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ホンダ・インテグラ・タイプR(DC2)に試乗 「前輪駆動の英雄」と評価

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ホンダ・インテグラ・タイプR(DC2)に試乗 「前輪駆動の英雄」と評価

もくじ

ーわたしの理想のFF車
ーホンダ・インテグラ・タイプRという星
ー当時の売れ行きが、相場を左右
ーインテグラ・タイプRを走らせよう
ー世界で最高のドライバーズカーかも

厳しすぎる利用条件に涙 ホンダNSX、オリックス自動車でレンタル可能に

わたしの理想のFF車

ローバーがBMWの経営管理下にあった時代、ローバー75の生産ラインの出荷エリアには「あなたは世界で最高のFF車を造っています」という大きな看板があった。

BMWの「われわれは世界で最高の後輪駆動車を造っている」という自負と相関する内容のものだが、オールラウンドのクルマを求めるなら、間違ってはいなかった。

しかし、いまわたしが話題としている最善の前輪駆動車というのは、ローバー社の小さなベントレーのことではなく、最高のドライビング体験を提供してくれる前輪駆動車のことを指している。

そして(A)未だ自分で運転したことがなく、(B)同僚も未だ乗っていないクルマ、という条件を満たす候補がある。

ここでのレポートは、中古車としていいか悪いかという中古車購入ガイドとしてではなく、素晴らしいクルマへの賛辞だと思ってお読みいただきたい。

ホンダ・インテグラ・タイプRという星

中古車の相場理解には知識が必要で、クラシックカーの相場にはもっと精通した知識が求められる。信頼性や実用性のないクルマでも、現在における価値と憧れが反映されて、中古車の価格は形成されている。

そして、ホンダ・インテグラ・タイプRは疑いの余地もなく、常にわたしの中での最高の前輪駆動車だ。

プジョー205 GTiよりも、初代フォルクスワーゲン・ゴルフGTIより、そして最新型の304psを繰り出すホットハッチバックよりも優れていると考えている。いや、9割方の後輪駆動車よりも。

控えめな出力と純粋さ、完璧さを備えていると思う。

大胆なことを言っているように聞こえるかもしれない。もちろん、ブガッティ・シロンよりも速いとも思っていないし、ケーターハム7より軽量で純粋だとは思っていない。

けれど、189psを発生する1800cc自然吸気エンジンに、1140kgの車重で、マニュアルギアと機械式のリミテッドスリップデフを搭載したクルマとなると、ほかに存在しない。

一般的な自動車メーカーなら製造を許されなかったはずだ。

当時の売れ行きが、相場を左右

少馬力で油圧パワーステアリングを持ち、ブレーキによるトルクベクタリング制御はなく、リアタイアのアクティブステアリングもアダプティブダンパーも備わらない。

15インチの195/55という小ぶりなタイヤのクルマ。恐らく現代なら、購入するひとは、そう多くないだろう。

それでも、新車当時でも売れゆきは良くなかったことに、わたしは許しがたい思いになる。おかげで今、優れたコンディションなら£13,000(183万円)の値段がついているのだけれど……。

英国内のホンダの関係者によると、インテグラ・タイプRの中古車には2種類に大きく分けられるそうだ。

本当にコンディションが良く高額なクルマと、驚くほど安いクルマ。いっぽう今回の1台はその中間に位置するような、希少な存在だった。

若干の費用を払って整備し直されているが、クルマ本来の特別なドライビングを味わうのには、十分なコンディションを保っていた。

インテグラ・タイプRを走らせよう

一般的な年代物の中古車は、時間の経過とともにボディが緩くなり、サスペンションの部品は劣化し、ブッシュ類も潰れて駄目になっている。

これらのメンテナンスをしてやらないと、モタっとするというか、エッジが丸くなった印象となるものだ。

しかし、50000マイル(8万km)程度の走行距離なら、まだそれ程緩くはなっていない。

インテグラ・タイプRにはブリジストンのポテンザあたりのタイヤが理想的だが、このクルマの場合はサスペンションへの負荷を減らし、あまり飛ばして走らせないように、グリップの弱いタイヤが装着されていた。実態を包み隠すかのように。

だから、不完全な状態のクルマに感じられるのではないかと不安だったが、そんなことはなかった。

まるで魔法のように、インテグラ・タイプRは、隅から隅まで世界で最高の前輪駆動車だと、改めて実感させてくれたのだ。

新車だった当時、わたしは東南アジアを訪れてテストドライブを行った。その感覚がどんなものだったか、タイトコーナーを3つも曲がらずに、蘇ってきた。

世界で最高のドライバーズカーかも

旋回性の良さと、前輪駆動車の中でも最良のパワーステアリングシステム。

10年前のテストドライブでの記憶を呼び出しつつ、もしかすると当時より少し前側に回転軸の中心が有り、調整しろが狭い印象が有るのだが、現在の基準と比較しても非常に俊敏なクルマだ。

そしてもちろん、タイプRのハイライトは、エンジンだ。今でも5000rpm以上で明確に活発になり、レブリミッターに当たる8700rpmまで力強く回転する。

軽量なフライホイールの慣性が弱く、5速マニュアルの操作ではギクシャクしてしまうのだが、ギア比が低くクロスしているのでシフトダウンする際、ヒール・アンド・トウを使ってスロットルで回転数を合わせる必要はほとんどない。

まるで本当の精密機械のようだ。インテグラ・タイプRの価値が高まる理由を知るのに数分もかからなかった。

一方で、なぜ新車当時に、販売台数が伸びなかったのか理解できないが、いま入手できる最もよいコンディションのクルマを探して、それを維持する価値はあると断言できる。

インテグラから失わせてはならないものは、VTECエンジンの強烈なフィーリングだけでなく、それを上回る素晴らしいハンドリング性能だ。

このクルマは世界最高の前輪駆動車というだけでなく、世界で最高のドライバーズカーだと思う。たまたま前輪駆動だっただけなのだ。

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