メルセデスのルイス・ハミルトンは、優勝回数と世界タイトル獲得数において、7度のタイトルを獲得したミハエル・シューマッハーをまだ超えていない。だが元F1チームオーナーであるエディー・ジョーダンの考えでは、ハミルトンはすでにシューマッハーの実績をしのいでいるのだという。
ハミルトンは先週行われたF1第19戦アメリカGPで6度目のドライバーズタイトルを獲得し、シューマッハーの持つ7度の記録に手が届く位置に到達した。さらに優勝回数でも、シューマッハーの生涯91勝という記録まであとわずか8勝に迫っている。
史上最も成功したふたりのF1ドライバー、ハミルトンとシューマッハーのデータ比較
ハミルトンは、偉大なF1ドライバーたちのなかではどこに位置づけられる存在なのだろうか。何かの統計があるわけではないが、6度目の世界タイトル獲得によって、評論家から熱烈なF1ファンに至るまで、尽きることのない議論にあらためて火がついた。
1991年当時、チームオーナーとしてシューマッハーにF1デビューという大きな機会を与えたジョーダンは、今ではそのシューマッハーと比べてもハミルトンが誰も追い付くことができない領域に到達したと考えている。
「それぞれに独自の意見があるとは思うが、私の見立てでは、彼はすでにミハエルをしのいでいる」と、ジョーダンはイギリスのラジオ局『talkSPORT』に対して語った。
「F1におけるミハエルのキャリアは私のところで始まったので、彼に対する愛情は持っている。だが同時に、多くの人が十分に把握していないであろう別の事情がある」
「私が、たとえば(ルーベンス・)バリチェロ、(エディ・)アーバイン、(ジャンカルロ・)フィジケラ、(ジャン・)アレジといったドライバーたちと関わっていたころ、ミハエル・シューマッハーやフェラーリとの契約の際に出向くと必ず条件を付けられていた。今回オースティンで我々が見たのは、仮にその条件があったら起きていなかったはずのことだ」
ジョーダンはF1におけるシューマッハーの成功について、レース中彼にポジションを譲るようたびたび指示を受けて、これに応じたチームメイトたちのおかげで達成できた部分があり、一方ハミルトンについてはほぼ独力でここまで来たと主張している。
「ルイスの契約書にも同じような条件があったとしたら、彼はオースティンで(バルテリ・)ボッタスを追い抜けていたはずだ」
「競い合うスポーツにおいては、チームの誰かが別の人間に何かを指図するような条件は付けるべきではない」
「私には、それがミハエルの成績を不完全なものにしてしまう要素に思える。チームメイトに影響を与え、あるいは支援を受けるといったことがなかったら、7度の世界チャンピオンのうち、彼は何度獲得できただろうか?」
「チームのスタッフのことだけを話しているのではない。ドライバーについて話しているのだ」
「私の考えでは、ルイスの実力はすでに別次元にある。彼はそれを独力で成し遂げた」
「彼は、自分が成し遂げたことで、彼の家族や関係者に大きな喜びをもたらした。堂々と誇っていい」
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