もくじ
どんなクルマ?
ー 構成は一般的ながら「らしさ」が
どんな感じ?
ー 3名+撮影機材 高速巡航でも不足なし
ー C3、ワインディングの走りを検証
「買い」か?
ー 日本でもヒットする要素あり
画像ギャラリー
ー シトロエンC3のほかの画像を見る
スペック
ー シトロエンC3のスペック
どんなクルマ?
構成は一般的ながら「らしさ」が
シトロエンC3とは、Bセグメントに属するシトロエンのハッチバックで、今回の新型はその3世代目に当たるモデルだ。2002年発表の初代はかつての2CVを連想させるスタイルの5ドア、2代目もその発展型というべきモデルだったが、本国では去年発表された3代目はそれらとはまったく違う雰囲気のクルマだ。
3代目のボディは2代目より確実に拡大されて、全長3995×全幅1750×全高1495mm、ホイールベース2535mmと、全長こそ4m以内に収まっているものの全幅は5ナンバー枠の1700mmを超えて、今日のヨーロッパのBセグメントカーの平均的な大きさになった。
と同時にそのスタイリングも、2015年に世に出ていたC4ベースのクロスオーバー的存在、C4カクタスのデザインとテイストを採り入れたものに一変した。2段構えの分厚いノーズに始まるスタイリングは、若干SUVもしくはクロスオーバー風ではあるが、れっきとした5ドアハッチバックである。
新型C3の特徴をひとつだけ挙げろといわれたら、シトロエンらしさを確実に実現しているところ、というのが正解だろう。C4カクタスの発展型もしくはバリエーションといえるスタイリングがまず、他社のどのクルマにも似ていない。つまり、個性派シトロエンに相応しい外観をしているわけだ。
ではメカニズムも相当に独特なのか、というと実はそうではない。かつてはシトロエン的独創性の塊だったサスペンションも、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーショナルビームの半独立という、このクラスの小型車のごくごく標準的な脚にすぎない。
それに加えてエンジンも、1.2ℓ3気筒ターボという、今や小型車のダウンサイジング系としては一般的なものを搭載。一方、これまでは明らかに時代遅れだったトランスミッションも、アイシンAW製6段ATの最新仕様を標準搭載して、一気に今日の水準に追いついている。日本仕様にはMTの設定はない。
日本での発売車種は、200台限定のデビューエディションがすでに完売の今、ベーシックな「FEEL=フィール」と、そこにブラインドスポットモニター、バックカメラ、スマートキー、コネクテッドカムなどを標準装備した「SHINE=シャイン」の2モデル。ナビはオプションだが、前者が216万円、後者が239万円というプライスも、魅力的だ。
どんな感じ?
3名+撮影機材 高速巡航でも不足なし
今回はシャインの広報車を借りて、信州の蓼科で開かれたあるクルマの試乗会に参加するための足としてC3を使ってみた。つまり、その長距離クルージングの能力を主として探ってみたわけだが、その結果は想像どおり、あるいは想像以上に良好だったといっていい。
運転席に収まると、ボディ形状から想像できるとおり着座位置はハッチバックとしてはやや高めで、シートを低く設定すると前方視界に分厚いボンネットを意識させられる。けれども、ステアリングにチルトだけでなくテレスコピックも備わる親切な設計ゆえ、自分の望むポジションが確実に得られるのが好ましい。
そこでまず東京都内を走った印象だが、ボディサイズのわりに軽いといえる1160kgの車重に対して、110ps/5500rpmと20.9kg-m/1500rpmを発生する1.2ℓ3気筒ターボと6段ATのもたらすパフォーマンスに不足はない、といえる。
当日は男3人にカメラマンの写真機材を積んでの走行だったが、C3は発進加速も不満のないペースでこなしてみせた。なかでも特に、2000rpm以下からも充分な蹴り出しを生み出す3気筒ターボエンジンの低速トルクの力感が印象的で、低回転からトコトコトコッという感じで加速する刹那には、ある種の快感さえ覚える。
高速道路に乗ると、印象は一段と好ましくなる。メーターの100km/hはDレンジのトップ6速で2000rpmプラスに過ぎないから、エンジン音は静かに保たれる。それでいて、前記の低速トルクの恩恵で、そこから踏んでも確実に加速するし、深くスロットルを踏み込めばATが即座にキックダウンして、望むだけの加速を振る舞ってくれる。
