NTTがタイトルスポンサーについた2019年のインディーカー・シリーズは、最終戦の舞台を同じカリフォルニア州サンフランシスコエリアでソノマ・レースウェイからウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカに変更した。
コークスクリューという名物コーナーを持つモントレーのサーキットでインディカーのレースが開催されるのは2004年以来となった。
【順位結果】インディカー・シリーズ第17戦ラグナセカ決勝レース
予選ではルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)がポールポジションを獲得した。キャリア3回目、2戦連続のPPだ。
ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は予選4番手。彼を追うランキング2位のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は予選3番手。ロッシと1点差のランキング3位シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は予選6番手だった。
カリフォルニアらしい素晴らしい快晴下で行われた決勝では、スタートでイニシアチブを握ったハータが、それを最後まで手放すことなく走り切った。シーズンの最終戦で、彼は開幕前のテストから見せ続けて来た驚異的なスピードを保ち切り、圧勝を飾った。
6度目のチャンピオンとなる可能性ほぼゼロで最終戦に臨み、フロントロースタートの予選2番手となったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、ピット・ストップを1回挟んでもハータの前に出ることができなかった。
ディクソンに代わり、レース中盤はパジェノーが2番手を走行。彼もまたハータ攻略は果たせなかった。そして最後はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。予選7番手だった彼は、最後のピットストップを1周遅らせながら、そのラップをハード・プッシュして、2番手に復活していたディクソンの前にピットアウト。そこからハータとの差をジリジリ縮めていった。
3人の元チャンピオンが変わる変わるアタックするのだから、ルーキーにとっては大きな試練だ。しかし、ハータは自信に溢れた走りを続け、ピットクルーたちもミスなく彼をコースに送り返し続けた。
ゴールまで10周を切ってからパワーがアタックのレベルを引き上げても、ハータはノーズをねじ込ませる隙すら与えず、チャージを跳ね除け続けた。それは19歳のルーキーとは思えない走りだった。
結局、ハータは90周のうちの83周をリードしてキャリア2勝目をマーク。シリーズランキングをレース前の13番手から7位まで上げた。
「タイヤにダメージを与えずに走れるマシンになっていた。それが今日は重要だった。先々週のポートランドでも僕らは速かったが、レースではタイヤを摩耗させてしまった。今日の僕らはディクソンやパジェノーよりタイヤをうまく使えていた」
「最後にアタックしてきたパワーだけは違っていたが、彼を抑え切り、最後には突き放すこともできた。勝つに足る力が今日の僕らには備わっていた。来年が今から本当に楽しみだ」
「1カ月ほど休んだら、今年の自分に何が足りていなかったかなど、来年目指す改善点などについて考えたい」とハータは語った。
シーズン2勝目をルーキーイヤーに飾ったハータだが、ルーキー・オブ・ザ・イヤーは取り逃がした。フェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)が、今日のレースで5位フィニッシュし、栄冠を手にした。
ハータの優勝は、大逆転でのルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得に繋がるかとも見えていたが、予選14番手からローゼンクヴィストが5位まで猛チャージ。ルーキーでトップのランキング6位でシーズンを終えた。トップを守り切ったハータも見事だったが、チャンピオン争いをするニューガーデン、ロッシを抜いたローゼンクビストの走りもまたエキサイティングだった。
ダブルポイントの最終戦で、彼は今シーズン6回目となるトップ5フィニッシュを達成。若さに似合わぬ安定感が彼の魅力だ。スウェーデン出身の27歳は今シーズン、ミド・オハイオとポートランドで2位フィニッシュ。あと一歩で優勝はならなかったが、来シーズンはさらにレベルアップした戦いを見せることになるだろう。
ハータについては、今週末に来シーズンの参戦体制変更が発表されている。アンドレッティ・オートスポートの一員として走ることになったのだ。ハーディング・スタインブレナー・レーシングがアンドレッティ・オートスポートに吸収されるのである。
ロッシ、ライアン・ハンター-レイ、ザック・ビーチ、マルコ・アンドレッティと経験豊富なドライバーたちをチームメイトに持つ強力な体制だ。
