トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラムの“WECチャレンジ・プログラム”に参加している山下健太は11月8~10日、中国の上海国際サーキットで行われたWEC世界耐久選手権第3戦上海4時間レースに出場し、LMP2クラスを戦うハイクラス・レーシングの33号車オレカ07・ギブソンを駆りクラス6位/総合11位でフィニッシュした。
2019/2020年シーズンのWEC第3戦上海はスーパーGT最終戦もてぎの翌週開催となったことから、2019年のGT500シリーズチャンピオンを獲得した山下は中2日というスケジュールで上海入りすることに。木曜にチームに合流すると、その日に行われたサーキットウォークで初走行となる上海国際サーキットのトラックを確認した。
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走行初日となった金曜は2回のフリープラクティス(FP)が行われ、山下と同様に上海での走行経験がないハイクラス・レーシングは、FP1は3人のドライバーのコース習熟とデータ取りに専念。午後のFP2ではクルマのセッティングを進め、タイヤのマネジメントが難しいとされる同地におけるタイヤの摩耗状態を確認するためのロングランを中心に走行を重ねていく。
このなかで山下はLMP2クラス初日3番手のタイムを記録。走行終了後には、「フリー走行のタイムは悪くないと思います。ただ、これまでフリー走行が良くても予選で『あれ?』ということがあったので今回はしっかりと予選を走りたい」とコメントした。
その予選では、チームが直前のFP3でもロングランの確認に時間を割いたため、新品タイヤと軽タン(燃料が少ない状態)で行うアタックはぶっつけ本番に。それでも山下は持ち味のスピードを発揮し、クラス3番手タイムとなる1分48秒336というタイムをマークしてみせる。セクター1に限ればLMP2カーで唯一、36秒台に突入した。
しかし、チームメイトでふたりめのアタッカーを務めたアンダース・フィヨルドバッハはアタックが決まらず。この結果、33号車オレカの平均タイムは1分49秒245となり、ハイクラス・レーシングはクラス4番手から翌日の決勝を迎えることになった。
予選後、山下は「甘かったところもあるし行き過ぎたところもある」と述べ、さらに0.1秒ほどタイムを削ることができたと語った。なお、今戦の予選では過去2ラウンドで発生した異常な振動はみられず。チームが行った対策が実を結んぶかたちとなっている。
■4時間レース中、序盤の2時間を3スティント連続走行
開幕戦シルバーストン以来、2戦ぶりの4時間レースとなった第3戦上海の決勝も山下がスタートを担当した。この際、チームは一度熱入れしたタイヤの方がタレが少ないと読んで、ライバル勢が新品タイヤを投入するなか中古タイヤをチョイス。だが、予測とは裏腹にスタートからハイペースで飛ばすライバルたちのペースはなかなか落ちてこない。
山下にとっては苦しい展開となったが、スーパーGTの新チャンピオンはグリップ力が低下したタイヤでも粘り強い走りをみせ、中古タイヤで2スティントを走破する。上位走行中の44周目に新品タイヤを履いて再びコースに出ていくと、67周目にトップと約15秒差のクラス2番手でマーク・パターソンにバトンをつないだ。スタートから2時間12分、3スティント連続の力走だった。
その後ハイクラス・レーシングは、パターソンが1スティント、フィヨルドバッハが2スティントを走ったところでフィニッシュを迎えLMP2クラス6位/総合11位でシリーズ第3戦を終えている。
チームはレース後、「予想以上に(決勝日の)路面変化が大きかった」とし、「我々も健太を最初から新品タイヤでスタートさせるべきだった」と分析。しかし、山下のペースはクラス平均3番手で、ワン・ツー・フィニッシュを飾った他のグッドイヤーユーザーの中では最速だった。
この点について「グッドイヤートップというのはうれしいです」と語った山下は、「今回もスタートを担当させてもらって、上位を争うことができたのでよかったです。予選も初めてトラブルなく走れましたし決勝も3スティント走って、いい経験ができました」と世界選手権での第3ラウンドを総括している。
山下とハイクラス・レーシングが次に迎えるレースは12月12~14日に行われるWEC第4戦バーレーン8時間レース。戦いの舞台は砂漠の中にそびえるバーレーン・インターナショナル・サーキットだ。
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