイがレッドブル離脱か
motorsport.com 日本版
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表
AUTOSPORT web
粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
ベストカーWeb
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
AUTOSPORT web
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
AUTOSPORT web
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
ベストカーWeb
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
Auto Messe Web
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
カー・アンド・ドライバー
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
グーネット
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
グーネット
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
グーネット
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
グーネット

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1340.01408.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149.52402.0万円

中古車を検索
ジュリアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1340.01408.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149.52402.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村