現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アウディの考える「質」 企業訪問で見えた「狂気」ともいえる細部のこだわり

ここから本文です

アウディの考える「質」 企業訪問で見えた「狂気」ともいえる細部のこだわり

掲載 更新
アウディの考える「質」 企業訪問で見えた「狂気」ともいえる細部のこだわり

もくじ

ー 自動車会社からデジタルカンパニーへ
ー ボディパネルの隙間 0.2mmまで
ー トラブルシューティングの効率化
ー 4人のチーム 80%のイノベーションに
ー 電子顕微鏡に3億2030万円の投資

長期テスト アウディTT RS(1) 第一印象ならびに支払った金額は

自動車会社からデジタルカンパニーへ

9月に発売された、アウディ初の電動車「e-トロン」や、これらのモデルに見られる積極的なデジタル化には、アウディの確固たる「クオリティ」への追求が見て取れる。

「当社は、たんなる自動車メーカーから、新のデジタルカンパニーに成り代わるために、今までで最大の変化を迎えようとしています」とQA(品質保証)主任のワーナー・ホフマンはAUTOCARに語る。

「カスタマーから、わたしたちのクルマの機能性、快適さ、バリュー、信頼性に対する期待があるなかで、ことクオリティーはわたしたちの強みのひとつなのです」

ドイツ、インゴルシュタットに位置し、500の車両機能と2800人のスタッフを抱える、アウディのヘッドクオーターの品質部門では、電動化に伴い、複雑化している未来のアウディに対応すべく、最新の技術を採り入れている。

例えば、バッテリー式のアウディには、100以上のノード制御コンピューターが取り付けられる。これは、現在の一般的なエンジンが発するシグナル数が1万2000なのに比べて、10万ものシグナルを発するとされている。

アウディの品質チームが、直接、新製品の開発に関わるのは、一般的な4年製品サイクルの最終段階であり、完成されたモデルの質を最も向上させることができる、最後の6~10カ月間なのだという。

彼らは具体的にどんなことをしているのだろう? 取材にいったわれわれは、もはや「狂気」とも表現できそうなアウディの徹底したこだわりを目の当たりにした。

ボディパネルの隙間 0.2mmまで

アウディのボディの、キッチリとしたパネル同士の隙間は、すべて徹底的に計算されている。

計量学とは計測を目的とする科学。アウディは、高度なデジタル技術を使い、デザイン性と構造の互換性を改善することで、0.2mmのパネルギャップの公差をも改善しようとしている。

パネルを完璧なフィッティングで、ボディに付けていくための生産ツールが揃った状態である、ジョブ1(製作の第1段階)に先駆け、10カ月前にはマスター治具を独自に製作。同じ0.2mmの公差をインテリアにも適用している。さらにインテリアには専用のマスター治具も用意されている。

また新しいツールとして、ふたつの16MPMデジタルカメラを搭載したロボットアーム付きの光学治具が加えられた。

これは、100GBサイズの、完成したボディの3D模型を4時間で作りあげることができる。それ以前のスキャナーは、同じような模型を作るのに48時間ほどかかっていた。

スキャンすることで、生産ツールの正確性の下がる高いスポットと低いスポットと、元のコンピューターのデザインを比較し、実際にプレス用工具の位置を正確に調整するのに使われる。

次のステップは、すべてのアウディ車のボディ用に完全にマスター治具をデジタル化。生産品質を向上させ、公差を半分の0.1mmまでに削減することだという。

トラブルシューティングの効率化

アウディは、2018年のローンチに向けて、アウディ初となるEVの公道テストを実施している。

「コネクテッドカーとともに変化が始まっているのです」と車両品質統括部門を率いるアルンド・フォン・デム・ブッシェ・ハンフェルド氏は語る。彼のチームは600程のテスト車両を扱っている。

これらの車両は、インゴルシュタットにリアルタイムでデータを送り、素早いトラブルシューティングを可能にしている。

例えば、自動操縦機能のついた新しいA8は、8時間の間に50GBものデータを記録する。また、アウディは、更に複雑化したドライバーアシスタントシステムに対応するため、新たに主観評価システムを導入した。

車載のタブレットは、データ記録システムにリンクされていて、テストドライバーが試作車の評価を入力できるようになっている。「テクノロジーは開発を早めているわけではないが、30~50%増しのデータ処理を可能にしています」とフォン・デム・ブッシェ・ハンフェルドは語る。

4人のチーム 80%のイノベーションに

4人の半導体エンジニアで成るチームが、車内で使われるコンピューターチップと回路基板を完成させようとしている。

「現在、1台のクルマに最大8000の半導体が使われているんです」と語るのは、エンジニアのステファン・サイモン。「80%のイノベーションが半導体を基に行われているんですよ」と誇らしげな笑顔を見せる。

最近、この研究所では、アウディのオーガニックLEDテールランプの生産に向けた取り組みが行われた。OLEDは、ほんの数マイクロメートルの厚さで、これを0.5mmのガラス基板にくっつけるのだ。このOLEDが、アウディの独特な「流れる」ウィンカーを作り出している。

更に、この研究所では、A8用のレベル3自動操縦に使われる、レーザースキャナーのLIDARの使用を許可されている。このデバイスはヴァレオが生産しているが、アウディによってインゴルシュタットでの使用が認められている。

