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ボルボ スカンジナビア・デザイン、上質さをアピールするプレミアムSUV「XC60」解説

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ボルボ スカンジナビア・デザイン、上質さをアピールするプレミアムSUV「XC60」解説

2017年10月16日、ボルボ・カー・ジャパンはフルモデルチェンジした新型「XC60」を発表した。ボルボの新世代プラットフォーム「SPA」を採用した90シリーズに続く第2弾となるクロスオーバーSUV。ボルボを支える基幹車種だけに、満を持しての登場となる。

(参考リンク:ボルボ 新型「XC60」試乗レポート)

ボルボXC60試乗レポート ジャーマンスリーをガチライバルとする新型ボルボXC60

■プレミアムを目指すポジショニング

XC60はボルボのベストセラーで、従来モデルは2009年に登場。グローバル累計で16万台を販売しており、また日本市場でもV40と並ぶ人気車種だ。XC60はモデル末期となっても売れ行きは好調なのだ。

そして、8年振りに登場した第2世代の新型XC60はS90/V90/XC90シリーズに続き、モジュラー設計のスケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)を採用。SPAプラットフォームならではのフロントホイールとAピラーの付け根の距離を十分に取り、ロングノーズ、ショート・オーバーハングのエレガントなプロポーションを実現している。

この新型XC60は2017年のジュネーブショーでワールドプレミアを行ない、まず最初に発売されたヨーロッパでの販売は従来型を上回る勢いの販売を記録し、市場で高い評価を受けている。

新型XC60はプレミアムSUVという位置付けで、今までのXC60よりさらに1ランク上の質感を指向している。つまり、BMW X3、アウディQ5、メルセデス・ベンツGLCというドイツ・プレミアムSUVと真っ向勝負であり、これらに勝るというクルマを目指している。

もちろん、XC60はボルボの最新のデザイン表現を採用。ぎらぎらとした装飾、荒々しいSUVの定番デザインを抑制し、エクステリア、インテリアともにエレガント、モダンで上質感のあるスカンジナビア・デザインと質感を追求し、新しい価値観を訴求している。

グレード展開は、モメンタム、インスクリプション、R-DESIGNの3機種で、エンジンは2.0L 4気筒のドライブ-Eがベースで、D4、T5、T6、T8(プラグインハイブリッド)と、90シリーズと同様のラインアップとなっている。なおD4とT6エンジン・モデルは2018年春に導入される。

■デザイン

新型XC60は遠くから見ると、これまでのXC60とよく似ているように感じられるが、仔細に見ると、新しいデザインが巧みに盛り込まれた新しいプロポーションを持っていることがわかる。

ボディサイドは、前後ドアを貫くシャープな2本のインバース・ライン、抑揚のあるボンネット上面、そしてサイドウインドウの後端は上方にせり上がり、よりダイナミック感のある仕上げになっている。またエクステリア全体はクリーンで上品な印象を与える仕上げになっているのが特長といえる。

新世代ボルボを象徴するLEDヘッドライトのデザインはトールハンマー形だが、90シリーズとはデザイン的に異なってる。また、モメンタム、インスクリプション、R-DESIGNのそれぞれがバンパー形状、フロントグリル、エキゾーストパイプなど専用デザインにしており、ディテールに拘っている。

インテリアのデザインも、インスツルメントパネル中央に縦型の9インチセンターディスプレイ、メーターパネル部は12.3インチのカラー液晶ディスプレイなど90シリーズのコンセプトを継承しているが、細部のデザインはXC60独自にリファインされている。

9インチのセンターディスプレイは、ナビ、インフォテイメントを統合し、スマートフォンと同様の操作で、すべてのコントロール、設定が可能。メーター・ディスプレイは4種類の表示ができ、好みで選択できる。また走行中は、ステアリングのメニューダイヤルと、発声コントロールによりインフォテイメント、エアコンなどを操作できるため、一般的なスイッチ、ボタンは劇的に少なくなっている。

左右一体化され、継ぎ目のないインスツルメントパネルの加飾パネルは、モメンタムがアイアン・オレ、インスクリプションは石白色のドリフトウッド、モメンタム、インスクリプションにオプションでリニアライムマットウッド、R-DESIGNはメタルメッシュ・アルミ(インスクリプションにオプション)とグレードごとに設定し、クロームメッキを使用せずにセンスの良い上質感を表現している。

ちなみにドリフトウッドとは、スウェーデンの西海岸に漂着するトネリコ科の木材で、海水に漂白されてアッシュ(灰白)色の独特の風合いを持つ木材だ。

シートもXC60のこだわりの部分で、90シリーズと共通化。軽量・高剛性の骨格に電動4パワーシートでホールド性、快適性を両立。インスクリプション用のシートは高級・本革(パーフォレーテッド・ナッパレザー)張り、ベンチレーテッド、マッサージ機能付きと、このクラスを超えたシートとなっている。

ボディサイズは、全長4690mm、全幅1900mm、全高1660mm、ホイールベース2865mmで、従来型に比べ全長、全幅は僅かに大きくなり、全高は55mm低められ、ホイールベースは90mm長くなっている。また車両重量は30kgほど軽量になっている。

最低地上高は215mmで、ラフロードでの走破性を確保。クロスオーバーSUVとはいえ4WDシステムとの組み合わせで、ラフロードを含む多様なシーンで走行ができるようになっている。

ラゲッジスペースは床下収納まで含めて505Lの容量で、60:40のリヤシートを倒すと1432Lの容量になる。プラグインハイブリッドのT8のラゲッジ容量は、これよりわずかに容量が少ない。

