2019スーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿。山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)の逆転を許し、ランキング2位に終わった。レース直後は村岡潔チーム代表らとともに大粒の悔し涙を流したが、それを拭い取って新王者に輝いたライバルを祝福した。
スーパーフォーミュラでは最終戦の表彰式終了後に、年間表彰式が行われる。まずはルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)がトロフィーを受け取り、次にチームタイトルを獲得したDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが登壇。最後にドライバーズチャンピオンに輝いたキャシディがポディウムの中央でチャンピオンの大トロフィーを掲げ、鈴鹿サーキットも大いに盛り上がったのだが、その直後に感動的なシーンがあった。
■お互い“素晴らしい”と思える相手……山本vsキャシディの頂上決戦再び
年間表彰式が終わった直後、この最終戦でチャンピオンを争ったキャシディ、山本、パロウの3人が再びポディウムに登場。山本とパロウが新王者となったキャシディを祝福したのだ。
これにはグランドスタンドを埋め尽くしたファンからは大きな拍手が沸き起こったと同時に、このシーンは多くのメディアでも早速取り上げられた。まさにシーズン終了の瞬間にふさわしい感動の瞬間となったわけだが、それを演出したのは今回“敗者”となった山本尚貴だった。
その時の状況をキャシディはこのように振り返った。
「あれは尚貴が最初に声をかけてくれたことだ。素晴らしいアイデアだったと思うし、改めて彼は素晴らしいなと思った瞬間だった」
一方の山本は、昨年キャシディが悔しい気持ちを堪えて自分のことを讃えてくれた姿があったからこそ、今年はそれを自分がしなければいけないと考えていたようだ。
「昨年はニックが一目散に僕の健闘を讃えてくれました。彼は間違いなく悔しかったはずだし、嫌な想いしかなかったと思います。なのに、しっかり僕に握手を求めて健闘を讃えてくれたという姿は、ものすごく尊敬すべきものでした。それを彼がしてくれたので、今度は逆に僕がしないといけない番だと思いました」
今回のレースでは7周を完了したところでミディアムタイヤでスタートした山本がピットインしソフトタイヤに交換。一方のキャシディはレース後半までソフトタイヤで走行するという戦略で、特にレース中盤はお互いに全く別々のポジションを走っていた。
しかし、ふたりとも常にお互いの位置関係を無線で聞き、まるで目の前にライバルがいるかのように0.1秒を削り合う緊迫した走りを毎ラップのように繰り広げた。
その結果、最後まで好ペースを維持したキャシディが2位となりチャンピオンに輝いたのだが、山本は昨年と同じく“彼がいてくれたから限界以上の走りができた”と語った。
「レース中、ニックとのギャップは常に無線で情報を得ていましたが、逆転が難しいということも聞いていました。そこから僕も余力が残っていないほど頑張ってプッシュしましたが、彼には届きませんでした」
「でもニックがいてくれたからこそ自分も限界を攻められたし、彼がいなければ正直もっと楽にレースを勝ててたかもしれないです。逆に彼みたいな選手がいるからこそ、自分を高められます」
「今回は自分の力不足だったし、それ以上にニックのパフォーマンスが素晴らしかったです。彼はこのチャンピオンに値する走りをしたと思うので、その栄誉を心の底から讃えたいです」
そして、昨年のチャンピオンである山本を打ち負かし、初のスーパーフォーミュラ王者に輝いたキャシディもまた、改めて山本は自分にとって尊敬できる相手であることを明かした。
「尚貴は僕の“ベストライバル”だ。僕たちは今年チームを移籍して、これまでとは違うシチュエーションでシーズンをスタートした。でも、6戦目を終えるとふたりの成績はほぼ同じだった。こうして昨年同様に最終戦でもふたりで全力を出し尽くす戦いを見せられたことは、本当に良かったと思う」
「まだ僕の来年のプランは決まっていないけど、もし来年も参戦することになれば、また尚貴とチャンピオンシップをかけたバトルがしたいし、そうなれば嬉しいなと思っている」
勝つことの“喜び”、負けることの“悔しさ”。昨年、そして今年と全く逆の立場でそれを経験した山本とキャシディ。お互いの心境を知っているからこそ、真っ先に敬意を表したいという想いが伝わったシーズンエンドでのふたりのやり取りーー。
レース後、悔し涙を流しながら取材に答えてくれた山本は最後に「こうして最後に1ポイント、2ポイントをかけて争うというのは、やっぱりこのタイトルをかけて争う緊迫感を味わっているものにしか分からない……心境というものがありました」と言葉をつまらせながら語っていたのが印象的だった……。
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