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出力2倍の825馬力 フォード・マスタング「サットンCS800」 試乗記

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出力2倍の825馬力 フォード・マスタング「サットンCS800」 試乗記

■もくじ

どんなクルマ?
ー出力倍に 「怪物」に興味津々

新型BMW Z4コンセプト 画像を入手 シートカラーに注目

どんな感じ?
ーCS800 狂った野獣のように豹変
ー825psを手にするために必要な金額
ーCS800 走らせるとどうなのか?

「買い」か?
ー最後まで、「手の内」とは無縁だった

■どんなクルマ?

出力倍に 「怪物」に興味津々

これは記憶に残る出来事に違いない、とわたしは思った。

マスタングのギアボックスが破壊されるか、リアアクスルが吹っ飛ぶか。あるいは窓ガラスが外れルーフがへし曲がり、ボディが捩れるかもしれない。

ハイパフォーマンスカーのディーラーかつチューナーの「クライブ・サットン」が製作した、標準のおよそ倍の最高出力を叩き出すマスタングCS800は、靴の箱にダイナマイトを仕込んだような常識はずれなものに見える。

この結果がどのようなものになっているのか、非常に興味があったことは事実だ。

■どんな感じ?

CS800 狂った野獣のように豹変

実際に乗りこんでみると、上記のような破壊的なことは起きなかった。

ただ、エアクリーナーボックスとスーパーチャージャーをつなぐカーボンファイバー製のダクトが、コーナリングの撮影中に何度も外れ、その度にエンジンが止まったので、この点はサットンは改善すべきだろう。

しかし想像を超えたメカニカルなトラブルは起きなかった。

魅力的で比較的穏やかな415psのフォード・マスタングGTをベースにしたマスタングCS800だが、サットンの手にかかると、狂った野獣のように豹変する。

ホイップル社のステージ2スーパーチャージャーと大きなスロットルボディ、ハイフロー・インジェクターを組み合わせることで、馬鹿げていると思えるほどの、824psを叩きだす。エンジン内部には手を加えていない。

いったい、これらのパワーアップ、いくら必要なのだろうか?

825psを手にするために必要な金額

上記の改造に£13,716(193万円)が必要となり、更に排気系のアップグレードに£3,117(44万円)が必要で、組みつけ工賃と12カ月保証に£1,920(27万円)がかかる。

一方、車高調整が可能なKW社のコイルオーバー・サスは£2,928(41万円)、20インチのアルミホールは£3,120(44万円)だ。

このデモカーには、山ほどのカーボンファイバー製のボディキットなど、全てのオプションが盛りこまれ、ベース車両の費用を含めて税込£101,735(1432万円)のプライスタグを掲げる。

そのカーボンファイバー製のパーツだが、£3,270(46万円)のボンネットなどはまだ理解できるものの、リアクオーターウインドウのルーバーやダミーのサイド・インテークなどは疑問だ。

だが、チューニングパーツと同様に、ボディキットに関しても必要なものを選択して装着することができる。

走らせて、金額の価値を見極めようではないか。

CS800 走らせるとどうなのか?

デモカーのアピアランスは、かなりの存在感を放つ。しかし装備されたショートシフト・キットはシフトチェンジが難しく、ミッションが加熱してくると4速の入りが悪くなり、運転にはかなりのコツが必要だ。

メカニカルノイズと排気音は重層的なもの。V8エンジンならではの音に加え、インダクションシステムやエグゾーストノート、スーパーチャージャーなどの音が重なり、神々しく聞こえるほど。

ただ、この最高出力の数字だけを見てクルマに乗った場合、最速のクルマだとは感じられずに落胆するかもしれない。CS800は地平線がみるみる近づいてくるほど排他的に速いが、例えば日産GT-Rの加速とは、趣が異なる。

ターボチャージャーの過給によるエンジンのパンチ力はあるが、ハイギアードに設定されているため、線形的な加速にはつながらない。

つまり、シフトアップさせる度にアクセルペダルを踏みつけエンジンの回転数を上げ、ターボ過給を効かせて加速していくからだ。

一方でハイギアードな設定のおかげで、2速でも十分なトラクションを得ることができる。

むしろハイギアードな設定過ぎて、レッドゾーンまで回してシフトアップするという機会自体がほとんどなく、825psを発揮できる場面は限られているほどだ。

シャシー・セッティングはどうか。まず、曖昧で希薄なステアリング・フィールにがっかりしてしまう。

ただ、スロットルを大きく開けるまでは、バランス自体は良く取れておりキビキビとした印象を受ける。

乗り心地は、調整式のダンパーなので改善できる可能性はあるものの、路面の細かな凹凸までを逐一拾い、常に揺さぶられている印象だ。

■「買い」か?

最後まで、「手の内」とは無縁だった

なかなか珍しいことだが、基本的な試乗で、完全に自分の支配下に置きづらいクルマだということがわかった。

数カ月トライしつづけたとしても、仲良くなれるかどうかはわからないが、機会があれば、CS800を改めて客観的にテストしてみたいと思う。

現時点で星評価を与えるとしたら、5つ中3.5点といったところ。お察しください。

フォード・マスタング・サットンCS800

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