■エンジン、トランスミッション

搭載されるエンジンは、いずれもドライブ-Eと名付けられた新世代2.0L 4気筒のモジュラーエンジンで、T5はシングルターボで254ps/350Nm、T6はスーパーチャージャー+ターボで320ps/400Nm、D4はディーゼルターボで190ps/400Nm、そしてT8はT6用と同等の318ps/400Nmのエンジンと後輪駆動用のモーター(87ps)を発生する。

いずれも90シリーズと同様のエンジン・ラインアップだが、当然ながら90シリーズよりXC60は約200kg軽いため、XC60の動力性能はより高く、ライバルに対しても引けを取らない加速性能を備えている。

T8は2モーター式のプラグインハイブリッドのため、10.4kWhのリチウムイオンバッテリーをセンタートンネル部に搭載する。EVモードではバッテリーの電力のみで45.4kmの走行ができ、この状態では後輪での駆動となる。ハイブリッドモードではエンジンが発電と駆動を行なう。

トランスミッションは全モデルがアイシン製の8速ATを採用。クイックで、しかも滑らかな変速を実現している。4WDシステムは最新のハルデックス・カップリングを採用し、走行状態に合わせて、前後アクスルに自動トルク配分を行なうようになっている。

なお左右輪はコーナリング時に自動独立ブレーキ制御によるトルクベクタリングを行なうため、前後輪の駆動トルク配分と左右輪のトルクベクタリングにより、意のままのコーナリング・フィールを実現している。

■ボディ、シャシー

ボディは、熱間プレスされた超高張力鋼板のボロン鋼を27%、高張力鋼板を40%採用し、高剛性の骨格を形成し、その一方でアルミ材を6%採用。軽量さと高剛性を両立。ユーロNCAPでもトップレベルの衝突安全性能を達成している。

また、車高の高いSUVのためフロント・サブフレームの前方にロア・コリジョンメンバーを追加し、低車高のクルマとの衝突での加害性を抑制するなどボルボ独自の構造を採用している点も特筆ものだ。

サスペンションはフロントがハイマウント式のダブルウイッシュボーン、リヤはGFRP樹脂製の横置きリーフスプリングを使用したマルチリンク。この前後サスペンションの組み合わせは90シリーズと共通だ。リヤに樹脂製のリーフスプリングを採用することで、軽量化と低フロア化、さらにNVHの低減に効果を発揮している。

なおR-DESIGNは専用のスポーツ・サスペンションが採用されている。スプリングレートが30%前後のスタビライザー径も1mmアップされ、モノチューブ・ダンパーを採用。

さらに新型XC60 T8はエア・サスペンションを標準装備し、それ以外のグレードには30万円のオプションで装備できる。エア・サスペンション仕様の場合は連続可変ダンパーが組み合わされ、快適な乗り心地と優れた接地性を両立する。

もちろん走行条件に合わせて車高は自動的に調整される。高速走行:-20mm、ECOモード:-10~20mm、ダイナミック・モード:-20mm、オフロード・モード:+40mm(40km/h以下)、乗降・荷積みモード:-50mmといった設定になっている。

■安全装備

XC60の安全装備は、インテリセーフと名付けられる16種類の安全機能を備えている。また個々の機能も最新のXC60は一段と進化を遂げて、新たに3つの機能が追加されている。

センサーユニットはミリ波レーダーと高解像度カメラを一体化したユニットをフロントガラス上部に設置。マルチモード・レーダーは200m/20度、40mm/60度の照射角、カメラは52度の画角を持っている。

自動ブレーキシステムのシティセーフティにはステアリングアシスト機能が追加され、50~100km/hの間では、自動ブレーキだけでは衝突を避けきれない時、内輪にブレーキをかけて車両の向きを変え、さらに操舵アシストが加わって危険を回避するようになっている。

オンカミング・レーン・ミティゲーション(正面衝突回避支援機能)は、60~140km/hの速度域で対向車線へのはみ出しを検知すると、ドライバーに警告し操舵アシストで車両を元の車線に引き戻す機能が加わっている。

BLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)も、車線変更しようとした際に、死角に他車の存在があると警告を発し、操舵により元の車線へと引き戻すステアリングアシスト機能が追加されている。つまり従来のシステムにステアリングアシスト機能が追加されているのだ。

もちろん140km/hまでの速度域で速度、前走車との車間、そして車線を維持して自動追従するACC(パイロットアシスト)も装備される。このパイロットアシストにもECOモードが設定され、車間を長めに取り、加速、減速も滑らかさを重視した設定となる。

また90シリーズから採用されている、右折時対向車検知+自動ブレーキ、ランオフ・ミティゲーション(路外逸脱回避アシスト+乗員保護)も装備。

その他にパークアシスト・パイロット+360度カメラ、夜間大型動物検知、歩行者+サイクリスト検知など、多くの機能を充実させており、この分野ではライバルを上回る。

9年振りにフルモデルチェンジしたXC60は、メルセデス・ベンツGLC、新登場のアウディQ5、間もなく登場が予想される新型のBMW X3など強豪がひしめくプレミアム・ミッドSUVクラスに新たな名乗りを上げた。そして、ボルボならではの世界観、北欧のデザイン・テイスト、洗練された上質な走りやライバルを圧倒する充実装備によって、独自のポジションを築くことになるだろう。

ボルボ XC60 諸元表

(参考リンク:ボルボ 新型「XC60」試乗レポート)

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