【MotoGP】レプソル・ホンダ、アレックス・マルケス起用は「Moto2タイトルありき」“マルケス”の名字は関係無し

　11月18日（月）、HRC（ホンダ・レーシング）は今季限りで引退となったホルヘ・ロレンソの後任として、アレックス・マルケスとの1年契約を結んだことを公表。6度のMotoGPチャンピオンであるマルク・マルケスと、MotoGP史上初の兄弟チームを結成することになった。

　この契約に際して、レプソル・ホンダのチームマネージャーであるアルベルト・プーチが報道陣の取材に答えた。

「これ（兄弟がチームメイトになること）は全く稀な出来事だ。思うにこれまでに経験したことのないものだろう。とても奇妙な状況だ」と、プーチは言う。

「だがそうなった。それからこれは明確にしておくが、もしアレックスがMoto2のチャンピオンとなっていなかった場合、我々は彼にオファーを出すことはなかっただろう。だが彼はそれを達成した。そして彼らは兄弟だが、来年は兄弟かつライバルとなる」

　ロレンソの後任としてアレックスの名前が挙がる前は、シーズン終盤3戦で中上貴晶（LCRホンダ）の代役を務めていたヨハン・ザルコ、そして同チームのカル・クラッチローが有力な候補だと考えられていた。

　結果、ホンダはMotoGPでの経験の無いアレックスを選んだわけだが、なぜ経験のあるライダーを選ばなかったのだろうか。その点をプーチに訊くと、彼は次のように理由を語った。

「我々は皆が彼の“名前”を考慮しないと信じている。世界チャンピオンに輝いたライダーは、（レプソル・ホンダの）ライダーに値するか、そうでなくともチャンスを得るに値すると考えている。ここで唯一議論を呼ぶ要素は、彼の名字だ」

　兄であるマルクはこの一連の動きの中で。自分がチームメイトを決めるわけでは無いし、干渉もしないと語ってきた。ただ、もし弟が選ばれたならそれは嬉しく思うだろうとも述べていた。

　そしてアレックスがチームメイトになることが決まったが、プーチはマルクが交渉に際して干渉はしていないと認めた。

「皆さんにお伝えしておくと、マルクは全く（交渉に）干渉していない」

「もちろん、彼に『チームメイトは弟が良いか？』と訊けば、当然彼はイエスと言っただろう」

「だが彼は本当にそれには関わっていないんだ。彼に訊いたとしてもそれは普通のことだと言うはずだし、弟がチームに加わることが嬉しいかと訊けば、肯定するだろう。だが、その交渉にはマルクは同席していない。アレックスと、彼のマネージャーであるエミリオ（アルサモラ／マルクのマネージャーでもある）と話したんだ」

　またプーチは、「マルクは勝利以外の事は気にしないだろうと思う」と語り、弟がチームメイトになろうともパフォーマンスを下げることは無いという考えも示した。

　なお19日（火）には、バレンシアのリカルド・トルモ・サーキットにて、現地時間午前10時から2020年シーズンに向けた最初のテストが開始される予定だ。ここでアレックスはMotoGPマシンのテストに参加すると思われる。