MotoGP日本グランプリの開幕を控えた10月16日、ツインリンクもてぎ内にあるホンダコレクションホールで『ホンダ世界選手権参戦60周年記念トークショー』が開催された。現役ホンダライダーであるレプソル・ホンダ・チームのマルク・マルケスとホルヘ・ロレンソを始め、フレディー・スペンサー、ジム・レッドマン、高橋国光といったレジェンドライダーも出席した。
まずは中庭で1965年にマン島を戦ったホンダRC146が空冷4ストローク4気筒124.9ccのサウンドを披露。その甲高さにロレンソとスペンサーは思わず耳を塞いだがマルケスは片耳、レッドマンと国光は、まったく耳を押さえずにいた。そして、スペンサーがデイトナ100マイルレースを戦ったホンダCB750Fも、そのエンジンサウンドを轟かせた。
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その後、室内に移動し、熱心なファン約120名の前でトークショーが始まる。
「4気筒125ccのサウンドは高回転ですばらしいね。フレディーのバイクよりも甲高く貴重なマシンのエンジンサウンドを聞くことができて、うれしいよ。バイク全体が細くて、すごく窮屈なポジションは、想像するだけでも大変そうだと感じた」とロレンソ。
1961年西ドイツGPで日本人初優勝を達成した国光は「ポジションは確かに窮屈かもしれませんが、本田宗一郎さんを始め、当時のメカニック、エンジニアは一生懸命作ってくれました。僕も開発陣の一員として荒川テストコースを走りましたよ」と当時を回想する。
そして前戦タイGPでチャンピオンを決めたマルケスの番になると、会場から割れんばかりの拍手で迎えられた。
「暖かい拍手で迎えてくれてありがとう。今年もタイトルを獲得できたことは、本当にすばらしい。チャンピオンを決めてから1週間半が経ったが、まだ信じられない気持ちだよ。こうしてホンダのレジェンドライダーと一緒に並べることは、本当に光栄だ。先のRC146のエンジンサウンドを聞きながら、ホンダコレクションホールでホンダの歴史を感じることができた。これからもホンダのために、たくさんタイトルを獲得して行きたいと思っているから、引き続き応援してほしい」と、6度のMotoGPチャンピオンも、まだまだ通過点と言うところか。
「私は1960年代に走っていたが、当時は公道レースがあった。家の間、お店の間を走っていたから、ひと度、何かあれば重大な事故になってしまう。現役時代は約60人もの仲間が亡くなり、当時は“30歳まで生きることができればラッキーだね”とよく話していたよ。今は、レーシングコースの安全性も上がり、すごくうれしく思っている」と御年88歳となるレッドマン。
「時代が違ってもチャンピオンになるということは簡単ではなく、とても難しいことだし、時代を超えて共通点があると思う。コースを1周することも難しいが、レースに勝つことはさらに難しい。レッドマン選手は、1日に3クラスで優勝した経験を持っている。私は、2クラスという経験があるが、それでもチャレンジングな1日だった。3クラスで勝つ心、モチベーションは特別なものがあると思う。そんなライダーたちと、こうして一緒に並べることを光栄に思うよ」とファスト・フレディー。
5人のホンダライダーの言葉は、お互いをリスペクトし、スポーツマンシップに溢れるものだった。マルケスとロレンソは、週末の健闘を誓い、拍手の中でイベントはお開きとなった。
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