現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ヒュンダイ/キアにBMWのアルバート・ビーアマン移籍 今後の展開は? インタビュー

ここから本文です

ヒュンダイ/キアにBMWのアルバート・ビーアマン移籍 今後の展開は? インタビュー

掲載 更新
ヒュンダイ/キアにBMWのアルバート・ビーアマン移籍 今後の展開は? インタビュー

もくじ

ー BMWのエリート ヒュンダイグループへ
ー キアとヒュンダイ 楽しいクルマのブランドへ
ー M部門の知見、ドイツブランドを揺さぶれるか?
ー ビーアマンの「記憶に残る作品群」

BMW、より上流志向へ デザイナーとマーケターが見据える未来とは?

BMWのエリート ヒュンダイグループへ

車両テストおよびハイ・パフォーマンス・モデル開発担当上級副社長。なかなか悪くない肩書きだ。

ヒュンダイとキアを傘下に持つヒュンダイ・モーター・グループにおいて、この肩書きがアルバート・ビーアマンのものになってから既に数年が経過した。

57才にとって、もし新たなオファーを受けたのが既に32年も同じ職場にいた後ならば、ほかにどういう選択肢があっただろう? 特に、その元の職場がBMWで、あのMディビジョンの責任者だったなら。

ビーアマンは自身の足跡と、成し遂げたことを思い返し、そして、なぜ挑戦しないのか? と考えたという。

そして数年が経ち、いまヒュンダイ・グループはキア・スティンガーとヒュンダイi30 Nを発売しようとしている。努力の結晶と呼んでもいいのかもしれない。

今年になってから、わたしは2度ビーアマンを見かけた事がある。1度目は4月、英国特有の道路と、主にはそこでの車両のハンドリングをテストするために彼が訪英した時。先月のフランクフルト国際モーターショーの舞台裏でだ。

その両方でビーアマンは調子が良さそうだった。

彼が市場に送り出そうとしている製品のできを考えればそれも当然だろう。ヒュンダイ初のホットハッチであるi30 Nと、キアがBWM 4シリーズ・グラン・クーペをライバルと見るスティンガーGTの2台は好意的に迎えられていた。上手く行っているようだ。

キアとヒュンダイ 楽しいクルマのブランドへ

「すべて準備完了ですね」とビーアマンはスティンガーGTについて語っている。「つまり、これまでは量産レベルじゃなかったけれど、今まさに韓国から欧州へ向かっているところです」

このグランド・ツアラーたるリア駆動の新しいエグゼクティブ・ハッチバック・クーペは、本誌テスターを含め、これまで運転する機会を得たひとびとから好意的な評価を受けている。

「キアのクルマがこんな風に走るなんてと、みんな驚いていますよ」とビーアマンは言う。「現時点では3.3ℓV6モデルしかラインナップには無いし、2.0ℓガソリン・モデルやディーゼルに力を注いでいる訳でもないけれど、こういったモデルについても非常に楽観的ですよ。もちろん足りないエンジンもあるけれど、スポーティ・モデルはありますから」

「予想よりも少し俊敏で、2年前の想像よりも、少しだけ運転を楽しめるでしょう。でも、もちろん究極に楽しいクルマではない。街中を運転するためにデザインされたモデルですからね」

彼はまた、キアは「次期シードについてもいま一生懸命取り組んでいますから、次のモデルでは走りの楽しさ、ハンドリングの正確さ、敏捷性なんかについて、多くの進歩が期待できますよ」とも。

「そして、もう少し注目を集める事になるはずです。でも、ご存知のとおり、われわれには多くのモデルがあって、そのすべてに同じような情熱を傾ける事は難しいんです」と話す。

「スティンガーに対する指針は他とは違ったものだったんです。それはわれわれがプレミアムカーのレベルに挑戦したから。ですからこのモデルに対しては、より挑戦的なアプローチを行いましたし、他のモデルに比べてより多くを費やしましたね」

ヒュンダイには既にジェネシス・ブランドがあるが、キアにとっては、これが初めて欧州のプレミアム・ブランドたちに挑戦する機会となる。市場の認識は変わったのだろうか?

