現行のF1レギュレーションでは、予選Q3に進出した10名のドライバーはQ2でベストタイムをマークしたタイヤを決勝レースで履く必要がある。これによって予選トップ10のドライバーは中古タイヤでのスタートを余儀なくされるばかりか、レース戦略自体にも影響を受けることになる。
ただ、ここ数年はメルセデス、フェラーリ、レッドブルのいわゆる“3強チーム”が中団以下に対して大きなアドバンテージを持っており、彼らはQ2をミディアムタイヤで通過できるケースが多い。すなわち、3強チームは実質的にスタートタイヤをソフト、ミディアムの2種類から選べるというわけだ。
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しかしながらその他のチームはそうもいかない。3強以下のチームでQ3に進出したドライバーは、基本的に中古のソフトタイヤでスタートする以外に選択肢がないのだ。その一方で11番手以下のドライバーは新品タイヤが使用できる上に、タイヤコンパウンドにも制限がない。そのため、決勝ではミディアムタイヤやハードタイヤでスタートした後方のマシンがレースを優位に進めるケースが多い。
ルノーもこの規則に苦しめられているチームのひとつであると言える。最終戦アブダビGPでは2台とも予選Q3に進出し、ダニエル・リカルドが7番グリッド、ニコ・ヒュルケンベルグが9番グリッドからレースをスタートさせたが、ミディアムタイヤでスタートしたセルジオ・ペレス(レーシングポイント)、ハードタイヤでスタートしたダニール・クビアト(トロロッソ)らが1ストップ作戦で追い上げる一方で、ルノー勢は2ストップを強いられた。その結果、リカルドが11位、ヒュルケンベルグが12位と両者ノーポイントに終わった。
ルノーは最終戦で、トロロッソとコンストラクターズランキング5位をかけて争っていた。結果的にルノーが5位を死守したものの、自分たちの速さで手にした予選結果によって苦しいレースを強いられるという、皮肉な展開となった。
これらのタイヤルールを撤廃するという計画は、F1ストラテジーグループによって今年議論された。しかしながら、その時点で2020年のスポーティングレギュレーションの変更期限(2019年4月30日)を過ぎていたため、規則撤廃には全会一致の賛成が必要であった。そしてトップチームといくつかの中団チームが反対票を投じたため、タイヤルールは2020年も継続されることとなった。なお、2021年の規則変更に関しては現段階で全会一致は必要ない。
ルノーのマネージングディレクターを務めるシリル・アビテブールは、現行のタイヤルールに関して次のように不満をあらわにした。
「(予選トップ10ドライバーが)スタートでソフトタイヤを履かされるという馬鹿げたレギュレーションによって、後方のドライバーにアドバンテージがあるということが実証された」
「ストラテジーグループでは皆(タイヤルール撤廃に)同意していた。それなのに投票になると、状況が変わった。正直それに腹を立てている」
「トップチームからそのジュニアチームに対して、規則変更を止めるためのロビー活動があった。この規則はトップチームを守るために作られたものだからだ。彼らにそれが必要とは思わないがね」
「同時にこれはトップチームから支援を受けているチームに有利なものでもある。この規則に苦しめられているチームを私は“ミドルクラス”と呼んでいる。それは大抵、我々ルノーかマクラーレンだ」
「客観的な立場で言うと、我々も予選トップ10から漏れた時に何度かアドバンテージを得ている。メキシコや鈴鹿がその一例だ。ただ、それは規則継続に賛成する理由にはならない」
「これは愚かな規則だ。廃止する必要がある。今は誰もそれに関して動いていないが、(2020年も)またこういったことが起こると思うと腹立たしい」
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