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レンジローバー似? 中国のSUV「長安CS55」試乗 実力、低からず

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レンジローバー似? 中国のSUV「長安CS55」試乗 実力、低からず

もくじ

どんなクルマ?
ー 中国第3位のメーカー 欧州へ
ー 安全性を強調 オンロード重視

愉快すぎる中国コピー車6選 上海モーターショー編

どんな感じ?
ー 試乗 エンジニアリングに驚く
ー 刺激はないが、よくできている

「買い」か?
ー 日本/韓国から学ぶべきこと

どんなクルマ?

中国第3位のメーカー 欧州へ

中国第3位の自動車メーカー、長安汽車が英国に初めて投入することになりそうなモデルは、5座SUVの「CS55」だ。

長安は国営企業で、国内ではフォードやマツダ、プジョーとの合弁事業を展開。そして最近では、英国をはじめとする欧州市場への進出に着手している。

自社ブランドでは17車種を設定するが、その最新モデルが今回のCS55。中国でも急成長を見せている小型SUVマーケットをにらんで、今年4月の上海モーターショーでデビューした。

サイズ的にはフォード・クーガと同等で、ベースとなるのは新設計の前輪駆動車用プラットフォーム。これは新型セダンとの共用を前提に開発されたものだが、長安にとって初めての、複数モデルでシェアするアーキテクチャでもある。

スタイリングは、トリノにある長安のデザインスタジオなどが手掛けた内製だが、ランドローバーの最新ラインナップと似通って見えるようにも思われる。

安全性を強調 オンロード重視

エンジンは1.5ℓのガソリン直4ターボで、吸排気両方に可変バルブタイミング機構を備え、最高出力156ps/5500rpm、最大トルク22.8kg-m/2000~4000rpmというスペック。試乗車は、これにアイシンAW製6段ATを組み合わせた仕様となる。

サスペンションはフロントがストラット、リアがマルチリンクで、前後にスタビライザーを装備。フロントのサスペンションは、エンジンとともにサブフレームへ設置する方式だ。ステアリングは電動パワーアシストで、ブレーキはフロントがベンチレーテッド、リアがソリッドのディスク。こうしたエンジニアリングを見るところ、オンロードでの洗練性を追求した設計だと予測できる。

ユーロNCAPのバリア衝突テストに供された旧来モデルの成績がさんざんだったため、中国車の安全性に不安を抱くユーザーは多いだろうが、長安はこの悪い印象の払拭にも積極的だ。

中国にもNCAPは存在するそうで、ユーロ基準と同等だと主張しているが、CS55はそのテストで、5項目での5つ星獲得が見込めると、長安の安全性部門のチーフである趙ホイは述べる。

主要部品の多くは、日本や欧州のサプライヤーが中国で現地生産しているものを調達している。タイヤはコンチネンタル・クロスコンタクトの225/55R18で、これはメイド・イン・チャイナだが欧州向けスペックだ。

はたして、長安のエンジニアたちは、そうしたコンポーネンツのカクテルを、信頼性あるSUVに仕上げることができたのだろうか。

どんな感じ?

試乗 エンジニアリングに驚く

CS55は好ましく、運動性能的にも優れたソフトローダーだが、試乗した場のほとんどがこのメーカーのテストコースだったことはお断りしておかねばならない。

そこは、このクルマのシャシーを磨き上げるのに使われたホームグラウンドである。それを用心深く監督したのが、以前はフォードでハンドリングの指導者だったゴードン・クックだ。英国人である彼は、欧州と中国で販売されたフォード車を、過去数世代にわたって手掛けた。その中には、つい先ごろ退役した先代フィエスタなどが含まれる。

この試乗会で他社のジャーナリストが、60km/h程度でのレーンチェンジ・テストで転倒するアクシデントが発生したため、われわれの試乗は手加減しなければならなかった、という事情もある。事故を起こしたドライバーは、長安サイドのアドバイスを無視してESPを切っていたようだが、実際に何が原因だったのかはまだ特定されていない。

