TOYOTA GAZOO Racingのテクニカルディレクターであるパスカル・バルテリが、ゴールまで残り1時間を切った段階でパンクに見舞われた7号車のタイヤ全てを交換しなかった理由を語った。
2019年のル・マン24時間レース。その大半をリードしたのは7号車トヨタTS050Hybridだった。しかしゴールまで残り1時間を切った段階で、パンクに見舞われてしまったことでピットインし、タイヤを交換することになった。ただこの時にはセンサーにもトラブルが生じていたため、本来ならば右リヤタイヤを交換すべきところ、右フロントタイヤを交換してコースに送り出した。そして翌周再びピットインせざるを得ず、大きくタイムロス。僚友の8号車に、勝利を手渡すこととなってしまった。
8号車のフェルナンド・アロンソ、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴は、2018年に続き、ル・マン24時間レース連覇を果たすことになった。
パンクのためピットストップした7号車のタイヤは、1本のみしか交換されなかった。なぜ4輪全てを交換しなかったのかと尋ねられた、トヨタのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、次のようにその理由を説明した。
「そういう選択肢も確かにあった。しかし、交換することを決断した場合、4スティントを走ったタイヤを再び履かせる必要があった。安全に走り切ることを目指す時、それは理想的ではない」
バセロンはそう説明する。
「それが1本だけを交換し、4本全てを交換しなかった理由だ。タイヤに熱が入る前にパンクする可能性が高かった。リスク管理が全てだ」
「今回の場合は、4本全てを交換する方がはるかに良かっただろう。しかし、それは通常行うことではない。最終スティントに、すでに4スティントを走ったタイヤを履かせたくなかった」
バセロンは次のように付け加えた。
「7号車のドライバーたちは、起きたことを受け入れなければならない。たとえそれが、彼らやチームにとって、とてもとても苛だたしいことであったとしてもだ。なぜなら、レースが終わる1時間前に整っていたランキングに、みんなとても満足していたからだ」
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