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ニューモデル 2017.6.4

ミニ・リマスタード 受注2000件超えに その理由は? 開発者に聞く

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あるいは「儲からない」かもしれない

多額の資金を投入した大作で設けようというハリウッド方式のビジネスが、自動車業界にも入り込んで久しい。

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その対局で成功を収めそうなのが、デイヴィッド・ブラウンが手掛けるミニ・リマスタードのケースだ。

クラシックミニを、現代の技術で蘇らせようというそれは、ようやく完成車がお目見えしたばかりだが、予想を超える需要があるという。

彼の心境は、映画「ジョーズ」のロイ・シャイダーのようなもの。現状は「この船じゃ小さすぎる……」という有名なセリフを口にしたくなるほどらしい。

数週間前に発表された「リマスタード構想」では、ブラウンが率いる少人数のチームが、年間100台、最終的に250台程度を製作し、第1号車のデリバリーは11月頃を予定するとされた。

ところが、発表直後から問い合わせが殺到。英国内ばかりか、遠くオーストラリアや、いまだミニ人気の高い日本からも寄せられた。

初日のみで650件、現在は2000件を超え、なお電話が鳴りっぱなしだという。


デイビッド・ブラウン、どんな会社?

彼の会社の販売チームは極めて小規模で、しかも他の業務を掛け持ちしながら、この新たな事業に必要なスキルを修得しようとしている最中だ。

納車待ちは長期化しそうだが、それを待ってでも購入する意志のある顧客からは、£2,000(28万円)のデポジットを受け付け始めた。この段階で予約リストが増えるのは、彼らとしては望むところではない。顧客からのプレッシャーが増すばかりだからだ。

ブラウンは、ユーザーからの反応を「素晴らしい」としつつも、それによってビジネスモデルの再検討を余儀なくされることも十分に理解している。

彼らは、シルバーストンの新工場への移転を長らく計画してきた。

ミニ・リマスタード以前のプロジェクトは、ジャガーXKのアルミ・シャシーをベースに、アストン マーティンDB5へのオマージュ的な£600,000(8,536万円)の少量生産車であるスピードバックGTの生産。

新工場は、これらふたつのプロジェクトの拠点とすることを想定したものだ。

しかし、ミニへのオーダーが年間生産予定を大幅に上回っていることで、見直しを計らざるを得なくなっている。だからこそ「この船でも小さすぎる」というわけだ。

プロジェクトの規模を再考するということは、サプライヤーとも改めて交渉する必要が出てくる。

「それまでに、生産モデルのあらゆる詳細を確定しなくてはなりません。手を付けてからやむなく変更するというのは、やりたくないんですよ」


もともとはダンプトラックを作っていた

ブラウンは、量産に何が必要か、たいていの人々より熟知している人物だ。彼の手掛けてきたビジネスで最大規模のものは、ダンプトラックの生産だった。初年度はたった1台の製作に留まったが、やがて£300,000(4,268万円)以上の車輛を1日7.5台ペースで製造する事業にまで育て上げ、キャタピラー社に売却したのである。

そんな彼がなぜ、アレック・イシゴニスの傑作をリメイクするという道に進んだのだろうか。

「新事業はどのようなものにしようかは、しばらく頭を悩ませたんです。ある程度の規模が見込めるものでなければならないと考えていました。そんな中で、誰もが知る英国の名車を『リマスタリング』するというアイデアが、最も気に入ったんですよ」

「候補にはジャガーE-タイプなども挙がったんですけどね、ミニが一番魅力的に思えました」

DBAではこれを広く知らしめるべく、3台のプロトタイプを製作して、3つのテーマを提案した。

トラディショナルな「クラシック」、ベーシックな「クラブスポーツ」、そして豪華版の「モンテカルロ」。価格は£75,000(1,067万円)~85,000(1,209万円)と高めの設定だが、その内容を考えれば致し方ないと思える。

プロトタイプのルックスはイシゴニスのオリジナル・ミニに近いが、装備内容や仕上げは、のちのオースティン-モーリスやBL、レイランド・カーズ、BLMCなどが41年間にわたり生産したおよそ540万台のどれをも上回る。


すみずみまで「狂気的」

公式には、新規製作ではなく、ミニの改装版とされているが、これは旧車のリバイバルに付きものの著作権トラブルに配慮したもの。

車体は既存品をベースに、ブリティッシュ・モーター・ヘリテイジが合法的なレストアの範疇で手掛けたものだが、パネルの継ぎ目も極力消され、新品同様に仕上げられている。

それに、リビルトされた1275ccエンジンをはじめとするオリジナルの装備を組み込んでいく。手作業で行うのは膨大な時間と労力を要する。

ダッシュパネルは、オリジナルの雰囲気を損ねないままに再設計され、エアコン(と丸い4つの送風口)やナビ、高音質オーディオ、ブルートゥース、パワーウインドウやスターターのボタンといった現代風のアイテムが装備される。

それらが後付け感や雑多さもなく、往年のミニ以外の何ものでもない眺めの中に収まっているのが不思議なくらいに出来栄えはみごと。

ブラウンとデザイナーのマイク・サンプソンは、このデザインに多大な苦労を強いられたが、レザーシートやアルカンターラのヘッドライニングも含め、コンパクトでメーカー純正のように見せたいという狙いは存分に果たされている。

オリジナルとの識別点であり、スピードバックGTに似た形状のエレガントなグリルもまた、サンプソンの作品だ。

ルーフガーターはオリジナルより小さく、ボディ後部の斜めのシームなど、ボディ全体の粗は完全に消されている。

トランクにはハンドルがなく、電気式ロックが備わった。サスペンションはラバーコーンを踏襲するが、およそ20種類の市販品を試して選ばれたコンポーネンツを使用する。

DBAは、仕上げには狂信的なまでのこだわりを見せ、塗装だけでも400時間、1台を仕上げるには1400時間をかける。見慣れた大衆車のようでいて、注がれる労力はポルシェ以上かもしれない。

もし、日本やアメリカからのオーダーがあれば、DBAはそれぞれの市場に合った仕様のミニを輸入し、仕上げてから送り返す販売方法をとるという。


なぜ、題材はミニだったのか?

ブラウンがミニを選んだのには、若い頃に所有し、多分に漏れずカスタマイズに勤しんだ経験も関係している。

このリマスタードは多くのひとが尻込みするような価格のコンプリートカーだが、ブラウンはミニの伝統ともいえるモディファイの延長線上にあると感じているようだ。

ツルシのクルマでは味わえない、改造のワクワク感がこの仕事にもあることを、彼は認めている。

「わたしのヒーローはふたりいます。ロジャー・ダルトリーと父です。ダルトリーがそうなのは、わたしがロックミュージックの大ファンであるからですが、父がそうなのは、わたしに全てを教えてくれたひとだからです」

「ミニについてもたくさんのことを話してくれました。父はミニを、素晴らしい技術の詰まった、もはや改善の余地がないマシンだと考えていましたが、わたしは今、それを補正しているところなのかもしれません」

(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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