電子顕微鏡に3億2030万円の投資

アウディの新素材を扱う作業の核となっているのが、約200万ポンド(3億2030万円)する、FIB走査型電子顕微鏡だ。

この顕微鏡では、電子のビームを部品に当て、半導体、コーティング、フィルム、塗装などの細部を5マイクロメートルまでをスキャンすることができる。

最近では、A8のタッチスクリーンに問題を起こしていた、肉眼では気泡に見える、接着剤層にできた隙間を、FIBスキャニングを使い発見した。これによって、接着剤を変更することで問題を解決した。

こんな記事も読まれています

いすゞとUDトラックス、ジャパントラックショー2024に共同で出展へ
いすゞとUDトラックス、ジャパントラックショー2024に共同で出展へ
レスポンス
新型ヴェゼルがビッグマイナー! 新グレードも!
新型ヴェゼルがビッグマイナー! 新グレードも!
グーネット
やっぱりダイハツ不正の影響は大きい! 2023年度の新車販売台数ランキング「盤石のクルマ」と「急落したクルマ」
やっぱりダイハツ不正の影響は大きい! 2023年度の新車販売台数ランキング「盤石のクルマ」と「急落したクルマ」
WEB CARTOP
レッドブルF1、注目集まる2025年ドライバーラインアップ決定は”シーズン終盤”に「我々は今のペアで満足」
レッドブルF1、注目集まる2025年ドライバーラインアップ決定は”シーズン終盤”に「我々は今のペアで満足」
motorsport.com 日本版
ダイハツの「軽バン」は何に使える? 「車中泊好き」オジサンにピッタリ!? フラットフロアできる「アトレー」とは
ダイハツの「軽バン」は何に使える? 「車中泊好き」オジサンにピッタリ!? フラットフロアできる「アトレー」とは
くるまのニュース
最高に便利なアイデア! 大事なギアを保護して、スッキリ収納にも役立つ b/c 「CRUMM CR」【車に積みたいアウトドアアイテム】
最高に便利なアイデア! 大事なギアを保護して、スッキリ収納にも役立つ b/c 「CRUMM CR」【車に積みたいアウトドアアイテム】
月刊自家用車WEB
ロイヤルエンフィールド「INT650」 ブラックアウトされたエンジンを採用したDarkグレードを追加し発売
ロイヤルエンフィールド「INT650」 ブラックアウトされたエンジンを採用したDarkグレードを追加し発売
バイクのニュース
佐藤琢磨が日本人初のインディカーウイナーとして殿堂入り。初優勝の地ロングビーチに記念板が埋め込まれる
佐藤琢磨が日本人初のインディカーウイナーとして殿堂入り。初優勝の地ロングビーチに記念板が埋め込まれる
AUTOSPORT web
【お出かけ情報】GWは“もてぎ”が熱い!!「働くクルマ大集合‼」など家族で一日楽しめるイベントが盛り沢山!
【お出かけ情報】GWは“もてぎ”が熱い!!「働くクルマ大集合‼」など家族で一日楽しめるイベントが盛り沢山!
carview!
ボルボ EX30【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
ボルボ EX30【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
ヤマハ「XSR900」もマルボロ(っぽい)カラーに! ブラックも新色でXSR900 GPと同時発売
ヤマハ「XSR900」もマルボロ(っぽい)カラーに! ブラックも新色でXSR900 GPと同時発売
WEBヤングマシン
【新車価格情報】国産車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年4月20日時点
【新車価格情報】国産車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年4月20日時点
カー・アンド・ドライバー
ホンダが「新型SUV」発表!  トヨタ「ハリアー」サイズの「“クーペ”ボディ」採用! 斬新デザインがカッコイイ「e:NS2」中国で予約受付開始へ
ホンダが「新型SUV」発表! トヨタ「ハリアー」サイズの「“クーペ”ボディ」採用! 斬新デザインがカッコイイ「e:NS2」中国で予約受付開始へ
くるまのニュース
ホンダの“原付二種”スポーツネイキッド「CB125R」に2024年モデル登場! 新設計メーターは視認性抜群!! 新色のブルーがさわやかです
ホンダの“原付二種”スポーツネイキッド「CB125R」に2024年モデル登場! 新設計メーターは視認性抜群!! 新色のブルーがさわやかです
VAGUE
「マジでカッコいい!」トヨタの大型SUV「新型フォーランナー」に高評価の声! 超タフな「次期型ハイラックスサーフ」のデザインに寄せられた反響とは
「マジでカッコいい!」トヨタの大型SUV「新型フォーランナー」に高評価の声! 超タフな「次期型ハイラックスサーフ」のデザインに寄せられた反響とは
くるまのニュース
サーキットはもちろん、日常のアシとしても魅力的! 「ヒョンデ・IONIC 5 N」試乗インプレッション
サーキットはもちろん、日常のアシとしても魅力的! 「ヒョンデ・IONIC 5 N」試乗インプレッション
月刊自家用車WEB
スズキ「バーグマンストリート125EX」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
スズキ「バーグマンストリート125EX」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
どうせ乗るなら、悪路に強くてカッコいい車がいい! アウトドアカーの代名詞的な三菱 デリカD:5がベースのキャンパー
どうせ乗るなら、悪路に強くてカッコいい車がいい! アウトドアカーの代名詞的な三菱 デリカD:5がベースのキャンパー
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村