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Sクラスに導入される48Vシステムこそ欧州車の“電動化”の正体

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Sクラスに導入される48Vシステムこそ欧州車の“電動化”の正体

メルセデス・ベンツ日本は、最高級セダンの「Sクラス」に、新世代の直列6気筒ガソリンターボエンジンを搭載した「S450」を追加しました。この「M256」という新エンジンには、今後ドイツ車を中心に広がる技術的なトピックが幾つか搭載されています。これから話題になりそうな3つのデバイスと規格を簡単に紹介しましょう。

<ISG(アイエスジー)>
「インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター」の略で、エンジン始動や加速アシストに加え、減速時には走行エネルギーを回生できる、モーターとリチウムイオン電池を組み合わせたマイルドハイブリッドです。国産メーカーではスズキが似た機能でしかも同名のISGを実用化していますが、メルセデスのモーターはリング状で、エンジンとトランスミッションの間に組み込まれていること、後述する48Vの電気システムで作動することなどが特徴です。

帰ってきた直列6気筒 メルセデス最新の技術を搭載した「S 450」発表

ちなみに、最近ニュースではドイツなど欧州メーカーが2025年までにウン万台を“電動化”などという見出しが流れますが、その多くはマイルドハイブリッド車を意味します。欧州車が一気に電気自動車に変わるわけではありません。

<電動スーパーチャージャー>
M256エンジンのターボには、小型の電動スーパーチャージャーが付いています。排気で回る本体のターボが苦手とする低負荷ゾーンを、モーターで回る電動スーパーチャージャーで補うことで、素早い応答性やスムーズで俊敏な加速を実現します。

M256エンジンは発進加速時に、まずISGがエンジンをアシストし始め、続いて電動スーパーチャージャーが低負荷域を、最後にターボチャージャーが中高負荷域をブーストするという、いわば3段ターボ状態になっています。

<48V(ボルト)電気システム>
ISGや電動スーパーチャージャーはモーターが主役。その性能を高めるために、ドイツメーカー(VWグループ、ダイムラー、BMW)は従来の12Vから、48Vのより強力で効率いい車載電源規格を使うことにしました。ちなみにプリウスのHVシステムなどは200V級と高圧ですが、60V以上になると保護回路などのコストが膨らむので、48Vはコストなどの総合面から落とし所なのです。従来の12V系はメーターやコンピュータ、オーディオなど電圧の低い機器用として残されます。

この48V電気システムは、エアコンやエンジンのウォーターポンプにも使われるため、部品や回路の共通化が進み、コストメリットが期待でき、さらにアクティブサスペンションなどのハイテク電動メカニズムにも展開可能です。ISGや電動スーパーチャージャーも含め、その名称や構造などは各ブランドで異なるようですが、すでにアウディもA8やA6に類似の機能を搭載をはじめるなど、この動きはメルセデスに限ったことではありません。

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