ハータには一気にチャンピオン争いへと加わっていくことが期待され、ローゼンクヴィストも強豪チップ・ガナッシ・レーシングからの参戦で、同じくトップコンテンダーになることと期待されている。彼らは今後、長くライバルとして戦っていくことになるようだ。
■優勝よりも王者を狙うレース
予選6番手だったパジェノーが4位でフィニッシュ。彼はロッシを逆転し、シーズンランキング2位となった。2019年はニューガーデン、パジェノーとチーム・ペンスキー、そしてシボレーのドライバーたちが1-2を達成したのだ。
ポイントリーダーとして最終戦を迎えたニューガーデンは、「目指すのはタイトルのみ」と優勝争いとは関係ない戦いを貫く作戦に出た。
隣りのグリッドからスタートしたタイトル争いのライバル、ロッシの姿が常に見えるポジションを走ることにしたのだ。4位フィニッシュすればライバルのたちのフィニッシュポジションに関係なくチャンピオンという状況下で、予選4番手を手に入れながら、ロッシだけをマークする作戦。これは失敗したかに見えた。パジェノーが優勝の可能性を掴みかけたからだ。
しかし、終盤にパジェノーが失速。ニューガーデンは8位でのゴールでチャンピオンになった。ロッシはとうとう優勝争いに絡んでいけず、パジェノーは4位でフィニッシュ。ニューガーデンはチームメイトに25点の差をつけて自身2度目のシリーズタイトルを獲得した。
「自分でもこんな感情が込み上げてくるとは思いもよらなかった」とニューガーデンは表彰台で涙を浮かべた。
「ポートランドのレースを2週間前に終えた後、ポイント争いの状況、チャンピオンになるために必要な条件などを考えた結果、その難しさを改めて強く実感した。それ以来、僕はずっと大きなプレッシャーに苛まれ続けていた」
「だから今日、こうしてシーズンが終了してホッとしている。自分がチャンピオンになることができ、とても嬉しい」と彼は笑った。
「レースで何度も勝つことができても、シリーズチャンピオンになれないケースは考えられる。チャンピオンになるのは本当に大変なんだ。そのチャンスが巡って来たら、確実に手にしなければいけない。それは2度と訪れないかもしれないんだからね」
「僕かパジェノー、チーム・ペンスキーのドライバーがチャンピオンになるという目標を設定してレースに臨み、結果的に自分がチャンピオンになれたことを喜びたい。2度目のタイトルは、1度目よりも喜びが大きい。そんな風に感ずるとは考えてもいなかったし、それがなぜなのかも自分にはわからない。ただ、今日の方がタイトルの重みを僕は強く感じた。それは間違いない」とも2019年チャンピオンは語った。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は予選16番手からトップ10入り目前までいったが、レース終盤のリスタートでルーキーのサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)に激突され、21位となった。
ラグナセカ入りした琢磨のポイントランキングは6イだったが、ダブルポイントの最終戦で20番手以下となった結果、5位フィニッシュのローゼンクヴィスト、優勝のハータ、10位フィニッシュしたハンター-レイに抜かれ、琢磨の年間ランキングは9位となった。
2017年の8位が琢磨の自己ベストランキング。その更新は確実とも見えていただけに残念なレースとなった。
「2ストップで行く作戦でハードタイヤでのスタートとしました。しかし、走り出してみると、それが難しいとわかったので、早めのピットストップに作戦変更しました。変則的な3ストップで戦うことにしたのです」
「そこからは良いペースで走れており、グレハム・レイホールの真後ろの11番手まで上がりました。あの時点で私は彼よりペースが良かったので、トップ10でのゴールができると考えていました」
「しかし、リスタートで時速30マイル以上のオーバースピードでサンティーノ・フェルッチがぶつかってきました。その接触でのダメージは空力的なものだけで、決定的に大きなものではなかったのですが、さらにレースが進む中でマテウス・レイストとザック・ビーチと3台がほとんど並んでコークスクリューに飛び込むシーンがあり、そこで小さく接触したんです」
「それで右フロント・サスペンションを傷めてしまったようで、ストレートでマシンが真っ直ぐに走らなくなったので、ピットインして確認してもらいました。最終戦だし、ダブルポイントのレースで、終盤に何が起こるかわからないから、とゴールまで走り続けましたが、結局21番手のままでレースは終了」
「本当に残念なレースになりました。21位となってランキングも大きく落とすことになりました。しかし、今年は2回優勝ができたし、2回のPP獲得、優勝以外にも2度の表彰台と良いシーズンになっていたと思います」
「来年もっと良い戦いができるよう、オフの間に色々な準備を進めたいですね。風防などが装着されて新しくなるマシンでのシーズンになるので、2013年のように何かを早い段階で見つけて戦えるようにしたい。今シーズンも多くの方々、そしてファンの皆さんに応援を頂き、ありがとうございました」と琢磨は語った。
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