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レクサスLC試乗レポート 感性諸元へのこだわりは、五感に響いたか?

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レクサスLC試乗レポート 感性諸元へのこだわりは、五感に響いたか?

レクサスのフラッグシップモデル「LC」が2017年3月16日より発売となったが、試乗のチャンスが巡ってきた。国内月販目標50台に対し、滑り出しの時点で1800台の予約注文があり、市場の期待値が高いことがわかる。世界で戦う日本を代表するブランド、レクサスのトップモデルはどこまで欧州プレミアムモデルを脅かす存在に成長したのか、本当に五感を刺激するモデルなのか?早速レポートをお伝えしよう。<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>

■概要
レクサスLCのラインアップは5.0L V8型自然吸気エンジンを搭載した「LC500」と3.5L V6型エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドモデルの「LC500h」という2つのラインアップで、NAのLC500は1300万円~1400万円、ハイブリッドのLC500hは1350万円~1450万円。そしてともにFR駆動のみのモデルだ。燃費はNAが7.87km/Lで、ハイブリッドは15.8km/L。今回その両方に試乗することができた。

■ポジショニング
レクサスLCの立ち位置はラグジュアリークーペである。しかし、ひと言ではカテゴライズされないエリアに投入されたモデルでもある。ライバルはBMW6シリーズ、メルセデス・ベンツのSL、あるいはポルシェ911あたりになるが、開発の段階では、BMWやメルセデスはもちろん、ジャガーF-Type、アストンマーティンなどもよく研究したという。

しかし、BMW6シリーズやメルセデスのSLがもつラグジュアリーな世界観は、セダンの香りがする。一方、ポルシェやジャガーはスポーツカーとしての性格が色濃くあるラグジュアリー・スポーツモデルだ。アストンマーティンに至っては、さらにひとクラスうえのプレステージクラスのラグジュアリーでもある。

そうしたライバルたちに対して、レクサスLCのラグジュアリークーペはセダン方向ではなく、少しスポーツ寄りの独自の世界観をもった位置にポジションしている。したがって、ひと言ではカテゴライズされない、そしてこれまでにない価値観をもったモデルとしてレクサスLCは位置付けられ、コンセプトやポジションニングも含め、なにものにも似ていないモデルとして発売されたわけだ。

こうしたことは、レクサスが「ラグジュアリー」に対する価値観の変化を敏感に受けとめたことによるものだと説明する。それは、モノの所有より、そのモノが発信するストーリーが重視されるように変化しているのだという。その新しいラグジュアリーの価値観、豊かさの本質を追求する人に向けて、感性を刺激し、驚きと感動を提供してくのが、ライフスタイル・ブランドであるレクサスのポジショニングだという説明だった。そして、レクサスは、これまでこのセグメントにはモデルを持っていなかったわけで、新たなレクサスの独自の世界観を選んでもらえるようなモデルとして投入したということになる。

実際の販売で見てみると、レクサスの2016年のグローバル販売台数は67万台で、国内は5万台を超える台数だった。これは過去最高の数字を記録しており、レクサスの着実な成長がうかがえる。そして、LCの登場によりレクサスブランドの立ち位置や特徴がなんであるか?などがより鮮明に、そして明確になり、ユーザー側もこれまで以上に受け入れやすくなることだろう。

ちなみに、国内での販売比率はNAとハイブリッドで、ほぼ半分ずつで、ややV8 5.0Lモデルのほうが多い結果だという。これまでのユーザー層はハイブリッドがあれば、間違いなくハイブリッドを選んでいたが、LCでは少し異なっているようだ。

■LCの特徴
さて、新しい価値観を持ったラグジュアリークーペのLCには、大きく分けて4つのポイントがある。ひとつは、コンセプトカーLF-LCのデザインイメージをモチーフとして唯一無二のデザイン。そして新開発のGA-Lプラットフォームの採用にる「より鋭く、より優雅」な走りの実現。世界初のマルチステージハイブリッドシステムをはじめとする先進技術の採用。最後に匠の技と最先端の生産技術を駆使したモノづくり、というのがポイントになる。

デザインでは2012年にデトロイトショーでワールドプレミアしたLF-LCをベースに市販車につなげているが、実車となって試乗してみると、エクステリアとインテリアのデザインから主張する方向性を見て取れる。エクステリアでは、コンセプトモデルのデザインを色濃く残し、スポーティな方向からのラグジュアリー表現を感じさせ、インテリアからは匠による技や品を感じさせる、いわばセダン方向からのラグジュアリー表現だと感じさせる。これは受け取る側の感性の問題でもあり、一概には評価しにくいが、タカハシにはベクトルの違いとして響いてきた。

