長年、国内モータースポーツの舞台で活躍してきたレーシングチーム『ル・ボーセ モータースポーツ』。12月8日に鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーFJ日本一決定戦をもって、31年にわたるレース活動に終止符を打った。
1989年にFJ1600に初参戦して以降、国内のステップアップカテゴリーを中心に活躍し、山下健太や中山雄一をはじめ多くの有力ドライバーを輩出してきたル・ボーセ。しかし、坪松唯夫代表は今年9月、2019シーズンいっぱいで全レース活動を終了することを発表した。
■ル・ボーセ モータースポーツ、今季いっぱいで活動終了。坪松代表が経緯語る
すでにFIA-F4とスーパー耐久はシーズン最終戦を終えており、将来プロを目指す若手ドライバーがしのぎを削る登竜門カテゴリーであるスーパーFJの日本一決定戦の舞台がル・ボーセにとって最後のレースとなった。
今回の日本一決定戦ではル・ボーセから3台がエントリー。そのうち62号車の伊東黎明(ル・ボーセフォーミュラスカラシップPFC)が第1レグAグループ1位で通過し、8日(日)のファイナルではポールポジションからスタートした。しかし序盤から徐々に順位を落としていく苦しい展開となり8位でフィニッシュ。7位となった63号車の岩澤優吾(ル・ボーセフォーミュラアカデミーPFC)がチーム最上位の結果となった。
ル・ボーセの最後のレースを終えた坪松代表は「“最後のレースだな”という気持ちはありましたけど、特に寂しさもないし、清々しい気持ちです」と笑顔を見せた。
今回のスーパーFJを含め、FIA-F4やスーパー耐久の最終戦でも“ル・ボーセ最後のレース”と気合いを入れるのではなく、いつもと同じようにレースに臨むことを心がけていた坪松代表。両レースとも最終戦で勝利を飾ることができず、今回もドライバーたちにとっては悔しさが残る結果に終わったのだが、坪松代表は“これもレース”だと語った。
「レースというのは“数多い負け”があって、その中に“数少ない勝ち”があります。幸いにして僕たちはたくさん勝利させてもらうことができました。考えてみれば、今年スーパーFJではもてぎで4勝しましたし、F4では勝てなかったですけど2位に入ったりと頑張ってくれました。今年1年を総括するとみんな頑張ってくれた年だったなと思います」
「毎年この時期になると『今年がダメなら来年!』という気持ちで、チェッカーを受けた瞬間から来年に向けた動きを始めていました。それが今回は来年を考えなくていいから……気楽ではありますね」
「今日の結果に対して何か言うことはないですし、(ドライバーたちには)この悔しさを来年返してもらって、自分たちの成長につなげてもらえればいいですね」
また坪松代表は、これから表立ってモータースポーツに関わることはないとしつつも、これまで育ててきた若手ドライバーたちの成長は陰ながら見守っていきたいと語った。
「みんなの成長は陰ながら応援していこうと思いますが、その辺は“自然な感じ”にしようかなと思っています。色々な情報が入ってくる中で興味があれば自分で手にとって見るかもしれないし、逆にあえて(情報が)入ってこないように自分から遠ざかる方がいいのか……その辺は来年になってみないと分からないですね」
「でもレースに関しては0.001ミリも未練がありません。本当にスッキリした気分です。今までのような刺激がなくなるので(モータースポーツに全く携わらない)自分はどうなるのかな? と思うところはありますが、それも来年になってみないと分からないですね」
そう話す坪松代表の表情をみても、モータースポーツから離れることについて寂しさをほとんど感じていない様子だった。しかし一番想いが込み上げてくるのは、来年1月ごろに予定しているル・ボーセのファクトリー閉鎖の瞬間かもしれないと語った。
「多分、一番寂しさを感じるのは……自分で築き上げてきたファクトリーを離れなければいけない時なんじゃないかなと思います」
「ただ、自分の中で来年から新しくチャレンジしようと思っていることがあるので、そこに向けては楽しみにしています」
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