メルセデスF1チームのCEOおよびチーム代表として、前人未到の6年連続ダブルタイトルを成し遂げたトト・ウルフ。彼はメルセデスを離れて現F1会長のチェイス・キャリーの後を継ぎ、F1運営に関わるのではないかとも噂されてきた。
しかしながら、2019年シーズン最終戦のアブダビGPを終えたウルフは、メルセデスに残るつもりだと語った。
■「ハミルトンの決定を待つ」メルセデス代表、他ドライバーと先に交渉はせず
「キャリアを考える上で、考慮すべき要素はとても多くある」
「実際に自分をハッピーにさせてくれるものは何なのか? 困難な時期にあっても、ベッドから出られるのはなぜなのか?」
「チームで7年働いた後であっても、チーム内の関係性が私に多くの力を与えてくれるんだ。現時点で、これ以上良い場所は想像できない」
メルセデスに加入する前、ウルフはウイリアムズでチームオーナーのフランク・ウイリアムズを補佐する立場にいた。しかし、メルセデスからのオファーを受けてウイリアムズを離れ、2013年1月にメルセデス・ベンツ・モータースポーツのマネージングディレクターに就任した。
当時、メルセデスF1チームはロス・ブラウン(チーム代表)やニキ・ラウダ(非常勤会長)、ニック・フライ(CEO)が率いていたが、2013年4月にフライが離脱、シーズン終了後にブラウンもチームを離れ、以来ウルフがチーム代表およびCEOを務めている。
チームの株式も所有しているウルフは、自身がビジネス的な側面も担い、ラウダと役割をシェアしていたことで、メルセデスにはライバルチームとは違った活力があったと話す。
「2012年に私に与えられたチャンスと信頼を、常に尊重している」
「ダイムラーのような会社にとって、パートナーであるニキや私の株式保有を認めるのは簡単なことではないと思う」
「それ以来、意思決定を行なうダイムラーの取締役会だけでなく、我々と旅を共にするダイムラー従業員との関係も強化された」
「こうした関係性は、生活の質を根本的に決定する。今後も、彼らは私に企業家的なやり方でチームを運営し続ける自由を与えてくれると確信している。私は、それを単純に楽しめるし、私にチャンスを与えてくれるんだ」
「だからフットボールチームの監督のように、3年か5年ごとにチームを移り、自分自身の”刷新”をしていく必要はない。私には、株主としてのチャンスも与えられている」
ウルフは、今季のブラジルGPを欠場。メルセデスに加わってから初めて、グランプリの週末にサーキットを訪れなかった。当時、メルセデスはすでにタイトル獲得を決めていたため、ウルフはヨーロッパに留まると説明されていたが、ブラジルGPの翌周にサウジアラビアで行なわれたフォーミュラEの開幕戦には姿を現している。
来季は史上最多の22戦が予定されていることから、ウルフは『政治的に正しくないのでどことは言えないが、来季も1戦くらい欠場したい』とジョークを飛ばし、チームに帯同しない可能性があることを示唆した。
ただし、これは彼の後任を見つけるためのプロセスの始まりではないと述べた。
「ブラジルでの欠場は、(2020年に)カレンダーが22戦となって私が欠場することを選んだ場合に、チームの上級メンバーがどう動くかを知るためのものだった」
「それは常々私がやりたいと思っていたことだった。私としてはとてもリラックスしていたけど、奇妙な感じだったよ」
「スポーツ心理学者によれば、他のみんなが働いていることは分かっていたから、楽しさが倍増しなかったんだそうだ!」
「しかし、チームで上級職に就いているメンバーは全員、自身がチームにもたらす貢献について意識する必要がある。その貢献が重要であれば、すべてのレースに出る必要がある。だから、解決策は見つからなかったんだ」
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