もくじ
どんなクルマ?
ー 初代ゴルフ並みの影響力
ー 1070kgの車重に充実した装備
6代目VWポロ1.0 TSI試乗 実用性と快適性、ライバルさらに引き離す
どんな感じ?
ー ヘアピンは少し苦手でも、VW共通の快適さ
ー 得意分野は高速コーナー
ー 笑顔になるドライビングフィール
「買い」か?
ー 高い説得力を持つ仕上がり
スペック
ー フォルクスワーゲンUp! GTIのスペック
どんなクルマ?
初代ゴルフ並みの影響力
フォルクスワーゲンUp! GTIの記事を書く時、フォルクスワーゲンの初代ゴルフGTIについても触れない訳にはいかない。Up!は正確には直系ではないが、フォルクスワーゲン自身、ホットハッチの元祖の存在を尊重しているからだ。
1976年の初代ゴルフGTIの登場以来、歴代のゴルフGTIだけでなく、すべての自動車メーカーは、その存在に倣ってきたと言える。
初代ゴルフと比較すると、デザインは大きく変化しているUp!。しかし両車は近似した力、影響力を持っていると思う。
その中で最も注目すべき点は、初代のホットなゴルフが持ち合わせていたような、輝きやエンターテイメント性、フレッシュな空気感をUp!からも感じられること。
ちなみにフレッシュな空気と言えば、Up!は、95%もの排気ガスに含まれる微粒子を取り除く、「ガソリン微粒子除去フィルター」を始めて搭載したクルマでもある。
フォルクスワーゲンみずからオマージュする初代ゴルフGTI。しかし、Up!が1070kgで、初代ゴルフGTIは810kgという車重には、フォルクスワーゲン自身は触れていない。新しいコンパクトカーはゴルフよりも2クラスほど小さいホットハッチだが、随分と車重は重くなっているじゃないか。
1070kgの車重に充実した装備
しかし車重増は仕方のないことだと思う。
重くなった反面、とても冷えた日の朝や、とても暑い日の午後、ラジオを聞いたりするのに、初代ゴルフよりもUp!は遥かに快適だ。それに、もし街路樹に突っ込んでも、より安全。そのための重量増であると考えるべきだろう。
むしろ今の時代、1070kgは軽量な方。115psを5000rpmで発生する3気筒999ccのエンジンでも、ホットとまでは言えないにしろ、充分楽しめるハッチバックにしくれている。
このエンジンはターボの力を借りて、20.2kg-mという充分な最大トルクを、2000rpmから生み出す。6速マニュアルを介して前輪を駆動し、0-100km/h加速は8.8秒となっている。
またエッジの効いたスタイリングもわたし好みで、1万3750ポンド(208万円)から買える3ドアモデルが良いと思う。GTIはスタンダードモデルから15mmローダウンされ、17インチのアルミホイールに195/40タイヤを履いているが、デメリットはなさそうだ。
高めのシートポジションに変更はないが、電動パワーステアリングとベンチレーテッドディスクブレーキはポロの物を加工して装備。リアがトーションビーム、フロントがマクファーソン・ストラットのサスペンションは、アッパーマウントが強化され、フロントのロワアームは新設計のものになている。
アダプティブダンパーは備わっていないが、1万4000ポンドを下回るコンパクトカーに必要はないだろう。
早速走り出してみたい。
どんな感じ?
ヘアピンは少し苦手でも、VW共通の快適さ
フォルクスワーゲンのすることは、大抵いつも正しい。
ドアはズシンと閉まり、インテリアの素材やデザインも、真っ当で気が利いている。フロントシートは平面的なもののサイズは大きく、チェック柄のファブリックが可愛い。気付きにくいような部分にも、エルゴノミクスデザインが行き届いている。
社用車のゴルフやパサートからUp!へ乗り換えても充分に快適で、全長が短くなった後ろを振り返らない限り、クルマが違うということを意識する場面はほぼないだろう。
今回のテストは、空港から続く一般道からのスタート。乗り心地は、路面のほとんどの凹凸はうまく丸めるが、条件によっては時折処理しきれない場面があった。
このような荒れた路面では、風切り音やロードノイズの静かさもあり、ドイツ車にとっては若干不利な条件だと言える。それでも、Up!の充分にドライビングは楽しく、場違いな印象はまったくない。
ただ、峠道の急なヘアピンなどでは、特にエキサイティングな印象がないことも事実。ヘアピンのようなきついコーナーとなると、ブレーキングまでは良いのだが、ステアリングを切り込んでいくにつれて、フロントタイヤはグリップするものの、シャシーの限界は意外と低いことに気づく。
その後、アクセルペダルの操作で歩み寄ってはいけるのだが、運転席からの視界の悪さが足を引っ張る。
得意分野は高速コーナー
一般的にFFよりもFRの方が、ドライビングはエキサイティングになるものだが、Up!の技術的な努力は認めたい。
ブレーキペダルを踏んだ感覚も良く煮詰められており、コーナーへのアプローチは楽しめる。軽快なマニュアルのシフトフィールも心地よい。アクセルペダルの位置も、ヒール&トウがしやすく、右ハンドルのクルマの場合は足元の空間にも余裕がある。
シャシー性能で大きく左右する高速コーナーでは、前輪と後輪ともにその状況や存在感は掴みやすいし、横方向へのグリップも充分。ステアリングは若干重さを増し、十分なフィードバックもある。ストレートめがけて加速するまで、アンダーパワーとアンダーステアの中で確実な操舵が可能だ。
車重自体が軽量なため、低速域での柔軟性の高さもボディコントロールを犠牲にしたものではないし、比較的控えめなタイヤサイズながら、適正なレベルのグリップを提供する。
クルマの持つパフォーマンスを、市街地などでも十分引き出して味わうことができる。
笑顔になるドライビングフィール
ステアリングも正確でクイック。
ちょうど良い重さがあり、シャシーの基本性能が高いので、レスポンスに不満を感じることもない。攻め込んでいくと最終的にアンダーステアが露呈するが、限界域も掴みやすく、汗をかきながらコーナーに突っ込むというより、リラックスしながら思わず笑顔になってしまう、そんなペースで楽しめる。
エンジンとミッションも、楽しいドライビングの良いパートナー。
この価格だから、デュアルクラッチのオプションはないものの、クルマのスピードに合わせてマニュアルの操作を満喫できる。低速域では若干ターボラグがあり、2000rpmで発生する最大トルクは、数値としては間違いないのだろうが、若干実感に乏しい。
エンジン音を室内へ増幅させるサウンドシンポーザーも搭載しており、レブリミッターまで誇張しつつ、3気筒のザラ付いた音を、予想していたよりもスポーティな雰囲気に変換してくれる。
「買い」か?
高い説得力を持つ仕上がり
スズキ・スイフト・スポーツのようでもあるが、スイフトには、ここまでの乗り心地とダイレクトなエンジンは備わっていない。
また、ダイナミックさに欠けており、初代ゴルフGTIに似ている、という訳ではない。ビジュアル面での共通性などを除いてしまうと、まったく別の自動車メーカーが作ったクルマにも思える。
しかしそれで問題ない。そもそも、Up! GTIと810kgのホットハッチとの比較は、とても難しいものだろう。
結果、今日、この価格帯で買えるクルマを俯瞰してみると、Up! GTIの高い仕上がりは、高い説得力を持っているということに気づくだろう。
素晴らしいパッケージと、楽しさに溢れたクルマ。手に入れる価値はある。
フォルクスワーゲンUp! GTIのスペック
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