フェラーリGTレーシングのディレクターを務めるアントネッロ・コレッタは、IMSAとACOフランス西部自動車クラブが共同発表したLMDhプラットフォームが、WEC世界耐久選手権とIMSAシリーズのGTEカテゴリーから自動車メーカーを遠ざける可能性があることを示唆した。
WECのGTE Proクラス用にマシンを製造しているアストンマーティンは現在、2020/2021年シーズンから始まるLMHル・マン・ハイパーカークラスに向けてヴァルキリーのハイパーカー開発に取り組んでいるが、ポルシェとBMW、コルベットの親会社であるGMもACO-IMSAの合意によって誕生したLMDh規定に前向きな反応を示している。
WEC:LMDhは「魅力的」とフェラーリGT代表。プロトタイプレース復帰への関心認める
LMDhの魅力は、なんといっても少ないコストでル・マン24時間、デイトナ24時間、セブリング12時間といった伝統のスポーツカーレースの最高峰クラスを争える点にある。そのため前述のメーカーに加えて、ランボルギーニやレクサスブランドでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権を戦うTRD(トヨタ・レーシング・ディベロップメント)なども動向を注視していると考えられている。
コレッタはこのような状況に警鐘を鳴らすひとりだ。彼は「GTEの未来にとってこれは重大な問題だ」と述べた。
「LMDh規定が採用されればLM-GTE Proは死に絶えるだろう。LM-GTE Amクラスは2、3年続く可能性がある。(この問題を回避する)別の選択肢としてはFIA-GT3をWECに組み込むことが考えられる」
「しかし、これが可能かどうかは分かりかねる。GT3メーカーは全部で13か14社ほどあり、これらすべてをまとめるのは困難だからだ」
「フェラーリにはGT3がある。我々はGTEを公式のファクトリーカー、GT3はユーザーに販売するカスタマカーとしているため、それは重要な商業的カテゴリーだ」
「実際、他のメーカーの政略はまったく異なっている。現在のGT3メーカーをみると、メルセデス、ランボルギーニ、ポルシェ……多くのオフィシャルカーを目にすることができるが、我々からすればそれは違う」
「しかし、(フェラーリを含め)各社がまったく違う哲学を持っているんだ。もし、これらがル・マンに来るというのならば、そこにはまた別の反映されるべき問題が生じるだろう」
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