M部門の知見、ドイツブランドを揺さぶれるか?

「それについては、まだ何とも言えないですね。しかし変わると確信していますよ」とビーアマンは言う。

「スティンガーがキアのすべてのモデルに対する期待値を変える事になると思います。われわれがより高いレベルで競い合えると証明してくれるはずです」

しかし、一方でキアがアウディ、BMWやメルセデス・ベンツと同じように語られるようになるには、まだ長い道のりが待っている事も、ビーアマンは認識している。

ビーアマンがMディビジョンであれほど長く働いてきたことを思えば、動力性能こそ彼が力を入れている部分だとわかるだろう。だからこその英国訪問だったのだ。

「英国でのテストで、よりチューニングに注力する必要があるとわかったんだ。チームは再度英国を訪問して、英国特有の条件にもっと慎重に対応する事になるでしょうね」と彼は話してくれた。

英国特有の荒れた路面は、キアとヒュンダイの今後のモデルのパフォーマンスを更に向上させてくれるはずだ。

「英国の道路はチャレンジングなんです」とビーアマンは言う。「英国の道は独特で、路面は荒れ、多くの起伏もあります。そして生垣の間を縫うように走る狭い道まで。もちろん街中の細い路地なんかもね。あんな道はドイツでは経験できない。でも、これまで欧州市場向けのチューニングはドイツでしか行ってこなかったんです」

つまり英国訪問は「われわれが今後、より敏捷性、ステアリング・レスポンス、そしてハンドリングの正確性に注力するという意思表示なんです」と彼は言う。「そして、もちろん、荒れた道路状況にも、もう少し対応するという意味でもあるんですよ」

ご存知のとおり、すべてのメーカーがこんな事をしている訳ではない。こういった事に少しばかり余計に注意して、物事を基本的に正しい方向へ進めようとする。これはキアにとっても新しい試みだ。

「いまいくつか新しい経験をしているところですよ」とビーアマン。「とても実り多い経験です。なんの前触れもなしに、いきなりわれわれのクルマが欧州のプレミアムカーと競合するようになるでしょうね。ドイツ勢もそれを楽しんでくれるはずですよ」

われわれもそう期待しています。アルバート。心から。

ビーアマンの「記憶に残る作品群」

BMW M3(E30)レースカー

このツーリングカーはE30 M3よりも少し多くの成功と名声を手にしている。BMWにおけるビーアマン初期のプロジェクトであり、彼自身がレースにスポット参戦していたことに由来する。

BMW X5(E70)

オリジナルのX5(E53)は画期的なクルマだった。ビーアマンは第2世代のプロジェクト・リーダーであり、このクルマをより高級なモデルとするべく指揮をとった。

BMW 1シリーズ Mクーペ

2008年、BMWのMディビジョンのトップにビーアマンが就任したタイミングで、Mモデルのターボ化が始まった。1シリーズMクーペは、2011年に作られたカルト的な傑作だが、これまでのところ、こういった車種の中でも最高のクルマだと言われている。

ヒュンダイ i30 N

ビーアマンが開発を主導した初のターボ付き前輪駆動モデルである。ビーアマンの着任前からNディビジョンは始動していたが、彼はこの素晴らしい新たなホットハッチにも携わっている。

関連タグ

こんな記事も読まれています

変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
ベストカーWeb
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
Auto Messe Web
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
カー・アンド・ドライバー
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
グーネット
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
グーネット
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
グーネット
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
グーネット
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
月刊自家用車WEB
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
AUTOSPORT web
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
AUTOCAR JAPAN
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
Auto Messe Web
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
グーネット
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
くるまのニュース
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
AUTOCAR JAPAN
マツダ、北京モーターショーで新型電動車2機種を初披露。2024年中に1車種を発売
マツダ、北京モーターショーで新型電動車2機種を初披露。2024年中に1車種を発売
driver@web
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
Auto Messe Web
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
AUTOCAR JAPAN
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
driver@web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

177.5207.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
i30の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

177.5207.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村