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予選、決勝を走らずにMotoGP日本GPを終えた長谷川「悔しいの一言」。チーム代表が明かす苦戦の理由

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予選、決勝を走らずにMotoGP日本GPを終えた長谷川「悔しいの一言」。チーム代表が明かす苦戦の理由

 ツインリンクもてぎで開催されているMotoGP第16戦日本GPのMoto3クラスにワイルドカード参戦する全日本ロードレース選手権J-GP3クラスのチャンピオン長谷川聖(Team Anija Club Y’s)は、初日2回のフリー走行に続き、フリー走行3回目(FP3)でも107%ルール(基準タイム)を満たせなかった。そのため予選に出走できず、決勝レースを戦うことなく日本GPを終えた。その背景を長谷川と山田修代表のコメントをもとに振り返る。

 レースウイーク初日の金曜日は、Moto3で全車共通のデロルト製ECUとノーマル状態のホンダNSF250Rを初めて組み合わせたこともあり、マシンをまともな状態に持っていくことができずにいた長谷川。この日、ベストタイムは2分5秒159で終え、総合トップのライダーから8秒417と大きく離されていた。ちなみに、長谷川は全日本ロード開幕戦もてぎの予選では2分2秒358を記録しており、日本GP初日のタイムは約3秒遅いという状況だった。

2019MotoGP日本GP 決勝日ツイート実況中

 予選日となったレースウイーク2日目は「普通に走るようにはなった」と長谷川。しかし、コンディションが初日のドライからウエットへと変化し、タイヤもダンロップのドライタイヤからウエットタイヤと、状況は大きく変わった。そのため、セッティングも振り出しに戻ってしまう。

「雨のセッティングができておらず、セッティングがまったくつかめない状態でした。それでもタイムを詰めないといけませんでした」とコメントするように、長谷川は、まず基準タイムを超えることを目指した。そんななか、長谷川はFP3の走行3周目に5コーナーで転倒を喫してしまう。

 この転倒によるダメージは少なかったようで、長谷川はピットへと戻り、マシンを修復してから再びコースへと向かった。しかし、7周目のセクター1を通過した後にトラブルが発生しマシンを止めた。この時、コースではオレンジボール旗(トラブルが発生している車両に対して出される旗)が提示されていた。

 最終的に長谷川がFP3で記録したベストタイムは2分17秒954となり、基準タイムの2分17秒372以内に入れることができなかった。「転倒してしまい、マシンを少し直してから再びコースインしました。その時にトラブルでコースサイドにマシンを止めることになってしまいました。全然タイムを残せないまま終わってしまい、基準タイムの107%に届かず、こういう形で終わってしまいました」

 Moto3クラスは2019年からレギュレーションの変更があり、予選に出場するためには3回のフリー走行の同一セッション内で最も速いライダーが記録したタイムの107%に相当するタイムを得なければならなくなった。3回のフリー走行でこれを満たせなかった長谷川は予選に出走することができず、グランプリライダーたちとレースを戦うことなく日本GPを終えることになった。

 この結果に「悔しいの一言ですが、仕方がないところもあります」と長谷川。「結果は受けとめ、全日本最終戦鈴鹿に向けて準備をしていきたいと思います。発見はいっぱいあったので、そこをしっかり今後に活かしていきたいです」と気持ちを切り替えていた。

■チーム代表が感じたワイルドカード参戦の厳しさと準備不足の理由
 J-GP3とMoto3のマシン性能差が大きすぎるのはご存知のとおりだ。レギュレーション変更もあるため一概には言えないが、あえて過去のデータと比較すると軽量級がMoto3クラスに名称が変更されて以来、日本GPのワイルドカード参戦で3回のフリー走行すべてで基準タイムを満たしていないのは今回が初めてのことだ。何故、このような厳しい結果となってしまったのか。

 山田代表が日本GPのレースウイークを振り返る。

「天気やタイヤの違いなどで苦労することは予想していましたし、ある程度は覚悟していましたが、やはり2018年に参戦した人たちと比べると準備する時間が足りなかったです」

「想定でも基準タイムをクリアできる見込みでした。普通に走れていればこんなこともなかったと思います。雨はどちらかというと得意な方なので、雨ならドライよりも詰められると思ったのですが、予想していたより雨はタイヤの違いがあり、それもあって聖は転倒してしまったと思います。損傷は少なかったので、帰ってきて修復し、再びコースへ出ていったあとに止められてしまって終わってしまいました」

 提示されたオレンジボール旗の理由については「修理して出ていったところで白煙が出たため、オレンジボールが出て止められて終わってしまいました。戻ってきたマシンは問題はありませんでした。おそらく、濡れた土がマシンについて、エンジンの熱で蒸発し、水蒸気が出た可能性があります」と明かした。

 また、長谷川のワイルドカード参戦は9月に急遽きまったため、日本GPに向けた準備期間が限りなく短かったことも要因として挙げた。

「事前のテストも出来ていなかったので、もてぎに来て初めてエンジンをかけました。テストはやろうと思えばできましたが、10月に(全日本の)オートポリス戦があったので、日本GPの準備はそのあとでした。全日本チャンピオンというのが目標だったので、そこはうまくいったのですが、オートポリス戦後は日本GPまで10日しか準備する時間がありませんでした」

「ECUに関しては、まず(配線を)繋ぐところから始まりましたし、ノーマル状態のNSFのデータはないことを聞いていたので、真っ白の状態から走っていきました。デロルトさんも我々を気にしてくれていたみたいなので、何回もガレージに来てもらって、いろいろ見てもらい対策しました」

 チームとしても予選に出走できなかったことは悔しいと山田代表。「特に白煙が悔しいですが、(ワイルドカード参戦して)知らなかったことがいろいろと分かりました。できれば日本でレースをやっている方たちに何か表現できたらよかったし、夢を与えられたらという気持ちでした。あとは、聖のプラスになればと思ってやりましたが、結果がこんなことになってしまったので、そこは本当に残念です」

 年々、厳しさを増していっていると実感した全日本ライダーの日本GPワイルドカード参戦。今後、事前準備や全日本開催日程の調整など、何かしらのサポート体制を築かなければ、日本のロードレースから世界に挑戦するライダーがさらに苦しい戦いを強いられることになってしまうのではないだろうか。

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