もくじ
どんなクルマ?
ー デザイン目を引く 新フラッグシップ
ー まずは2.0直4ターボ×4WDが導入
どんな感じ?
ー 「Advance」599万円 装備充実へ
ー 高速移動が不得手 「快適性重視の旦那仕様」
「買い」か?
ー 価格がアウディA4に接近 装備で勝負
ー お得だが、日本で受けるかどうかは別
スペック
ー アルテオンR-ライン 4Motionのスペック
どんなクルマ?
デザイン目を引く 新フラッグシップ
もしもフロントにVWマークがなければ……ピニンファリーナ以外のカロッツェリアが手がけたフェラーリか、とカン違いしちゃうかも的なイタリアン・デザインをまとった5ドアのクーペ。
ホイールハウスとフロント・ドアのあいだが狭いから、エンジン横置きのFWD(または4WD)、と知れるけれど、ロー&ワイドなプロポーションはスポーツGTのそれだ。
リア・フェンダーからテールエンドにかけての微妙な膨らみはセクシーで、後ろ姿にもハッとさせられる。パッと見、カッチョいい!
AUTOCAR読者なら先刻ご承知のように(とヨイショしちゃったりして)、フォルクスワーゲンの新しい旗艦アルテオンの正式デビューは2017年3月のジュネーヴである。
およそ半年で日本での発売準備を整え、秋の東京モーターショーにやってきた。ルーフラインはそっくりながら、これまでのパサート・ベースのCCとは少々立ち位置が異なっている。そう、ようはフラッグシップなのである。
まずは2.0直4ターボ×4WDが導入
メカニズム的には、エンジン横置きMQBプラットフォームを使っているわけだけれど、ホイールベースは2835mmもあって、パサートの2790mmより45mm長く、4865mmの全長と1875mmの全幅は、それぞれパサート比90mm長くて、45mm幅広い。それでいて全高は1435mmと、1485mm~1500mmのパサートよりグッと低く仕立てられている。
格子状のグリルの横方向のバーの延長に細長いLEDヘッドライが続いているのも、ボディ・サイドにショルダー・ラインがパキッと走っているのも、ワイド&ローを強調するデザイン・マジックである。
そこへもってきて、19、もしくは20インチの大径タイヤ&ホイールが足元をひきしめる。カッチョいいのである、繰り返しになるけれど。
ドイツの国民車の旗艦はしかし、ドイツの国民車であるだけに、カッチョいい、のひとことでとどまらない。
ダイナミックでスポーティなエクステリアでありながら、広い居住空間と驚異的なラゲッジ・スペースを隠し持つ。リアには巨大なゲートが設けられていて、開けると日本の畳がそのまま入りそうなほどに(あくまで個人の印象です)広大な荷室が現れる。
ワゴン並みの高い機能性を備えた、グランツーリズモ。コスパも高い。「これぞ、プレミアム・カーメーカーに挑むわれわれのやり方である」という決めゼリフがVW首脳のジュネーヴでのスピーチにある。
日本仕様でとりあえず導入されるのは、280psの2.0 TSIと最新の湿式7速DSG、それに4WDを組み合わせた4Motionのみ。ホイールが19インチか20インチか、など装備の違いによって2グレードの用意があるけれど、いずれもスポーティヴネスが強調されたR-Lineデザインとなる。
もっとも、R-Lineしかないので、R-Lineではないアルテオンとどう違うのか。アルテオンといえばR-Lineデザインなのである。
どんな感じ?