それと同時に、シャシーもいい仕事をしてくれる。サスペンション形式は一般的ながら、各部のセッティングが独特なのだろう、路面と隔絶したかのようなシトロエンらしい乗り心地を街中の低速から振る舞ってくれる上に、高速ではその妙味が一段と鮮明になる。
おそらくフランスのオートルートの法定最高速130km/hに照準を合わせた脚は、スピードを上げるにつれてフラット感を増すのに加えて、ステアリングも据わりの好さと手応えを増して、C3はクルマ自らが直進する意思を持つかのように真っ直ぐに突き進んでいく。
このボディサイズ、このエンジン排気量、それにこの価格帯のモデルでは、C3は最も高速クルージングの快適なクルマのひとつに違いないと、東京から蓼科まで往復した大半の区間のステアリングを握り続けて、僕は身をもって確信した。
C3、ワインディングの走りを検証
ならば、高速道路を走った末に待つワインディングロードはどうかというと、C3はここでも意外なほど心地好いフットワークを披露してくれた。シトロエンが昔から得意とする、ボディを適度にロールさせながら執拗に路面を掴み続けるスタイルで、オンザレール感覚のコーナリングを味わわせてくれるのである。
試乗車は標準サイズの16インチタイヤを履いていたが、以前試乗した17インチ装着車と比べるとステアリング切り初めのレスポンスはややマイルドな印象をうける。けれどもその一方で乗り心地は、あらゆる路面において明らかに17インチよりいい。試みに座ったリアシートも、トーショナルビームに有りがちな突き上げがないのが好ましく思えた。
その際には、決してクイックではないが確実な反応を示すステアリングと、ドライバーの操作に対してリニアな効きを示すブレーキも、頼れる武器になる。試乗の後半、高原のワインディングで雨に見舞われたが、C3はそこも危なげなく駆け抜けて見せた。
見た目は平板だが、意外と確実に身体をホールドするフロントシートは、長時間座り続けても尻が痛くなることもなく、見た目以上にいいシートだと思った。その一方で、リアシートはバックレストがやや立ち気味なのが少し気になったほか、レッグルームも大人に充分な空間は確保されているものの、想像するほど広くはない。
最後にちょっと燃費について書くと、蓼科からの帰路、南諏訪ICまでの一般道と中央道、それに東京神奈川周辺の一般道を含んで、およそ16km/ℓというところだった。総じて、1.2ℓのダウンサイジングターボ搭載車というスペックから期待するほどの好燃費ではないといえるが、快適な走りの対価としてはまずます順当といえるかもしれない。
「買い」か?
日本でもヒットする要素あり
こう書いてくると、結論はもうおわかりだろう。ルックスにも走り味にも独特のクセ=個性が明確だから、誰にでもオススメしますというクルマではない。けれども、もともとこういったシトロエンテイスト、あるいはフレンチテイストがお好きな諸兄には、自信をもって「買い」だと推薦できる。
さらに、これまでと違ったテイストのクルマ、あるいは周囲の人たちのとはひと味違うクルマへの乗り換えを志向している向きにも、C3はオススメできる。なぜなら新型C3は近年の多くの小型シトロエンと違って、エンジンやトランスミッションは時流に沿ったものを装用しているゆえに、乗り難いクルマではないからだ。
しかもC3、そのプロモーションからすると若い層を主なターゲットにしているようだが、実はそれだけでなく、シニア層を含むyoung at heartな非若年層にもアピールするのではないかと思う。実際、コンパクトなクルマを好む僕自身も、そのドライビングフィールにけっこう惹かれるものを感じていたりするからだ。
細かいことを言えば、白もしくは黒のボディカラーを選ぶと、インテリアカラーは必然的に赤が設定されていて、グレーを選びたくても選べないといった風に、細部の選択肢に制限があるのは、こういう自分のセンスを発揮してこそのクルマとしては、少々残念に思う。
だがそれはそれとしてニューC3、近年の小型シトロエンのなかでは異例に、日本でもヒットする要素を持ったクルマではないだろうか。現代の2CVと呼ぶほど哲学的ではないし、現代のGSと呼ぶほど画期的でもないが、現代的にしてやや軽薄な佇まいのなかに、シトロエンの小型車が持つべき何かを、確実に備えたクルマだからである。
シトロエンC3のほかの画像を見る
シトロエンC3のスペック
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