現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アウディRS4アバント 英国初試乗 AMG C63とどちらを選ぶ?

ここから本文です

アウディRS4アバント 英国初試乗 AMG C63とどちらを選ぶ?

掲載 更新
アウディRS4アバント 英国初試乗 AMG C63とどちらを選ぶ?

もくじ

どんなクルマ?
ー 第4世代のRS4
ー 筋力アップとダイエットを両立
ー 迫力のルックス、引き立てる高価なオプション

アウディ新型RS4アバント 初試乗 4代目の操舵/乗り心地、洗練と迫力を両立

どんな感じ?
ー 強烈に速いクルーザー
ー パフォーマンスカーとしては不満な走り
ー 1.7トンの功罪

「買い」か?
ー 楽しむには高すぎる限界

スペック
ー アウディRS4アバントのスペック

どんなクルマ?

第4世代のRS4

4代目となるアウディRS4アバントは、ベース価格が6万ポンド(約900万円)を突破。メカニズムは、面白みに欠けた先代から大幅な変更を遂げた。マラガでの国際発表会でも試乗しているが、今回は3月に発売を控えた英国の路上が舞台だ。

新たな装備の多くは、現行RS5と共通する。特徴的な4.2ℓ自然吸気V8に別れを告げ、2.9ℓV6 TFSIを搭載。これは初代以来のV6ツインターボ復活だが、2.7ℓだったかつてのユニットよりわずかに排気量を拡大している。先代より燃費性能は20%近く向上し、CO2排出量は実に半減しているという。

とはいえ、それらはもちろん、取り上げるべき数字のほんの一部に過ぎない。

ダウンサイジングユニットのV6は、V8より31kgの軽量化を実現し、その分だけ鼻先が軽くなっている。また、両バンクの間に排気マニフォールドとタービンを配置する、いわゆるホットVレイアウトを採用。吸気系の取り回しが短縮され、結果、ターボラグの軽減に成功している。

筋力アップとダイエットを両立

そして、このユニットはパワフルだ。排気量は縮小したが、爆発的な能力を秘めている。450psのパワーは今や驚くほどの数値ではないが、1900~5000rpmで発生する61.2kg-mのトルクは、凶暴なまでの加速が持続することを示唆している。

0-100km/hのタイムは4.1秒、最高速度はリミッターが250km/hで作動するが、1450ポンド(約22万円)の追い金で解除すれば280km/hに達する。

軽量化は、エンジンのみに留まらない。ボディで15kg、前後アクスルで12kg、電動ステアリングで3.5kg、クワトロ4WDシステムで12.5kg、そして、リアアクスルに備わるスポーツ・ディファレンシャルだけでも1kgを、先代のものから削り落としている。

さらに、オプションのカーボンセラミック・ブレーキと20インチのホイールを装着すれば、それぞれ8kgのダイエットに。こうしたもろもろを積み重ねて、このB9系RS4は、先代のB8系より最大80kgも減量。もしかしたら、これを皮切りにRSシリーズの重量削減が進むかもしれない、と期待させる。

ただし、オプションリストの項目が例によって山盛りなので、せっかくの軽量化を損なわないよう気を付けたい。走りにかかわるアイテムをピックアップするなら、スポーツサスペンションが2000ポンド(約30万円)、ダイナミック・ステアリングが950ポンド(約14万円)といったところ。1200ポンド(約18万円)でスポーツエグゾーストも追加でき、アウディの言うB5系のV6を彷彿させるサウンドが味わえるが、その元ネタは鈍くて冴えない音だったのだから、別にうれしくもない話だ。

迫力のルックスを引き立てる高価なオプション

ルックスについては、先代よりだいぶ迫力が増している。シャープな角度や彫りの深い造形、スポーティな味つけを各部に与え、前後ライトをダーク処理としたことなどが要因だ。ほぼメルセデス-AMGのC63ワゴンと同等のサイズだが、RS4はハードなメカっぽさで差をつけている。

ナバラブルーのようなコンサバティブなカラーでも645ポンド(約10万円)のオプションだが、一見して装備を充実させた3.0 TDIと見分けにくいようなそれが、多くのユーザーには支持されるだろう。

周りが避けて通るような個性が欲しいなら、同じ金額で奇抜なソノマグリーンに塗ることもできる。これにプライバシーガラスと、550ポンド(約8万円)のブラックスタイリングパッケージを追加すれば、近寄りがたい存在になれるだろう。いろんな意味で。

しかし、パール色のベガスイエローに2400ポンド(約36万円)、アンスラサイト塗装の20インチ・ツインスポークホイールに2400ポンド(約36万円)、カーボンブラックパッケージに5000ポンド(約75万円)と、際限なくアイテムを足していくと、価格はスーパーカーのレベルに近づいていく。はっきり言って、それは実用性に乏しい出費だ。

どんな感じ?

