第2回バルセロナテストを終えて、徐々に新車の実力が明らかになってきた。今回はF1開幕戦オーストラリアGPに向け各チームの実力を数値化して分析。連載第1回はレッドブル・ホンダだ。
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スペイン・バルセロナで行われた1回目と2回目のプレシーズンテストで、これだけ大きく明暗が分かれたチームはいない。
【F1プレシーズンテスト総合リザルト】フェラーリとメルセデスがそれぞれ強みを発揮。レッドブル・ホンダは真の実力を見せずに開幕戦へ
1回目のテストを終えた段階でのレッドブル・ホンダの雰囲気は、非常にポジティブだった。ベストタイムこそ、4日間の総合でピエール・ガスリーが15番手、マックス・フェルスタッペンが16番手と21人中、下位に沈んだように見えるが、これはレッドブル・ホンダがC3(旧ソフトタイヤ)で刻んだタイムで、上位のドライバーの多く最も軟らかいC5を履いていたためだ。ロングランも安定し、ホンダのパワーユニットもトラブルフリーで、順調にプログラムをこなしていた。
2回目のテストでも初日までは好調さをキープしていた。この日、ステアリングを握ったガスリーのベストタイムは1分17秒715で2番手だったが、これはC3を履いたタイム。1000分の6秒速かったトップタイムのランド・ノリス(マクラーレン)は1ポジション軟らかいC4(旧ウルトラソフト)を履いてマークしたタイムだったので、事実上のトップはガスリーだった。しかも、同じC3タイムを履いていたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)をコンマ2秒抑えていた。
「フェラーリと優勝を争って戦える」という自信が芽生えたとしても不思議はない。
流れが変わったのは、2回目のテストの2日目だった。この日ステアリングを握ったのはフェルスタッペンで、午後にレースシミュレーションを行なっていた。ところが、その3分の2のところでフェルスタッペンがコースオフ。ギヤボックスにダメージを負っていないかを確認するためにピットインしたフェルスタッペンは、それからしばらくコースに復帰できず、レースシミュレーションはここで中断となった。
悪い流れは翌日も続いた。3日目を担当したガスリーが午後のレースシミュレーション中にクラッシュしたのだ。マシンは大破し、レースシミュレーションは3分の1で中断となっただけでなく、この日のテスト自体も終了となった。
メカニックの懸命な修復作業によって、最終日を担当するフェルスタッペンは、レッドブルRB15に乗ってコースに復帰することができたが、フェルスタッペンは走行を午前中に切り上げなければならなかった。最新のギヤボックスのスペアパーツが十分ではなく、前日のクラッシュから100%修復しきれていなかったためだった。
■不安が残るなか開幕戦オーストラリアGPに臨むレッドブル・ホンダ
つまり、レッドブル・ホンダはレースシミュレーションを完了しないまま、開幕戦オーストラリアを迎えることとなった。フェラーリはふたりがそれぞれ1回ずつ、マシンパッケージを大幅に変更したメルセデスですら、バルテリ・ボッタスがレースシミュレーションを済ませていたことを考えると、優勝争いをするトップチームとしてはシーズン開幕に向けて、準備不足の感は否めない。
ネガティブな要素としては、1回目のテストから問題となっているフロアの剛性が、アップデートしたフロアを持ち込んだ2回目のテストで耐久性を確認できなかったこと。さらに2回目のテストになって、フェラーリとメルセデスが大幅にタイムを向上させてきたのに対して、そのペースについていけなかったこと。そして、8日間のテストで使用したタイヤがほとんどC3だったことだ。開幕戦のオーストラリアGPで予選タイヤとなるC4は1度も履いていないため、メルボルンがぶっつけ本番となる。
ポジティブな要素は、ベストタイムで11番手に終わったが、これはガスリーのタイムで、フェルスタッペンは一度もC5タイヤでアタックしていないこと。ガスリーが2回目の初日にC3で記録した1分17秒715のベストタイムから算出すると、1分16秒5は出せるはず。しかも、ガスリーの1分17秒715は1発のタイムではないことを考えると、1分16秒2~3のポテンシャルはあるだろう。
それでも、フェラーリとメルセデスにはまだ届かない。空力パーツをアップデートしたいところだが、2回目の走行データが少なく、方向性を定めるのも難しい。ここは焦らず、元々マシンに向いていないオーストラリアGPはテストの延長と割り切り、2戦目のバーレーンGPを開幕戦として仕切り直すよう計画を変更したほうがいいのではないか。
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■レッドブル・ホンダのチーム戦力:100点満点中85点
■テストでの最速タイム
7番手/10チーム中 1分17秒091(ピエール・ガスリー/C5タイヤ(旧ハイパーソフト)/2月28日午前中)
■予想される本来のチーム実力
3番手/10チーム中 1分16秒200(※トップとの差は0.7秒)
※トップチームがアタックした場合、1分15秒500のタイムが出ると仮定
全チーム戦力分析(2)に続く
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