FIA世界耐久選手権(WEC)には2021年9月から、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権には2020年1月から、新たなプロトタイプマシンのカテゴリー”LMDh”が導入されることが発表された。これにより、IMSAに参戦するマシンがル・マン24時間レースに参戦すること、そしてWECに参戦するマシンがデイトナ24時間レースに参戦することが可能になる。
ACO(フランス西部自動車協会/WEC主催者)とIMSAは、今回の決定について、次のように声明を発表している。
■マクラーレン、WECに興味も”ハイパーカー”は手が出ず。IMSAとの連携を期待
「マニュファクチャラーはトップカテゴリーに参戦し、この新しいLMDhのマシンで、ふたつの世界有数の選手権に参加することができる」
「これはACOがル・マン・ハイパーカークラスに、そしてIMSAがDPi2.0に向けて準備しているモノに触発された形だ」
なおこのLMDhマシンは、以下のような基準になるという。
・ACOとIMSA共通の新シャシーに基づき、ル・マン・ハイパーカーとLMP2シャシーの要素を使用。現在の4つのLMP2シャシーメーカーであるダラーラ、リジェ、マルチマチック、オレカによって生み出される。
・このシャシーは新世代のLMP2クラスでも使われる。
・リヤアクスルで力行と回生を行う、ハイブリッドKERS(運動エネルギー回生システム)を使う。
・シルエットデザインは変更可能。エンジンメーカーのブランドもしくはスタイルによって開発することができる。
なおLMDhマシンの技術面の詳細は、3月に行なわれるスーパーセブリングの際に、ACOとIMSAの技術部門から発表されるという。
ACOのピエール・フィヨン会長は、今回の発表に際して次のように語った。
「今日のこの発表は、耐久レースの将来にとって重要な出発点であり、ACOとIMSAの両方によって支えられている。このプラットフォームは、耐久レースの素晴らしいサクセスストーリーに向け、両組織により達成された結束を示している」
「マニュファクチャラーはまもなく、FIA WECとIMSAのふたつのチャンピオンシップのトップカテゴリーを戦うことができるようになる。これは例外的なものであるため、このスポーツとマーケティングの長期的なビジョンにどれほどのチャンスが開かれているか、それを十分に説明することはできない」
IMSA会長のジム・フランスも、次のようにコメントした。
「私の父であるビル・フランス・シニアが、1962年にこのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで最初にデイトナ・コンチネンタル・スポーツカー・レースを行なった時、彼は世界中のスポーツカーのドライバー、チーム、メーカーをここに集めたかったのだ。ACO、IMSA、およびメーカーの連携によって可能となった本日の発表により、父の目標が次のレベルに引き上げられることになった」
WECのCEOを務めるジェラール・ヌブーもコメントを寄せている。
「大西洋を挟み、同じマシンで最高レベルの戦いを行なうために、多くの参加者に門戸が開かれた。そういう意味で耐久レースが、今日の勝者であると言える」
「ACOとIMSAのビジョンとコラボレーションの精神は祝福されるべきだろう。ル・マン・ハイパーカーと新たなLMDhは、ル・マンやデイトナで共にレースを戦うことができる。世界中の耐久レースファンにとって、非常にエキサイティングなことになるだろう」
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