イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーのMotoGPコラム。MotoGPオフィシャルテストで見えた各メーカーの動きをオクスリーが分析する。
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MotoGP:“不仲”コンビ解消で打倒ホンダへ。ドゥカティ代表、ライダーふたりには「より緊密に仕事を」
スズキは上位に上がろうとしている。MotoGPのなかでも最小規模の日本チームであるスズキは、2018年シーズンに4戦連続で表彰台を獲得した。それは四半世紀前の、1994年のケビン・シュワンツの時以来、初めてのことだ。
スズキはV4エンジンを搭載するスズキGSV-Rで戦った2011年末で活動を一時休止し、その後の3シーズンは参戦を見送った。2015年から直列4気筒エンジンを搭載するGSX-RRでレースに復帰し、すぐに他のMotoGPバイクができないことをやってのけた。
2015年シーズンの間、スズキのライダーを務めたアレイシ・エスパルガロは、GSX-RRが「250ccのように走る」と語ったが、それはどのようなバイクに対しても究極の賛辞だ。
マーベリック・ビニャーレスは2016年の第12戦イギリスGPで、スズキ復帰後の初勝利を飾った。この勝利により、スズキがタイトル争いに近づいていることが示された。だが、スズキは2017年には後退する。エンジニアがクランクシャフトの慣性を大きくしたことで、バイクのコーナー進入が難しくなったのだ。
2018年にスズキはすべてのことを適切に行った。アレックス・リンスとアンドレア・イアンノーネは18レース中9回表彰台を獲得し、リンスは第18戦マレーシアGPでマルク・マルケスから2秒未満の遅れで2位につけた。リンスが2019年のタイトルを争うことができると、マルケスが考えるのは不思議ではない。
2018年11月のオフシーズンテスト中、リンスは、2019年はよりトップに近づけると考えている。新エンジンの感触は特に高速ギヤでの走行でより強力だったからだ。
2019年、スズキの焦点はシャシーパフォーマンスの微調整になるだろうが、それはすでに印象深いものになっている。現在はアプリリア所属のエスパルガロは、GSX-RRが「ブレーキのリリース時は信じられないほど素晴らしい、クレイジーなほどだ」と語る。
GSX-RRはブレーキング中でさえハンドリングしやすいようだ。2年前、スズキはアルミとカーボンファイバーの複合材フレームに取り組み始めた。このフレームは2018年シーズンの半ばでMotoGPレースに初めて登場した。リンスとイアンノーネはこれらのフレームをオーストリア以降使用していた。
「カーボンファイバーだと、ジオメトリーと剛性を正確に調整することが簡単だ。フレームを溶接によって適応させることができる。だがこれは寸法などには悪影響が出る」とスズキのMotoGPテクニカルマネージャーの河内健は説明する。
しかしながら、リンスと新チームメイトのジョアン・ミルは、2019年シーズンをすべてアルミ製のフレームで始めることになるかもしれない。なぜなら河内は、(今のところは)理想的なジオメトリーと剛性が固まったため、複合材フレームの必要性が低くなったと見ているからだ。
■2019年型GSX-RRの仕上がりは上々も懸念はデータ収集
リンスは、素早くコーナリングができ、より早く加速できるシャシーをとても気に入っている。馬力における少々のハンディキャップを埋め合わせるには良いやり方だ。
「僕たちのアドバンテージはコーナリングとコーナースピード、それに加速時の優れたトラクションと、低い回転数からの素晴らしい加速だ」とリンスは語る。
「優れたトラクションは常に重要だ。特にレース距離を走るときはね。なぜならトラクションがあれば、タイヤ寿命がもつし、ホイールスピンもそれほど起こらない。だからタイヤを傷めないですむ」
また、スズキはブレーキングの安定性を改善するために多くの時間を費やしている。
「これはとても重要なことだ。今ではコーナーへ進入するときは完全にバイクをストップさせる必要があるからね」とリンスは付け加えた。
「でも僕たちはバイク全体を改善しようとしている。上位でレースをするためには完全なバイクが必要だからだ」
スズキにはまだ対処していないハンディキャップがひとつある。データ収集だ。スズキはたったふたりのライダーでレースを行う。データがこれまで以上に貴重となっているときに、ホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、KTMと比べ半分のデータしか得ることができない。
シュワンツでさえ、グリッド上に他にスズキのライダーがひとりしかいないことで、ホンダ勢とヤマハ勢を倒すチャンスが損なわれたと不満を述べていた。もしスズキが本当にMotoGPタイトルを獲りたいのなら、彼らは検討を重ねて、サテライトチームにバイクを与えるべきだ。マークVDSの離脱によって空く枠を利用できるだろう。
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