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本当に速いマシンはまだ分からない。メルセデスF1、フェラーリの”悲観”を疑問視「彼らがエンジンの出力を抑えていたのはなぜだ?」

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本当に速いマシンはまだ分からない。メルセデスF1、フェラーリの”悲観”を疑問視「彼らがエンジンの出力を抑えていたのはなぜだ?」

 カタルニア・サーキットで行なわれたF1プレシーズンテスト前半に圧倒的な速さを見せたメルセデスF1。対するフェラーリは「現時点では我々よりもメルセデスやレッドブルの方が速い」と悲観的な姿勢を見せているが、メルセデスはこの評価に疑問を抱いているようだ。

 プレシーズンテストの前半最終日となった金曜日、メルセデスはルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのふたりの最も柔らかいC5タイヤを履かせ、パフォーマンスを披露。他チームに大差をつけるラップタイムを記録して1-2体制を築いた。

■テスト好調のメルセデスは“完全無欠”ではない? 信頼性に一抹の不安

 DAS(二重軸ステアリング)の論争などはあったものの、そのタイムを見れば、メルセデスW11の基本的なペースは、相変わらず猛烈に見える。

 一方でライバルとなるべきフェラーリは、メルセデスから2.6秒遅れ。控えめなテスト結果だったと言うべきだろう。チームは、プレシーズンテスト前半の3日間でパフォーマンスを追求するつもりはなかったと主張しているが、メルセデスとの差には驚いているようだった。

 しかしメルセデスは、状況が素早く移り変わるかをよく知っている。彼らも2019年のプレシーズンテスト前半で遅れを取ったものの、2週目には大規模なアップデートパッケージを投入し、最終的にはダブルタイトル獲得に繋げることができた。

 メルセデスが金曜日の夕方に発表したテスト前半の分析レポートで、チームは現状の序列を明確にするかのように思えた。しかし、そのほとんどの部分では控えめな表現に留まった。

「誰もが、他のチームよりも速いと主張することは望んでいない。何が隠されているのか、そして次に何が持ち込まれるのか、確実に知ることはできないからだ」

 分析レポートには、そう書かれている。

「例えばレッドブルは、テスト後半に大きなアップグレードパッケージを持ち込むのだろうか?」

「フェラーリがこのテストで、彼らのパートナーチームよりもはるかに低いレベルでパワーユニット(PU)を動かしていたのはなぜなのだろうか?」

 メルセデスのフェラーリに関する言及は、注目すべき部分かもしれない。メルセデスによれば、フェラーリはパワーユニットのポテンシャルを、まだ最大限に発揮してはいないというのだ。

 それは収集されたデータの集計によって下された評価だ。詳しく分析すれば、フェラーリは1周につき1秒程度遅いペースで、PUを回していた可能性があるというのだ、つまり先頭との差は、実際とはまるで違う可能性がる。

 初日のフェラーリの最高速度は約308.65km/hだった。これは、同じフェラーリのPUを使うアルファロメオのこの日の最高速から、約11.5km/hも遅いものだった。木曜日にはその差は14.8km/hにまで拡大。最終日、セバスチャン・ベッテルがドライブしていた際、約327km/hまで最高速を引き上げたが、その直後にPUはトラブルを起こしている。

 ベッテル曰く、フェラーリはテストで最高速を伸ばすつもりはないという。

「エンジンモードなどを使って、色々と試すことができる。今のところ、目標はPUの最大出力を証明することではなく、できるだけ多くの周回をこなすことだと思う」

 そうベッテルは語った。

「その後でエンジンの出力を増加させる。でもそれは、おそらくテストでやりたいことじゃないし、誰にも見せたくないことだと思う。僕の知る限り、それは予定の中には入っていない」

 ベッテルのコメントは、テスト中にフェラーリが出したコメントに似た意味合いを持っている。昨年のテストでは高いパフォーマンスを発揮したフェラーリ……その反省を活かした行動だとも言えるだろう。

「我々はテストとプログラムのアプローチを変更した」

 フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットはそう語った。

「最初の3日間では、様々な空力構成、機械的な構成の下で、マシンを位置付けようとした。セットアップを最適化したり、全体的なパフォーマンスを探すことなくね」

 とはいえビノット代表は、ライバルに対峙することに対する不安を抱えていることも認めている。

「昨年はラップタイムを容易に記録することができたので、この段階では楽観的だった。でも今年は少し難しいようだ」

「ライバルたちはとても強いようだ。でも昨年起きたことを忘れてはいけない。来週、そしてオーストラリアでの開幕戦で真の姿が見えるのを待とうじゃないか」

 速さを見せたメルセデスも、そのことを視野に入れている。ボッタスは最初の3日間の走行に満足していたものの、序列を判断するのは控えた。

「良いフィーリングだった。マシンには大きなバランスの問題はなく、挙動もすこぶる良かった。僕らはマシンを毎日改善していると感じている」

 そうボッタスは語った。

「大きな問題はなかったけど、バランスや微調整する必要があるものは常に存在する。様々な速度やその種類によって、バランスを取る。あるべき姿に向け、僕らはどんどん良くなっている」

「概して、それはとても良いことだ。でもそれ以上のことを言うのは、今の時点では少し早すぎると思う」

「でも、昨年に比べて本当にネガティブなことはない。だからポジティブだよ」

 最初のテストで速さを見せたのはメルセデスだ。しかしフェラーリにまだ手持ちのカードがあるなら、真の序列はまだ分からない。それが本当に分かるのは、メルボルンでの開幕戦がスタートした後……かもしれない。

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