強烈に速いクルーザー

英国のひどい舗装の上でも、どこまでも速い。実際、このクルマのポテンシャルを引き出せるかは、精神力にかかっているといってもいい。絶叫マシンのように興奮して乗るのではなく、淡々と走らせるのだ。

450psは、アウディスポーツ物件としては控えめだ。かつてクワトロGmbHと名乗ったチューニング集団の作品としては、RS7パフォーマンスが605psだ。もっとも、ウェイトはRS4の1715kgより200kgばかり重いが。となれば、このクルマは一般的なアウディが快適に走れる範疇で生きるべきクルマだ。めちゃくちゃに飛ばすと、路面状況にかかわらず、スタビリティが怪しいことになってくる。

クワトロシステムには期待を寄せるところだろう。おまけに、試乗車ではコンチネンタルのスポーツコンタクト6だったタイヤは、265幅もある。

レースさながらの走りをしてみても、8段のトルコンATが苦も無くスムースに変速し、クルマとのマッチングの良さを示してくれる。前後駆動力配分は通常40:60だが、トラクションの状態により最大でフロントへは85%、リアへは70%まで比率を高められる。その変動ぶりは、十分に感じ取れるレベルだ。

試乗車のパッシブダンパーは、高速道路を滑らかに走るようセッティングされているようだ。ホイールコントロールは簡潔で、ロールはかなり走り重視のホットハッチのように制限されている。

方向転換も文句なしだが、細いリムとクイックレシオのステアリングには、決してアルファ・ロメオがジュリア・クアドリフォリオで味わわせてくれるような爽快感を期待してはいけない。クルーザーのようでありながら速い、そんなクルマだ。

パフォーマンスカーとしては不満な走り

スタビリティの問題は、つまるところこのステアリングに起因する。軽く精確だが、フィールはデッドだ。スロットルやブレーキの操作と組み合わせても、たいていの場合は無難な仕事をする。

アンジュレーションのあるS字で、2速や3速での全開加速を試してみると、馬鹿にしたようにあっさりとこなす。路面の荒れた低速コーナーへの進入でハードにブレーキングしても、動じることはない。

ここで自問自答してしまうのだ。これが本当に、パフォーマンスカーに望むものなのか、と。ファミリー向けのワゴンであれば、これでいいのだが。

3ステージ式スタビリティコントロールはよく調整されており、どんな場所にもそうと気づかぬうちに合わせてくれる。トルクベクタリングの助けもあって、走りはまさにオン・ザ・レールだ。

では、それを解除したらどうなるか。

スポーツ・ディファレンシャルをダイナミックモードに入れると、RS4は中速コーナーをとりあえずは抜けながらも、テールを振り回せるようになる。

ただし、C63ワゴンのようにナチュラルではなく、基本的にはアンダーステア傾向だ。メルセデスで楽しめるようなパワー・オーバーステアに持ち込もうというなら、幸運を祈るとしか言いようがない。試みた途端、強烈な荷重移動に見舞われることとなる。

1.7トンの功罪

乗り心地において、大きな振動を抑える上で重量は核となる要素だ。一日中移動するような使い方が多ければ、その重要度は高い。ところが、短距離移動が多いような場合には、その重さが燃費というかたちで財布にのしかかってくる負担を増すことになる。

RS4のようなパフォーマンスカーであればやむなし、と考えるのが常識だが、アウディなら何とかしてくれる、と勘違いしているなら、結果には失望するだけだ。

今回、短時間ながらRSスポーツサスペンション・プラス仕様にも試乗が叶った。これは、対角線上にある3ステージ式アダプティブダンパーを油圧経路で結んだ、ダイナミックライドコントロールを備える仕様だ。

2000ポンド(約30万円)の価格は決して安くないが、本体が6万ポンドを超えるクルマのオプションとしては妥当なのかもしれない。少なくとも、ボディカラーにそれ以上を払うよりは有意義な出費だ。

この構造の狙いは、加減速時やコーナリング中のピッチとロールを軽減することにある。その恩恵をはっきりと享受できるのは、サスペンションのセッティングをコンフォートモードにした際で、そこでは低速の突き上げを和らげ、コーナーでは適度にロールしてくれる。

買いか?

楽しむには高すぎる限界

はたして、この1.7トンのワゴンはドライバーズカーなのか。個別の要素をつなぎ合わせていけば、そうだといえる。

速さ、断然たる機敏さ、どこまでも予測しやすいレスポンス、どれをとっても、どれをとっても満足度は間違いなく高い。これがワゴンだということも考え合わせれば、驚くべきアジリティの持ち主だ。

しかしながら、このクルマの捉え方は、乗り手の好みに大きく左右される。振り回して楽しみたいというなら、メカニズムがそれを許容しない。まず、RS4の限界は、公道上で引き出すには高すぎる。そして、電子制御デバイスが、そういった走りを受け入れようとはしてくれない。

ただし、限界域は間違いなくC63ワゴンより上だ。また、そのAMGのワゴンにはソウルフルなV8ツインターボと秀逸なハンドリングバランスを備えるが、インテリアはクオリティもエルゴノミクスもRS4には敵わない。試乗することなく発注するようなユーザーには、RS4は実に魅力的な商品と映るだろう。

アウディRS4アバントのスペック

こんな記事も読まれています

「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
くるまのニュース
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
AUTOCAR JAPAN
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
Auto Messe Web
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
AUTOCAR JAPAN
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
driver@web
B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
AUTOSPORT web
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
グーネット
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
レスポンス
マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
AUTOSPORT web
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
AUTOSPORT web
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
くるまのニュース
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
月刊自家用車WEB
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
WEB CARTOP
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
くるまのニュース
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
レスポンス
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
motorsport.com 日本版
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
AUTOSPORT web
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
@DIME

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1427.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

255.01200.0万円

中古車を検索
RS5の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1427.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

255.01200.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村