昨年の夏に資金難に陥り、管財人の管理下に入ったフォースインディアF1チーム。結局チームの資産等はカナダ人の大富豪、ローレンス・ストロールが率いるコンソーシアムに売却され、現在はレーシングポイントと名を変えてF1に参戦している。
しかし、ストロールだけがフォースインディアの買収に名乗りを上げたわけではなかった。ドミトリー・マゼピンが率いるロシアの化学系企業ウラルカリもこの買収に手を上げたうちのひとつだったのだ、しかしチームの管財人を務めていたFRPアドバイザリーLLPは、ストロールのコンソーシアムを売却先に決定した
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このドミトリー・マゼピンは、現在FIA F2に参戦中のニキータ・マゼピンの父親である。そのニキータは、2016年から2018年までフォースインディアのテストドライバーを務めていたが、今季からはその役割を外れている。
ウラルカリは、ストロール側よりも高い金額でチームを買収しようと計画していたと今でも主張している。しかし結局チームはストロールの手に渡り、さらにチームのオペレーションを円滑に進めるため、資産は引き継ぐものの申請上は新チーム”レーシングポイント・フォースインディア”として昨年後半からF1参戦を果たし、今季からは完全に”レーシングポイント”となった。
これに納得のいかないウラルカリは、昨年の9月にFRPのジェフ・ローリーとジェイソン・ベイカーを相手取って裁判を起こした。そしてその裁判のタイミングが、2020年の後半になることが決定した。
これを受けたウラルカリは、声明の中で次のように語った。
「この審問中、裁判所は今回のマネジメントに関する問題を検討し、そして裁判に至るまでのスケジュールを決定した。そして審理は、2020年の10月から12月の間に開催される予定となった」
「この裁判までの間に、当事者は特定の文書、そして入札のプロセスに関するその他の文書の開示を求められ、そして2020年の4月に証拠を提出することになる」
「2018年の12月上旬には、アメリカのふたつの地方裁判所が、アメリカに居住するレーシングポイントのコンソーシアムのメンバーに対し、文書と証言を提供するよう命令を出すことを決めている。これはロンドンの高等裁判所に対する、ウラルカリの主張を支持することになるかもしれない」
FRPアドバイザリーはフォースインディアの整理について、間違ったことは何もしていないと断言し続けている。彼らはmotorsport.comに対して、次のように語った。
「我々は今回のプロセスを通じて、管財人としての法的な義務を果たした。そして最終的に、全ての利害関係者にとって成功とも言える結果を成し遂げた。そのため我々は、この根拠のない法的措置が却下されることを確信している」
ウラルカリは今回のF1チーム(現レーシングポイント)の所有権の変更に伴い、3つの懸念事項があると指摘している。
1. ウラルカリからの最高入札額を、管財人が受け入れなかったこと。
2. 管財人が実行したプロセスにおける虚偽表示および透明性の欠如。
3. 債権者、株主、およびその他の利害関係者にとって最高額での販売価格を達成できなかった、欠陥の伴う売却プロセス。
「同社(フォースインディア)の事業、資産、および営業権を買収するため、惜しみのない条件を提示した。これには、他の入札の条件によって異なる1億150万ポンド(約136億6000万円)から1億2200万ポンド(164億2000万円)の現金対価も含まれていた」
「ウラルカリからのオファーは、入札された中で最高の条件だったと我々は信じている。しかし管財人は、低い条件で入札した人々との独占契約を結ぶことを選択し、その後ウラルカリまたは他の入札者が再度関与することを拒否した」
「入札プロセスに対する懸念が存在するため、ウラルカリはこの訴訟を起こし、多大な損害賠償を求めるしかない。そのためウラルカリは、ロンドンの高等裁判所において、管財人に対する請求を追求していくつもりだ」
ウラルカリ曰く、もし同社の入札が通っていたならば、フォースインディアの元オーナー、ビジェイ・マリヤの資産を主張していたインドの銀行などといった、利害関係者に対して支払いを行うための、より多くの資金を利用できた可能性があるとも主張している。
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