現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ヒュンダイi30ツアラー試乗記 「打倒VW」だけでは差がつくばかり

ここから本文です

ヒュンダイi30ツアラー試乗記 「打倒VW」だけでは差がつくばかり

掲載 更新
ヒュンダイi30ツアラー試乗記 「打倒VW」だけでは差がつくばかり

■どんなクルマ?

i30はニュル育ち ヒュンダイの主張

韓国サンヨンのSUV「チボリ」 買わぬが仏? 辛口評価に要注意

ヒュンダイi30ツアラーは、ヴォクゾール・アストラや、フォード・フォーカス、それからフォルクスワーゲン・ゴルフをライバルに据えたエステートであるものの、これはなかなか厳しい市場での戦いである(ご存知のように)。

熾烈を極める市場だけれどエントリーレベルの価格は£17,495(259万円)で、値段にしてはドライビングも楽しい仕様となっている。というのも開発の多くをニュルブルクリンクでの走行テストに費やしたおかげだ。

このクルマはエステート(ワゴン車)である。ライバルたちを打ち負かすには荷室の容量が勝敗を左右するのは言うまでもないだろう。

勝つための絶対条件は実用性

i30ツアラーの荷室容量は、シートを立てた状態で602ℓ、シートを倒した状態だと1650ℓにもなり、これはライバルたちのなかで最も容量が大きい。

ちなみにゴルフ・エステートと比べると30ℓ多く、i30のハッチバック・モデルとは309ℓも違う。幸先のいいスタートを切った。

ただし外観は目に留まるようなデザインではない。ほっそりしたキャビンのなかにあるのは、ハッチバックと共用の内装。

整頓されたセンターコンソールに、5インチ、ないし8インチ(オプション装備)のタッチスクリーンが備わり、Apple CarPlayやAndroid Audio、3Dビューのナビゲーションといったインフォテインメントシステムが組み合わさっている。

ボンネット下のエンジンは、いくつかの選択肢のなかから選べるようになっていて、エントリーレベルでは118psの1ℓの3気筒エンジン、一番高いのは131psの1.6ℓ4気筒ディーゼルエンジンとなる。

今回われわれがテストしたのは138psを発生させる中間クラスの1.4ℓT-GDIエンジンである。


■どんな感じ?

「ニュル品質」をうたう権利はある?

ニュルブルクリンクでのテストを引き合いに出す新型車は多く、そういう意味ではニュルでテストを行ったという価値はもはや無いのかもしれないが、i30に関してはスムーズな乗り心地と、しなやかなドライビングという点でちゃんと「ニュル品質」をうたう権利があるようだ。

ダンパーはいい仕事を見せ、高速道路やワインディングで車体に伝わってくる衝撃をうまく吸収してくれていた。

今回のテスト車両である1.4ℓのエンジンは、0-100km加速テストで9.2秒という好タイムをマークし、またトップスピードは約210km/hであった。

1500rpmで最大トルクの24.6kg-mを発生させ、クルーザーとしての一面も持っているが、しかし燃費は公称値である1ℓあたり25kmには遠く及ばず、18.8km/ℓというのが実情であった。

エンジンのポテンシャルを最大限に引き出したいのならば6速マニュアルを推す。いっぽう素早いギアチェンジが自慢のデュアルクラッチ7速オートマもなかなかのもの。

ヒュンダイが言うには、i30ツアラーはクラス最優秀のドライバーアシスト機能が備わっているそう。

それぞれを追っていこう。


乗っていて「損した気持ち」にならないか?

たしかに今回テストしたプレミアムSEにも死角センサーや車線逸脱をアラームで教えてくれる機能、それから標準装備でクルーズコントロールとレーンキープ機能が付いている。長距離ドライブも、これだけの機能があれば疲れ知らずだ。

疲れ知らずなのは、ロードノイズの低減もある。高速道路でもドアミラーの周辺から聞こえてくるほんのわずかな風切り音があるくらいで、ライバル車と比較してもこれは高い水準である。

シートはレザーで、どよく調節できるランバーサポート付きだ。後席空間もいい感じ。

6つのスピーカーは良質な音を奏でるが、ナビの案内はフロントシートに座っている人にしか聞こえない気遣い仕様。

唯一残念なポイントは、USBの充電スポットが1カ所、フロント側にしか存在しないという点。これでは子どもが移動中に飽きてしまう(ファミリーのユーザーも多く見込まれる)。

手に触れる場所にはレザーがあしらわれているものの、室内のパネル類の多くは黒やグレーのプラスティックで質感は硬い。これではせっかく良いデザインのインテリアも台無しだ。

プレミアムという名前にはふさわしくない、そう感じた。


■「買い」か?

「目指せVW」だけじゃダメ

ヒュンダイi30には先進装備が詰まっている。改良も加わり、快適なドライブが可能だが、中間クラスの1.4ℓプレミアムSEは£24,740(360万円)もする。これはゴルフの高価なモデルと同じくらいだ。