「Advance」599万円 装備充実へ
テスト車はアルテオンR-Line 4Motion Advanceという一番高いモデル。一番高いだけに車両価格599万円と少々値がはるけれど、装備は至れり尽くせり。
VWが誇る運転支援システムに、20インチ・ホイール、センターデフにハルデックスを用いた全天候型4WDで雨でも安心、ナパレザーのシートには運転席限定でマッサージ機能まで付いている。ありがたいことである。
ブラック基調のインテリアにはところどころにクローム・パーツが輝き、高い品質を感じさせる。さすがドイツものである。ナパレザーは柔らかくて、座り心地がよい。
走り始めると、低速でも乗り心地がよいことに驚く。タイヤはピレリPゼロで、245/35という極太扁平スーパーカー・サイズの大径20インチだというのに、ドタドタしない。アダプティブシャシーコントロール「DCC」の恩恵だ。「ドライビングプロファイル機能」が装備されており、「スポーツ」にすると、ダンピングがはっきりと硬くなる。街中では「コンフォート」のほうが洗練されている。
4バルブの2ℓ直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボは最高出力280ps/5600~6500rpm、最大トルク35.7kg-m/1700~5600rpmを発揮する。数字が示すように中低速トルクがゆたかで、過給エンジンぽくない。
エンジン型式DJH、は310psのゴルフRと同じだ。ただし、そのデチューン版ゆえに最高出力もサウンドも控えめになっている。
高速移動が不得手 「快適性重視の旦那仕様」
今回は神奈川県横浜市金沢区の工業地帯が舞台の試乗会だったため、走る時間と場所が限られていたことを前提としなければならないけれど、その限られた範囲の印象では、アルテオンは高速移動が得意ではなかった。
タイヤの空気圧の警告ランプが点灯してもいたので軽々には申し上げられないけれど、4WDなのにどうなっているんでしょうか? 高速スタビリティに、VWのいつもの安心感、安定感がない。
ぜひ、ほかの方のインプレッションも参考にしていただきたい(個体差かもしれないし)。
100km/hを超えての話だから、日本では関係ないという見方もある。それにしても、アウトバーン生まれのクルマとしは珍しい事例といわねばならない。
中国シフトだから、なのでしょうか? そもそも「Arteon」という名前は「Phideon(=フィデオン)」という、フェートンにつらなる系譜の、中国で売られている高級車との関連でつけられたという。
このカタチに一目惚れしちゃった走り屋のひとには、意外とこれ、快適性重視の旦那仕様ですよ、ということをお伝えしておきたい。だからいいんだな、という旦那衆もいらっしゃるだろうし。
追記:以上の記述に対して、後日フォルクスワーゲン・ジャパンより以下の連絡があった。
「テスト車は前日、片側のタイヤのサイドウォールをこすったため、そこだけ新品に交換していました。この個体は走行距離5000km余りだったため、タイヤの新旧の違いが高速スタビリティに影響を与えていた可能性があります」
タイヤの空気圧の異常を知らせる警告灯も点灯していた。機会があれば、完調のアルテオンを再テストし、その結果を読者諸兄にお知らせしたい。
「買い」か?
価格がアウディA4に接近 装備で勝負
600万円のフォルクスワーゲン、というのは丸い四角のようである。と、いつまでも考えているべきではあるまい。ひとはなりたいと思うものに、いつかなる。目的地を決めて地道に歩き続ければ、千里の道といえども、いつか必ず到達する、と信じたい。
「国民車」という意味のブランド名がいま、ウォルフスブルグに覆いかぶさっている。
かねてより、このドイツの国民車ブランドはプレミアム・クラスへの進出を図ってきた。労働賃金の高いドイツ国内で生産する限り、割高になるのだから、目指すはプレミアム方向にしかない。アルテオンはピエヒ時代から続く、VWにとって何度目かの挑戦作である。
かっこよくて実用的でコスパが高い。なにせアウディA4よりもでっかいボディで、599万円である。A4セダンの2.0TFSIクワトロ・スポーツは624万円で、あれ、なあんだ25万円しか違わない。
意外と高いのは、冒頭に記したナパレザーのシートやらマッサージ機能やら大径ホイールやらによるもので、つまりこうやってなんやかんやと装備をつけて、得ですよ、得ですよ、とプレミアム価格に迫ろうという戦略である。
お得だが、日本で受けるかどうかは別
100円ショップであれもこれもと買っていたら、意外とけっこうな値段になっていた記憶が読者諸兄にもおありだろう。ユニクロもそうです。でまた、100円ショップもユニクロも製品がよかったりするのである。
アルテオンは賢い消費というものに焦点を当てている。ゆえに買いたいひとは買うべきである。筆者のような保守派、フォロワー型を自認する、いまではそう呼ばなくなったいわゆる一般大衆は、もう少し様子を見てもよい気がする。ま、世の中、ほとんどの方は買わない派なので、特別なことを申し上げているわけではないのですけど。
気になるのは、アルテオンはもしかして中国では爆発的人気を得るかもしれないけれど、中間層がやせ衰えている先進国においてどうなのか、である。
買いか? とたずねられて「待て」と答えざるを得ないほどにVWは革新的なモデルを送り出した、ということである。
そういうメーカーの姿勢を応援したい、とおっしゃる方こそ、真のエンスージァストであるかもしれない。ガレージにとまっていたら耳目を集めることは疑いない。だってカッチョいいから。
アルテオンR-ライン 4Motionのスペック
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