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ホンダ・シビック・タイプR 2017年型、サーキット試乗 FFでもいい? 

掲載 更新
ホンダ・シビック・タイプR 2017年型、サーキット試乗 FFでもいい? 

■どんなクルマ?

「まったく新しい」

ホンダ・シビック・タイプRプロトタイプ、国内試乗 フォーカスRS/ゴルフRとの優劣は?

まったく新しいシビック・タイプRだ。

とてつもなく巨大なリアウイングと、ボンネットのパワーバルジがホンダ製のただのハッチバックにアクセントを加えている。

前の世代のシビック・タイプRもニュルの王座を奪還したが、今回はそれを7秒近くも上回る7分43秒8というレコードを叩き出した。

すべて考え抜かれていて、それが公道向けの特別なホットハッチを創り出している。

ありきたりな考え方をすれば、4WDか? と思ってしまうが実は違う。316psでクラス最強のパワフルさを誇るにも関わらず、新しいシビック・タイプRはFFなのだ。

クルマの外観を見てあれこれ悩むことはないが、ただ、わたしがSNSにこのクルマの写真をアップした際に、「これ良いか?」や「これは驚いた」などといった反応が普段よりも少なかったのが気になった。

ちなみに、ホンダが言うにはこのリアウイングは伊達じゃなく、ダウンフォースは同クラスのクルマと比べても突出しているとのことだ。

ほかに何か先代から変わった点はあるのだろうか?

ドライブモードが変わった。3段階構成となっているうちのふたつは先代からの引き継ぎだ。新しいタイプRはスポーツモードが標準で、それを基準に「コンフォート」と「+R」という風に選択可能。

細かく見ていけばダンパーの硬さやステアリングの重さ、それからスロットル・レスポンスなどが変更可能となっている。

ステアリングに関してはいくつかの段階で選択ができ、市街地ではマイルド、スポーツ走行時にはクイックで、なおかつ安定感も兼ね備えている。270km/hも出るホットハッチなので、これは順当といったところか。


■どんな感じ?

スポーツモードが最適かもしれない

今回のテストはドイツ西部の公道とサーキットを使ったものであった。サーキット最高! ただ、公道のほうは良いロケーションとはいえなかった。

イギリスの曲がりくねった田舎道、Bロードのような道を期待していたものの、現実は違った。ストリートでの評価を気にする人にとっては物足りないかもしれない。

公道でのテストは少ないながらも、それでわかったのは、「スポーツモードが最適だ」ということ。

シビックのシートは快適で、かつホールド感もいい。ポジションは低く、アジャスト可能なステアリングとペダル類は、ライバル車たちも次のモデルではぜひとも採用してもらいたい装備である。シフトノブも球体で(使い古された表現ではあるが)手になじみやすい。

ただ、乗り心地だが根底にはいつも「体育会系」の影がある。

コンフォートモードを選ぶと、ソフトな乗り心地になると思いがちだが、このクルマに関してはそうはいかない。

ただの街乗りですらストイックにスポーティであろうとするので、ステアリングは重たく、エンジンのレスポンスは良いまま。

新しいブリッピングシステムのおかげでシフトダウンの際は自動的に回転数を合わせてくれる。

しかし、もしこの機能を使わずにヒール&トウをしたい場合にはキャンセルできるが、クルマが動いている際には変更できない。この忌まわしい機能は地中深くに埋葬されるべきである。


+Rモード、ゴルフRやフォーカスRSより良い

残されたのは+Rモード。わたしならばエンジンは+Rを選択、ブリッピングシステムはオフにして、ステアリングはコンフォート、ダンパーはスポーツを選択するだろう。

この複雑な要求をどうやって設定するかだが、答えは至極簡単、ただタッチパネルに触れるだけ。

コントロール性は良好。ステアリングの応答性は的確で、エアロダイナミズムのおかげで240km/hを超えてもなお車体は安定している。

ピークパワーの316psは、6500rpmで発生し、最大トルクの40.8kg-mは2500~4500rpmの間で発生する。

ターボラグがあることはもちろんだ。むしろ、ターボラグがないターボ車なんてそうそうない。

けれど、リッターあたり158psものパワーを誇るので、サーキットで一度体感してしまったら最後、病みつきになってしまうかもしれない。

今回サーキットでのテストで感じたのは、新しいシビック・タイプRは軽く、俊敏でフォルクスワーゲン・ゴルフRや、フォード・フォーカスRSよりも良いということ。

FF車であり、車重が1380kgであるにも関わらず、だ。


FFなのに、それを感じさせない

マンモスパワーの矛先はフロントのタイヤだけなのだが、リアをもっとトーインにすることにより安定性が増し、さらに「シビック・タイプRっぽさ」を実現できるだろう。

ただしルノー・メガーヌR.S.275と比べればスロットルやそのほか小さな点では及ばず、といったところ。

わたし自身がこのクルマでサーキットでの走行会に参加するのなら、まず何はともあれフロントにもっと太いタイヤを準備するだろう。

トルクステアはどうだろうか?

少し感じる。コーナーを抜け、荒めにスロットルを開けるとブルブルとした振動がステアリングに伝わってくる。

サーキットにおいては高いコーナリングフォースがステアリングに確かに伝わってきて、ブレーキングのフィールも申し分ない。

+Rモードだと、しなやかに駆け抜けるなかで、ボディのバランスがどれほどいいものなのかを体感できる。


■「買い」か?

新生シビック・タイプRの門出

ひとたび速く走らせようと努力したら、なぜ新しいシビック・タイプRがニュルのコースレコードを樹立したかを理解できるだろう。

また、フロントの2輪から路面に伝達される強靭なパワーはまがい物ではなく、シャシーのバランス、グリップの良さなど、さまざまな気づきがあるはずだ。

まさにいま、新生シビック・タイプRの門出だ。積み重ねられたものがやっと実った。

4WDでもなく、全天候型のメガハッチバックとも違う唯一無二のクルマ。ほかにない乗り味を実際に確認してみるのも一興だ。

ホンダ・シビック・タイプRプロトタイプ

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