■もくじ
どんなクルマ?
ー先代より長く、幅広く、低い
ー3ドアが廃止 5ドアのみの設置
新車よりはるかに安い 遊べる「掘りだしもの」ホットハッチ9選
どんな感じ?
ー立ち姿は堂々と 組みつけの精度も高い
ー装備に「欠け」も スペースは良好
ーノイズや振動の遮断、飛躍的に向上
ー本質的なキャラクターは欠けている
「買い」か?
ー最大の賛辞「小さなゴルフ」
■どんなクルマ?
先代より長く、幅広く、低い
第6世代のフォルクスワーゲン・ポロは、先代から飛躍的に発展した。設計も技術面も白紙から開発され、メカニズム的には新型セアト・イビーザや、4代目となる次期スコダ・ファビアと共通。
ベースとなるのは、フォルクスワーゲン・グループが広く使うMQBプラットフォームの最新版。A0と呼ばれるコンパクトカー専用に仕立てられたコンポーネンツだが、それでも先代よりボディサイズが拡大された。
全長4053mm、全幅1751mm、全高1446mmという寸法は、81mm長く、63mm広く、7mm低い。ホイールベースは2564mmで、これは92mmの延長である。トレッドはフロントが1525mmへ62mm拡がり、リアの1505mmはプラス49mmだ。
さらに新しい話題もある。
3ドアが廃止 5ドアのみの設置
英国での発売は11月の予定で、ボディタイプは5ドアのハッチバックのみ。42年もの歴史の中で、初めて3ドアが設定されなかった。
デビュー時には、6機種のエンジンをラインナップ。主力といえるのは、1.0ℓ直3ガソリン。マルチポイント・インジェクションを装備する自然吸気が65psと75ps、新型の直噴ターボが95psと115ps、それぞれ2機種が用意される。
このほか、やはり新型の1.5ℓ直4ガソリンターボも設定。150ps仕様がまずは導入されるが、追って130ps仕様が登場することをフォルクスワーゲンでは示唆している。
ディーゼルはSCRフィルターを備える1.6ℓ直4ターボで、81psと96psの2タイプ。一部のマーケットには、新開発された1.0ℓ直3ターボの天然ガス版も投入されるが、これは91psを発生する。
最強バージョンのGTiには200psの2.0ℓ直4ターボが搭載されるが、これは来年追加される予定だ。トランスミッションは5段と6段のMTと、7段のDCTが用意される。
■どんな感じ?
立ち姿は堂々と 組みつけの精度も高い
成長した、という表現がしっくりくる。それはサイズアップばかりではなく、さまざまな改良によるもので、少なくとも洗練性にかけてはクラス最高といえるものになった。
ライバルたち、たとえば全面刷新されたフォード・フィエスタや日産マイクラ、ルノー・クリオ、そして兄弟分のイビーザやファビアとの比較テストは近く実施し、その実力の程を測ることになる。
しかし、単体でみる限りでは説得力のあるパッケージであり、幅広い顧客層にアピールできそうに思える。
ルックスはスマートかつ実にモダンで、プロポーションは興味深く、線は歯切れよく、立ち姿は堂々たるもの。デザイン上の特徴は、ボディサイドに走る1対のプレスラインと、それにより際立たせたショルダーラインだ。
ボディの組みつけ精度はライバルたちが恥じ入るだろうというほど高く、パネル間の隙間は細く、全てがきれいに収まり、許容誤差は極めて小さい。
この仕上げのレベルは、プレミアム・クラスのモデルに匹敵し、コンパクトカーではまず見られない。
内装は、フォルクスワーゲンではおなじみのシンプルな操作系と、若々しいデザインとのバランスに優れ、高くマウントされたダッシュボードが現代的な雰囲気を醸し出す。
もう少し詳しく見ていこう。
装備に「欠け」も スペースは良好
トリムは豊富で、8種類のカラーコンビネーションが選択可能。標準仕様はアナログ計器盤と6.5インチのタッチパネルを装備するが、11.7インチのデジタル計器盤であるアクティブ・インフォ・ディスプレイや8.0インチのタッチパネルもオプション設定される。
ダッシュボードのマテリアルは、上部にソフトタッチの樹脂が用いられ、そのテクスチャーは高価な素材を思わせる。シートの調整範囲は広く、硬めのクッションと良好なサイドサポートが身体をしっかり支えてくれる。
技術面では、既にゴルフに導入されているフロントアシストやシティ・エマージェンシーブレーキ、歩行者検知システム、タイヤ空気圧モニター、坂道発進アシストなどが標準装備される。
視認性はそれほど優れている印象ではないが、これはけっこう激しく傾斜したフロントガラスと、張り出したメーターバイザーとが障害になっているため。運転席からの視界は驚くほど狭く感じられる。