ステアリングのグリップフィールやシートの座り心地、ドライバーズシートから見えるすべてのインテリアの景色は満足度が高い。高級車を手にした歓びと、匠の手による生み出された繊細な世界観は、いいモノを知る人を満足させるだろう。

GA-Lプラットフォームの新規開発の背景には、徹底的に感性諸元に拘る、ということがあり、走行性能においても感性に響く必要がある。そのためには、ドライブフィールとの一体感を創りだすことが要求され、新プラットフォームが必要になったというわけだ。開発キーワードのより鋭く、より優雅にとは、リニアで正確な応答、動きのつながり、そしてしなやかさである。

ハンドルを握り横浜周辺の首都高速を走ってみても、操舵のリニア感、応答性の良さはすぐに感じ取れる。乗り心地も20インチ、21インチという大径サイズのランフラットタイヤにもかかわらず、しなやかにサスペンションが動き、入力を消し去っていく。

■インプレッション
アクセルを踏み込むとサウンドジェネレーターと排気バルブによる「音」の演出があり、V8エンジンは気持ちのよい咆哮を聞かせてくれる。一方、アクセルと踏み込まないクルージング走行をすると、静かでラグジュアリーさを感じる。また新規開発の10速ATのトランスミッションは、学習機能も持ち合わせ、アグレッシブな走行をしていると判断するとコーナー手前でブレーキングと同時にダウンシフトし、コーナー出口では適切なギヤ段を選択した状態となっているため、気持ちよく加速させてくれる。

一方、ハイブリッドモデルはこれまでの常識を超え、リニア感が増している。同様にダウンシフトはするが、こちらは回転の上がり方に少しリニア感に欠けるところがあり、V8エンジンと比較してしまうと、違和感が出てしまうが、従来のハイブリッドとはまったく異なるドライバビリティではある。

ちなみに10速のATは、まるっきりの新設計で従来からの8速ATからの流用はない。ミッションケースも新規に鋳造し、4つのギヤセットを持つ。8速ATで使われていた3つのギヤセットに1つをプラスしたというものではなく、すべて新規の4つのプラネタリーギヤで構成している。変速比幅は8.2で、1.0の直結は7速。8、9、10速はオーバードライブの設定になっている。もちろん国内の速度制限である100km/hでも10速には入る。

この変速比幅の8.2は10速としてはそれほどワイドレシオということでもないが、エンジニアによれば変速のリズムを作りたかったということだ。ギヤのつながりをよくし、常にエンジンが力強くトルクを発揮できるセッティングということだ。が、横浜の市街地や首都高速ではその片鱗は感じるものの、力強い加速からアップシフトを繰り返す状況は体験できず、残念だがそのフィーリングはお預けとなった。感性に響く加速感はぜひ味わいたかった。

もうひとつ、残念なのがハンドリングで大きなコーナリングGを体験できなかったことがある。というのは新開発のGA-Lプラットフォームは全体の静的剛性がアップしているのは言うまでもないのだが、ねじれ剛性において、綺麗にねじれていくことに成功しているのだ。これまでのレクサスのプラットフォームで感じていた、リヤサスペンションの前付近に節があり、ねじれに対してフラットな変化とならず、ねじれの加速度変化が起きていたというのだ。それが、ドライバーにはふにゃっと感じたり、コンプライアンスステアとして感じたりしていたという。だが、これも試す環境はなく、お預けのコンテンツとなってしまった。残念。

■マスターロードは北米西海岸
こうして感性諸元にこだわったレクサスLCは、アメリカ西海岸にある「エンジェルス クレスト ハイウエイ」という道路をマスターロードとして、非常にたくさんの時間を使って走り込みをしたという。ここはクルマの総合性能が試される道路でもあり、新世代レクサスの第二の故郷ともいえる場所でもある。

フラッグシップモデル、レクサスLCのメインマーケットは北米だ。これまで、その北米ではハイブリッドは好まれてこなかったが、このLC500hへの反応は興味深いとエンジニアたちは口々に言う。それだけ自信作ということだろう。そして、ユーザーにしてみれば、前述の欧州のプレミアムモデルらと同じテーブルに並べ、どのモデルが自分の感性を最も刺激したのか?を比肩し、目で見て、手で触ってみて、操作してみて、そしてサウンドを聞き、五感に響いたのはどのプレミアム・ラグジュアリークーペなのか?を考える愉しみになったことは間違いない。

感性諸元にこだわったレクサスLC。国内の第2波の受注状況や、北米でのハイブリッドへの反応など、興味が尽きないモデルでもある。

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