7ポイントという差でGT500のタイトルに王手をかけて最終戦に臨むランキングトップのWAKO'S 4CR LC500。いよいよ翌日からの走行開始に向けて、WAKO'S 4CR LC500の脇阪寿一監督に話を聞いた。3度のドライバーズチャンピオンを獲得した寿一監督だが、監督としてタイトル決定戦に臨むのは今回が初めてになる。
監督としてタイトルが決まる最終戦に臨むの心境は、選手時代とどう違うのだろう。
「さっきのチームミーティングで阿部(和也エンジニア)にも言っていたんですけど、僕はどちらかというとネガティブというか最悪の状況になることを想定して、そこからどう戦うかを考える方なんですけど、阿部はすごくポジティブに考えていて、僕は『すごいねえ』と。僕は走らないからこれくらいで済んでいるけど、もし走る立場だったらもっと不安になっていると思うという話をしていました(苦笑)」
「走るよりかはプレッシャーは少ないかもしれないけど、今は全然、プレッシャーの種類が違っていると思います。選手の時は『チャンピオン獲るぞ!』とか、自分のなかで少しでも気持ちが弱くなったらダメだと思っていましたけど、今は周りや神様とかに『獲らせて下さい』という感覚で広く周りにお願いする気持ちが心の中にありますね」と、寿一監督。
かつての名門、チームルマンの完全復活を目前にして、大きな自信もあるようだ。
「今日、家を出るときにドアを開けて閉める時に、次にこのドアに帰ってくる時はタイトルを獲っているんだなと思いながら家を出てきました。レースに行く時に家のドアを意識したのは、ニュルブルクリンク24時間以来。理由は違いますが、ニュルの時は家のドアを閉めたときに『このドアに無事に帰ってこれるのか?』という気持ちになる(苦笑)。その時以来、家のドアを閉めたときに今回のことを思いました」
「もう、準備もやることはしましたし、あとは明日走って実走行データと合わせて解析して、変に守りに入ることなく、淡々とライバルの状況と合わせて用意したプランに当てはめていくだけです。そう考えると、この7ポイント差は大きいと思いますね」と、寿一監督。
「やっぱり僕もドライバーの時、2002年、2006年、2009年とそれぞれ心境が違いましたけど、スーパーGTのタイトルというのはドライバーだけでなく、エンジニアにもメカニックにもチームにも、その後の人生においてもものすごく大きなポジティブな影響を持っています。ですので、そのチャンスがあるので、なんとか獲らせてあげたいと思っています」と、続ける。
寿一監督はドライバー時代、3度のタイトルを獲得したが、WAKO'S 4CR LC500の大嶋和也、山下健太はともにGT500のタイトルは未経験。寿一監督から見て、ふたりの様子はいかがか。
「(山下)健太はもうちょっと緊張するかなと思っていたけど、意外と今のところ普通ですね。(大嶋)和也は緊張していると思うけど、それは健太と和也は置かれている立場が違うから。若手の健太(24歳)と違って、今の時代、もうベテランと言える和也(32歳)のポジションとしては抱えているものが違う。だから和也は自分との戦いになる。でも、ここでタイトルを獲れたら気持ち的にも絶対に楽になれるから、頑張ってもらいたい」と寿一監督。
自動車メーカーにスポンサー、そしてタイヤメーカーなどなど、スーパーGTはチーム、ドライバーに関係する企業とスタッフの数が他のカテゴリーと比較にならないほど多く、その分、プレッシャーも大きい。WAKO'S 4CR LC500、そして実質一騎打ちでタイトルを争うKeePer TOM'S LC500が果たしてどんな戦いを見せるのか。ついに明日、最終戦の火蓋が切って落とされる。
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