現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > JSB1000マシンフォーカス:2年目で真価を見せるホンダワークスCBR。「戦闘力は間違いなく上がっている」

ここから本文です

JSB1000マシンフォーカス:2年目で真価を見せるホンダワークスCBR。「戦闘力は間違いなく上がっている」

掲載 更新
JSB1000マシンフォーカス:2年目で真価を見せるホンダワークスCBR。「戦闘力は間違いなく上がっている」

 ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内4メーカーがしのぎを削り合っている全日本ロードレース選手権JSB1000クラス。そんなJSB1000の車両をピックアップし、ライダーや関係者にマシンの強みや魅力を聞いていく。今回は、ファクトリー(ワークス)体制を復活させて2年目を迎えるTeam HRCのホンダCBR1000RR SP2にフォーカスする。

ーーーーーーーーーー

桜井ホンダが鈴鹿8耐参戦体制を発表。レジェンドライダー伊藤真一が24回目の8耐に挑む

 圧巻の速さだった。全日本ロードレース選手権の第2戦鈴鹿予選で、Team HRCの高橋巧+ホンダCBR1000RR SP2は2分3秒874をマーク。2番手の中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)を1秒も引き離し、コースレコードを樹立した。

 その前戦、開幕戦のもてぎでも自己ベストタイムを1秒更新。「やっと中須賀さんと同じ土俵に立てた」と語っていた高橋だが、鈴鹿では決勝2レースとも優勝を果たしている。

 ホンダのワークス体制での参戦は2年目。CBR1000RR SP2は高橋の要望通りに仕上がりつつある。

「ヤマハはコーナリングスピードが速く、ホンダはストレートが速いというのが去年までの図式でした。今年のホンダは、ストレートがさらに速くなったうえに、コーナー出口での開けやすさも高めてもらっていて、コーナリングスピードも上がった。ライバルの強みに近付けたかな、という感覚はあります」と高橋。全体的なバランスが取れていることに満足している。

 宇川徹監督は、2019年型CBRの開発主眼として「フロントの接地感を高めた」(ヘンタイブログより)とコメント。

「HRCとオーリンズが共同開発するフロントフォークは減衰力の仕様を変更し、リヤサスペンションは構造そのものを変更。さらにスイングアームも2018年最終戦で投入したビッグチェンジ仕様をベースとしている」と語った。

「戦闘力は間違いなく上がっています」と自信を覗かせるのは、HRCの開発者、森雄司だ。宇川監督のコメントに「重心の見直しも行いました」と付け加える。バイクは非常に繊細な乗り物で、重心の変更はハンドリングに大きな影響を及ぼすおおごとだ。

 JSB1000はレギュレーションによりエンジン搭載位置を変更することができない。恐らくは補機類などの位置を調整したものと思われるが、詳細について森は「最適化した、ということですね」と明らかにしなかった。高橋のコメントに基づきながらミリ単位での調整が行われたことは間違いないだろう。

■ひとつの強みに頼らない優れたトータルバランス
 さらに電子制御、トラクションコントロールも進化している。高橋はコーナー出口で、ライバルよりも早く大きくスロットルを開けて走っていた。

「ただ早く開けても意味はありません。それが加速に結びつかなければ」と高橋。その言葉通り、CBRは安定した姿勢を保ったまま、ダイレクトな加速を見せる。

「電子制御がレースで勝敗を分けるのは確か。セッティングの煮詰めが少し足りないだけでも負けてしまいます」と高橋。つまり、少なくとも中須賀に完勝した鈴鹿では十分に戦闘力のあるセットアップが得られていた、ということだ。

 CBR1000RR SP2について話を聞いていて気付くのは、“何かひとつに頼っていない”ということだ。前後サスの変更や電子制御の煮詰めなどをしつつ、それらすべての精度を丹念に高め、トータルバランスを向上させることに力を注いでいる印象だ。

 高橋が走らせるCBRは、量産車ではSC77型とされ、2017年にデビューしている。量産スーパースポーツの電子制御化に慎重だったホンダが、ついにトラクションコントロールを始めとする制御をふんだんに盛り込んだモデルだ。

 このSC77型のデビューイヤーに、高橋はJSB1000クラスでチャンピオンの座に就いた。見かけ上は“鮮やかな新型デビュー”となったわけだが、実のところは最大のライバルである中須賀が16.5インチタイヤから17インチタイヤへのスイッチに苦戦したことが要因だった。2018年にホンダはワークス体制を復活させたものの、中須賀に王座を奪取され、実力の差を見せつけられた。

 しかしその間、ホンダはじわじわと車体、そしてエンジンまわりのセットアップを進めてきたのだ。

「2018年の最終戦鈴鹿で、自分としては劇的な変化がありました。今年はそのいい流れのまま走れています」と高橋。“劇的”とは言うものの、話を聞く限りではその内訳に飛び道具は見当たらず、実直な積み重ねに他ならないだろう。

 そしてホンダは、かねてから「全日本は、鈴鹿8耐に向けての1年間をかけてのテスト」と公言してはばからない。JSB1000のCBR1000RR SP2にも、耐久仕様と言っていい箇所が数多く発見できる。主ターゲットはあくまでも国内最大の2輪レース、鈴鹿8耐なのだ。その鈴鹿でヤマハの中須賀を圧倒したことは、鈴鹿8耐に向けてかなり順調に準備が進んだ状態と言える。