内装クオリティは、ところどころに用いられた硬いプラスティックにより損なわれている。それが特に気になるのは、左右前席に挟まれたセンターコンソールだ。
デジタル機器を接続するユーザーが多いことを考えれば、いずれのグレードでもUSBソケットが標準装備されないのは大きな手落ちだといえる。
ここには全社的なラインナップにおけるヒエラルキーが関係していると思われる。つまり、ポロの装備をあまりにも充実させては、上位のゴルフの立場を脅かしかねない、というわけだ。もちろん、コスト的な制約もあるのだろう。
ボディサイズの拡大により、前席のスペースはなかなか快適なものになった。広々とした足元、改善された肩回り、全高が下がったにもかかわらず秀逸な頭上空間などは大きなセールスポイントになりうる。
後席の居住性もまた高まり、ウエストラインが高くウインドウの面積が狭いものの、先代より狭苦しさは軽減された。ただし、乗車定員は5名だが、フォルクスワーゲン的には4名乗車を想定しているという。
ラゲッジスペースの容量は351ℓで、これは先代より71ℓの向上だ。
成熟を感じさせるのは、走らせてみても同様だ。
ノイズや振動の遮断、飛躍的に向上
試乗車は5000rpmで115psを発生する1.0TSIで、力強く、低速ギアでスロットルペダルを踏み込むとパワフルな加速をみせる。低回転域ではターボラグの兆候もあるが、走りへの影響はほとんどない。
エンジンの回転はよく、追い越し加速もスムースでためらいのないもの。17.8kg-mのトルクは2000~3500rpmで発揮され、高いギアで低回転から加速してもじれったさを感じさせないフレキシビリティだといえる。
エンジンのノイズや振動の遮断は、先代モデルから飛躍的に進歩している。
標準装備の6段MTは、軽いタッチで、操作がしやすいが、素早いシフトチェンジでは引っ掛かりや入りにくさも見られる。
オプションの7段DCTは自動変速も可能だが、時としてシフトダウンをためらう傾向がある。パフォーマンスの公称値は、0-100km/h加速が10.8秒、最高速度が187km/hだ。
MQBプラットフォームの採用は、ボディ剛性の大幅な向上をもたらし、先代の14000Nm/degから、18000Nm/deg以上に引き上げられたという。
その結果、乗り心地はしなやかで、素晴らしく制御の利いたものとなった。
本質的なキャラクターは欠けている
オプションの17インチホイールと215/45タイヤを履き、舗装の傷んだ道を走っても、その改善ぶりは並外れていたのである。
秀逸なダンピングの制御と衝撃吸収のクオリティが相まって、シャシーの穏やかさは新発見ともいえるほど。市街地でも高速道路でも、リラックスした走りを生み出している。
軽く精確性の高い電動パワーステアリングは、狭いスペースでの印象的な操作性を実現し、市街地の路上をくつろいで運転できる。
運動性も先代より改善されたが、これは新プラットフォームや、改良されたフロントのマクファーソンストラットと全面刷新されたリアのトーションビームからなるサスペンションの恩恵。
ただし、ライバル車のいくつかと比べると、ハンドリングを楽しませてくれる本質的なキャラクターは欠けている。
トレッドの拡大は、前輪グリップを高め、Rが一定のコーナーの連続を勢いよく駆け抜けても、外へ押し出される動きに抵抗してくれる。
ボディの挙動もしっかり制御され、プログレッシブだが派手にボディを傾けることはない。効率よく揺動を吸収するという点で期待値はほぼ達成されているのだが、残念ながら偉大なカリスマ性を感じることはできなかった。
■「買い」か?
最大の賛辞「小さなゴルフ」
新型ポロは非常によくできたクルマだが、欠点が全くないというわけではない。
スタイリングは歴代を振り返っても最も印象的で、インテリアは上級モデルに匹敵するフィーリングがあり、サイズアップで快適性も実用性も高まった。
115psの1.0ℓ直3ターボは素晴らしい走りを見せ、乗り心地は穏やかかつしなやか。ハンドリングはダイレクトで精確だ。
造りはよく、仕上げのクオリティはどんなライバル車にも見劣りしない。さなざまな点で、小さなゴルフといった印象だ。それは、フィエスタやクリオ、マイクラなどの上を行こうというクルマにとっては最大級の賛辞だろう。
主にキャビンに不可解なコストカットの形跡も見られるが、このクルマの全体的な能力は、そうした欠点を補って余りある。
現時点までに知り得た強みを踏まえて判断すれば、新型ポロは間違いなく歴代モデルと同様に成功を収めるだろうといえる。
フォルクスワーゲン・ポロ1.0 TSI
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