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スーパーGT:2020年に向けたレイアウト変更でホンダNSX-GTの走らせ方は変わる?

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スーパーGT:2020年に向けたレイアウト変更でホンダNSX-GTの走らせ方は変わる?

 10月15日、大分県日田市のオートポリスでシェイクダウンされた2020年モデルのホンダNSX-GT。市販車同様のミッドシップレイアウトを採用していたこれまでのNSX-GTから、クラス1規定に準拠したFRへとエンジン搭載位置が変化したが、ドライバーの観点からそれはどんな変化となったのだろうか。シェイクダウンでステアリングを握った伊沢拓也と山本尚貴に聞いた。

 スーパーGTがDTMドイツ・ツーリングカー選手権とともに作り上げた規定に則り、2014年からGT500クラスでは共通モノコックやEVパーツと呼ばれる共通部品を使った車両規定が採用されてきたが、ホンダは当時の伊東孝紳社長の意向をくみ、ミッドシップレイアウトのNSXコンセプト-GTで参戦。2019年シーズンまで、ミッドシップのNSX-GTで戦ってきた。

オートポリスでクラス1規定準拠の2020年モデルのホンダNSX-GTがシェイクダウン

 そんななか、2020年から採用されるDTMとほぼ共通のクラス1規定が採用されるにあたり、ホンダは規定に準拠したFRレイアウトのマシンに変更することになった。15日に行われたシェイクダウンでは、伊沢がステアリングを握り午前中から快調に周回。午後からは伊沢、そして山本尚貴と野尻智紀もステアリングを握り、終盤小さなトラブルが出るも、「初日としてはすごく順調でしたね」と佐伯昌浩プロジェクトリーダーも語るほど好調な走行初日となった。

 伊沢も「トラブルもなく過ごせましたし、当初から予定していたメニューは初日の分は完璧にこなすことができました」と初日について笑顔で語った。

 すでにシェイクダウンを終えているニッサンGT-RニスモGT500とトヨタGRスープラは、鈴鹿でのシェイクダウン初日に2020年からそれまでのコスワース/ペクテル製からボッシュ製に変わるECUの調整に苦労したが、伊沢はその点についても「ECUに大きな違いがあるので、僕たちもその特徴を掴みたかったですし、エンジン担当の皆さんも何をしたらどう変わるのかを知りたかったのですが、予定していたとおりにすべて終えられたと思っています」と順調さを語った。実際、NSX-GTはシェイクダウン初日にも関わらず、エンジンがしっかりと回っている印象があった。

■レイアウトが変わると走り方は変わる?
 そんな新型NSX-GTをドライブした伊沢と山本のふたりに、気になる質問をぶつけた。これまでのミッドシップからFRに変わることで、ドライビングにどう変化があるのだろうか……? ということだ。特にホンダドライバーは2014年以降、GT500ではFRのマシンをドライブしていない。

 しかし伊沢からは、「感じ方は多少は違いますが、正直に言わせていただくなら、乗っていて(ミッドシップ車とFR車と)どっちに乗っているかと言われたら、たぶん分からないくらいです」と驚くべき返答がきた。

「多少違いはありますが、それよりも(2020年モデルになって)足回りが共通パーツになったり、空力が変わっているので、そういった要素からくる変化が大きいですね。たとえば新しいNSX-GTに、今年使っているクルマの足回りや空力を付けたら、たぶん同じような動きになるのではないでしょうか」

 その理由は、現在のGT500マシンで採用されている2リッター直4直噴ターボエンジンにあるようだ。たしかにニッサン、レクサスの現行車両のエンジンルームを前から見ても、エンジンがどこにあるのか一見分からないほど小さく、低く搭載されている。現代のレーシングエンジンの技術に感嘆するほどだ。

「レイアウトが変わっても、重量配分が多少変わるような変化しかないと思っています。もともとFR用に設計されたモノコックですし、これがたとえばV8エンジンを積んでいたら違うかもしれませんが、エンジンが驚くほど小さいものですからね」

 一方、山本からは「ものは違うので違和感はありますが、すぐに慣れることができましたし、乗りやすいです。とはいえ、まだシェイクダウンしたばかりですし、セットアップという段階ではないので、これから突き詰めたら必要なドライビングのしかたが出てくるかもしれません」というコメントが聞かれた。

「ただ、パッと乗ってガラッと変えなければいけないものではありません。むしろ今までネガティブだった部分が良くなっています。当然これから悩みは出てくるかもしれませんが、ライバルと同じ土俵に立つことができましたし、ドライバーとしてはやり甲斐を感じます」

 この伊沢と山本のコメントについては、佐伯プロジェクトリーダーも「これまでミッドシップで戦っていたと言っても、結局エンジンが後ろにありましたが、キャビンが前に出ていたので、前後の重量配分はそれほど大きな差があるわけではないです。ボディ外板は基本的に変わらないですしね」という。

 市販車ならば、ミッドシップとFRでサーキットを走ればフィーリングはやはり変わるはずだが、変化がそれほどないというのはレーシングカーならではのエピソードかもしれない。当然、今後ホンダNSX-GTにはFRにすることで駆動面でさまざまな作業が出てくるかもしれないが、ドライビングの面では、各ドライバーともすんなりと戦えるのかもしれない。

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