 鈴鹿の2レースを制した後の高橋は、「これで天狗にならず、今後も気を引き締めていい流れを持続したい」とコメントした。ヤマハの鈴鹿8耐5連覇を阻止し、表彰台の頂点を奪い取った時、初めて心からの笑顔を浮かべるのだろう。

こんな記事も読まれています

円安34年ぶり水準、トヨタは3000億円の増益要因、ガソリン補助金は5月以降も継続へ[新聞ウォッチ]
円安34年ぶり水準、トヨタは3000億円の増益要因、ガソリン補助金は5月以降も継続へ[新聞ウォッチ]
レスポンス
本土から離れた「離島」 クルマは所有できる? 車検や整備はどうしてる!? 海に囲まれた「島」ならではの事情とは
本土から離れた「離島」 クルマは所有できる? 車検や整備はどうしてる!? 海に囲まれた「島」ならではの事情とは
くるまのニュース
ヘルメットも楽々入っちゃう!シート下容量が大きいスクーターベスト5(国内)
ヘルメットも楽々入っちゃう!シート下容量が大きいスクーターベスト5(国内)
バイクのニュース
世界のxEV用インフラ市場、急成長へ 矢野経済が予測
世界のxEV用インフラ市場、急成長へ 矢野経済が予測
レスポンス
フェルスタッペンはハミルトン後任の“第一候補”……メルセデス代表「彼がどうするか次第」
フェルスタッペンはハミルトン後任の“第一候補”……メルセデス代表「彼がどうするか次第」
motorsport.com 日本版
日本人女性初のスーパーフォーミュラドライバー、Jujuこと野田樹潤選手がDHLフォーミュラEアンバサダーに就任
日本人女性初のスーパーフォーミュラドライバー、Jujuこと野田樹潤選手がDHLフォーミュラEアンバサダーに就任
レスポンス
845万円のトヨタ「超すごいヤリス」発売! 斬新デザインの反響は? 各100台限定の進化した“GRヤリス”展示も
845万円のトヨタ「超すごいヤリス」発売! 斬新デザインの反響は? 各100台限定の進化した“GRヤリス”展示も
くるまのニュース
美しいフレームラインで構成された電アシ「ZORO.」 CYCLE MODE TOKYO 2024/名古屋MCSに出展
美しいフレームラインで構成された電アシ「ZORO.」 CYCLE MODE TOKYO 2024/名古屋MCSに出展
バイクのニュース
【MotoGP】ヤマハで適応道半ばのアレックス・リンス、クアルタラロとは「なにか違うこと」が必要と実感
【MotoGP】ヤマハで適応道半ばのアレックス・リンス、クアルタラロとは「なにか違うこと」が必要と実感
motorsport.com 日本版
メルセデスAMG『G63』に改良新型、585馬力ツインターボを電動化
メルセデスAMG『G63』に改良新型、585馬力ツインターボを電動化
レスポンス
ENEOSなど3社、EVのバッテリー交換ステーションを京都に開設 最短5分で交換
ENEOSなど3社、EVのバッテリー交換ステーションを京都に開設 最短5分で交換
日刊自動車新聞
ルノーはベストセラーモデルに新風を吹き込む 新型「クリオ」の全情報とドライビングインプレッション!
ルノーはベストセラーモデルに新風を吹き込む 新型「クリオ」の全情報とドライビングインプレッション!
AutoBild Japan
伊豆縦貫道「最南端区間」開通で「25分短縮」も!? 全通まで大詰め 河津~下田の「危険な山道」解消から1年「驚きの効果」とは
伊豆縦貫道「最南端区間」開通で「25分短縮」も!? 全通まで大詰め 河津~下田の「危険な山道」解消から1年「驚きの効果」とは
くるまのニュース
フォルクスワーゲン・グループ 自動運転、自律走行分野でモービルアイとの協力関係強化により、高レベルな機能へ加速
フォルクスワーゲン・グループ 自動運転、自律走行分野でモービルアイとの協力関係強化により、高レベルな機能へ加速
Auto Prove
2月の新車販売ランキングで軽はN-BOXだが登録車はカローラシリーズが1位! まだまだ「潜在顧客」の多いカローラが2024年は勢いを増す予感
2月の新車販売ランキングで軽はN-BOXだが登録車はカローラシリーズが1位! まだまだ「潜在顧客」の多いカローラが2024年は勢いを増す予感
WEB CARTOP
トヨタ新型「ランクル“ミニ”」はどんなモデルに!? コンパクト×カクカクの「本格SUV」登場へ! 待望の「新ランクルシリーズ」とは
トヨタ新型「ランクル“ミニ”」はどんなモデルに!? コンパクト×カクカクの「本格SUV」登場へ! 待望の「新ランクルシリーズ」とは
くるまのニュース
ヤマハ「NIKEN GT」 2024年4月21日をもって受注を終了
ヤマハ「NIKEN GT」 2024年4月21日をもって受注を終了
バイクのニュース
ドライブ中の突然の曇り問題にサヨナラ! DIYでウインドウ曇り防止 ~Weeklyメンテナンス~
ドライブ中の突然の曇り問題にサヨナラ! DIYでウインドウ曇り防止 ~Weeklyメンテナンス~
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村