どちらのほうがいいかは明白ではないだろうか。

もちろんi30はドライバーをアシストしてくれる良いクルマであり、荷室の広さは有意義な時間を過ごすのに一役買ってくれるはず。

成熟し、クオリティも上がっているが、しかし、ライバルと比べると、個性や、欲しいと思わせる動機づけに欠けているとも言える。

フォルクスワーゲンを目指しているのでは、フォルクスワーゲンに勝てない。フォルクスワーゲンを超えるところを最初から目指してほしい。できるならば。

ヒュンダイi30ツアラー1.4T-GDi プレミアムSE

こんな記事も読まれています

クルマの窓から愛犬が顔出してる! 可愛いんだけどこれって違反にならないの?
クルマの窓から愛犬が顔出してる! 可愛いんだけどこれって違反にならないの?
ベストカーWeb
ボルドールの経験でEWCの切符を掴んだ綿貫舞空。ル・マンで昨年2位の3ART加入に「できれば優勝をしたい」と意気込み
ボルドールの経験でEWCの切符を掴んだ綿貫舞空。ル・マンで昨年2位の3ART加入に「できれば優勝をしたい」と意気込み
AUTOSPORT web
BYDが都内屈指の自動車ディーラー激戦区に「BYD AUTO 目黒」を開店
BYDが都内屈指の自動車ディーラー激戦区に「BYD AUTO 目黒」を開店
グーネット
今やブーム真っ只中なのに……期待が大きすぎた  悲しい運命をたどった[SUV]4選
今やブーム真っ只中なのに……期待が大きすぎた  悲しい運命をたどった[SUV]4選
ベストカーWeb
マツダの新型「3列SUV」でた! ついに5m級 驚異的パワー!? 「CX-80」欧州で世界初公開 これ日本に来るのか!?
マツダの新型「3列SUV」でた! ついに5m級 驚異的パワー!? 「CX-80」欧州で世界初公開 これ日本に来るのか!?
乗りものニュース
GTワールドチャレンジ・アジアがJ SPORTSで全戦放送。ジャパンカップはほとんどを生中継へ
GTワールドチャレンジ・アジアがJ SPORTSで全戦放送。ジャパンカップはほとんどを生中継へ
AUTOSPORT web
安かろう悪かろうなクルマをつかまされないために知っておくべき……[修復歴]と[事故歴]の違いとは  どうやって見分けりゃいいの
安かろう悪かろうなクルマをつかまされないために知っておくべき……[修復歴]と[事故歴]の違いとは  どうやって見分けりゃいいの
ベストカーWeb
もっと「アバルト595」で運転を楽しもう! 車高調からペダルの「ポッティングデカール」にドラシューまで、厳選アイテムを紹介
もっと「アバルト595」で運転を楽しもう! 車高調からペダルの「ポッティングデカール」にドラシューまで、厳選アイテムを紹介
Auto Messe Web
シェイクダウンはオジエが最速発進。トヨタ1-2にヒョンデ勢が続く/WRC第4戦クロアチア
シェイクダウンはオジエが最速発進。トヨタ1-2にヒョンデ勢が続く/WRC第4戦クロアチア
AUTOSPORT web
韓国勢が大健闘 合理的な「兄弟」モデル:ヒョンデ・コナ・エレクトリック キア・ニロ EV お手頃EV 12台比較(5)
韓国勢が大健闘 合理的な「兄弟」モデル:ヒョンデ・コナ・エレクトリック キア・ニロ EV お手頃EV 12台比較(5)
AUTOCAR JAPAN
安い? 高い? トヨタ新型「ランクル250」は520万円から!「無骨すぎて」カッコいい!? 原点回帰モデルに反響集まる
安い? 高い? トヨタ新型「ランクル250」は520万円から!「無骨すぎて」カッコいい!? 原点回帰モデルに反響集まる
乗りものニュース
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第3回】温かい歓迎を受けた春の鈴鹿。悔やみきれないミスと、1ストップ戦略で得た自信
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第3回】温かい歓迎を受けた春の鈴鹿。悔やみきれないミスと、1ストップ戦略で得た自信
AUTOSPORT web
レッドブルF1は2025年も現在のコンビを継続か。パフォーマンスを改善したペレスがシート争いをリード
レッドブルF1は2025年も現在のコンビを継続か。パフォーマンスを改善したペレスがシート争いをリード
AUTOSPORT web
初の中国GPに臨む角田裕毅。手強い週末を予想も「自信はある。Q3進出と入賞を狙いたい」/F1第5戦
初の中国GPに臨む角田裕毅。手強い週末を予想も「自信はある。Q3進出と入賞を狙いたい」/F1第5戦
AUTOSPORT web
ゴツすぎる新型「“軽”SUV」実車公開! ワイド化&オシャグレーがカッコイイ! まるで装甲車なスズキ「ハスラー」に反響も
ゴツすぎる新型「“軽”SUV」実車公開! ワイド化&オシャグレーがカッコイイ! まるで装甲車なスズキ「ハスラー」に反響も
くるまのニュース
日産 "武士の甲冑" デザインの新SUV公開 「キャシュカイ」改良新型、欧州で今夏発売へ
日産 "武士の甲冑" デザインの新SUV公開 「キャシュカイ」改良新型、欧州で今夏発売へ
AUTOCAR JAPAN
スズキ「カプチーノ」や「アルトワークス」が激走! 軽自動車だけで争う200分の戦い「東北660耐久レース」が開幕
スズキ「カプチーノ」や「アルトワークス」が激走! 軽自動車だけで争う200分の戦い「東北660耐久レース」が開幕
Auto Messe Web
「ガンディーニ追悼」に初の「アメリカンヘリテージ」の企画など大人が楽しむ「オートモビルカウンシル2024」閉幕。過去最高の3万9807人が来場しました
「ガンディーニ追悼」に初の「アメリカンヘリテージ」の企画など大人が楽しむ「オートモビルカウンシル2024」閉幕。過去最高の3万9807人が来場しました
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

177.5207.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
i30の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

177.5207.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村