そうした緊急時を想定した状況ではともかく、もっと安定した状態では、このクルマのステアリングは正確に連続するカーブを抜け、俊敏に鼻先の向きを変える。ただし、それなりのロールは伴う。

ステアリングの重さは3段階に調整可能で、その幅は広く、最も重くなるモードがスポーツと呼ばれるが、中間セッティングが一番の折衷案ではないかと感じられた。

クックとブレーキ担当エンジニアのデイブ・コックスは、CS55のシャシーをフラットなコーナリングをするよう仕立てることを望んだ。しかし、中国の轍やくぼみの多い道路に対応するため、ホイールのトラベルとブッシュの追従性を織り込まなければならなかった。

コーナーに入ると、アンダーステアとロールが発生するが、優しくスロットルを戻せば、ラインをタイトにたどることができる。ハンドリング・コースでの高速走行では、ESPが穏やかに介入するが、これはスロットルを絞り、よりタイトなコーナーでは後輪ブレーキも駆使するものだ。

これはドライビングがエキサイティングなクルマではないが、勘のいいドライバーがそこそこ元気に走らせる素材としてはおもしろい。それでいて、もっとリラックスした運転には欠かせないしなやかさも確保されている。

刺激はないが、よくできている

1.5ℓターボは、速いペースで走るのに十分だが、高速道路で不規則な動きをする周囲のクルマを避けつつスピードを維持するのは、ちょっとばかり骨の折れる仕事となる。

ただし、パフォーマンスを引き立てているのはアイシン製ギアボックスに加えられた微調整だというのが、われわれの見立てだ。変速はスムースだが、飛ばしてもゆったりとしたフィール。レバーを横方向に倒してスポーツ・モードに入れても、シフトスピードにさほどの変化は見られない。

最新世代の中国車で、西側基準へ急速に迫ってきているのがインテリアのクオリティだ。10年ほど前なら、そこには安っぽいプラスティックが用いられ、デザインはとにかく殺風景だった。CS55の内装は、その進歩ぶりを実感させる好例だ。

ダッシュボードは複数のテクスチャーが混在し、スイッチ類はロジカルにレイアウトされ、レバーやボタン、ダイヤルなどはしっかりとした手ごたえとなった。

そこに加わった繊細で釣り合いの取れたメタリックのトリムや、赤いアクセントやステッチが、雰囲気を引き上げている。

シート表皮の素材はプラスティック・レザー、すなわち合皮だが、見た目はまるで本革のよう。問題なのは、攻めた走りをするにはサイドサポートが欠けていることだ。

後席のニールームは十分で、成人3人乗っても短時間なら十分なスペースがある。

「買い」か?

日本/韓国から学ぶべきこと

長安では、欧州での販売計画について明言を避けており、このメーカーのクルマが実際に英国などで販売されるまでにはまだまだ時間がかかりそう。よほどの急展開がなければ、2028年ごろ、2世代ほどあとのモデルからということになりそうだ、という予測が一般的だ。しかし、4~5年のうちに登場する次世代モデルでの投入があってもおかしくないように感じられた。

中国市場でのCS55は、最上級モデルが税込み£15,638(236万円)相当で、最廉価版はそれより£10,000(151万円)ほど安い。この価格帯は、英国で大成功を収めているダチア・ダスターと同程度だ。またCS55の洗練度は、£8,645(131万円)を付けるダスターのエントリーモデルはもちろん、£16,745(253万円)のサンヨン・コランドをも上回っている。

ただし、疑問は残る。欧州や日本、韓国のメーカーがひしめくSUVカテゴリーにあって、見知らぬ中国ブランドのクルマに敢えて金を払おうという英国人がどれほどいるのかという話だ。

その点では、長安は日本車が30年、韓国車が20年通ってきた道をたどらねばならない。ブランドの認知度を高めるため、装備を充実させつつ訴求力の高い価格設定をする必要があるということだ。

それゆえ、もし今後、長安が試乗車と同等スペックのCS55を£15,000(227万円)以下で英国に投入できたなら、内装のクオリティや実用性、全般的な使いやすさなどに注目するユーザーは確実に存在すると思われる。

長安CS55 230T・瓶耀

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