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MotoGPコラム:今年の新人は粒揃い? “超青田買い”バニャイヤが見せた実力

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MotoGPコラム:今年の新人は粒揃い? “超青田買い”バニャイヤが見せた実力

「速いライダーは最初から速い」

 昔からよく言われることだが、それを体現しているのが2019年のMotoGPルーキー、“ペコ”ことフランチェスコ・バニャイア(Alma Pramac Racing/Ducati)だ。バレンティーノ・ロッシが主宰する人材育成プログラム〈VR46アカデミー〉出身のバニャイアは、1997年1月生まれの22歳。Moto3時代から高い資質に注目が集まり、Moto2を戦う2018年はシーズン開幕前に2019年のMotoGPクラス昇格が決定する、という異例の超青田買いでも話題を呼んだ。そしてシーズン終盤には、きっちりとMoto2クラスのチャンピオンを確定した。

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 最終戦バレンシアGP終了後の2019年に向けた事後テストでチームに合流し、晴れて最高峰クラスのライダーとなった。このときのテストでは、ドゥカティのマシン特性をすでに把握したかのようなメリハリの効いたライディングで周囲を驚かせた。

 あまりに新人離れした走り方だったので、MotoGP昇格決定以降にドゥカティやチームからこっそりと試乗する機会を与えられていたのかどうか、彼をよく知るイタリア人ベテランジャーナリストの友人に尋ねてみた。すると、「たしかMoto3時代に、好成績を収めたご褒美として数周ほど最終戦後のバレンシアで乗ったことがあったはずだけど、それだけだよ」と笑顔で言下に否定。この言葉で、バニャイアに対する大きな期待はさらに大きくふくらんだ。

 年明け初テストとなった今回のセパンでも、バニャイアは期待に違わぬ走りを見せた。

 3日間の走行を終えて、トップタイムのドゥカティファクトリー、ダニロ・ペトルッチから0.063秒差の総合2番手タイム。チームメイトのジャック・ミラーや、ドゥカティ陣営のエース、アンドレア・ドヴィツィオーゾよりも上位のタイムである。ちなみに、ペトルッチ、ドヴィツィオーゾ、ミラーの3名が2019年仕様の最新ファクトリースペックである一方、バニャイアのマシンは型落ちの2018年型であることも付記しておく必要があるだろう。

「だいぶMotoGPライダーらしい走りをできるようになってきたかな」

 と、最終日の夕刻には今回のテストで学んだことを振り返った。

「最初は去年のようにコーナーで稼ぐ乗り方だったけど、しっかり止めて立ち上がりでキッチリ開けていくことが重要だとわかってきた。11月のテストで苦労していたブレーキも、だいぶうまくできるようになってきたよ」

 では、次にクリアするべき課題は何なのか、と彼に訊ねてみた。

「勉強することはまだたくさんあるよ。ユーズドタイヤでもっとコンスタントに走れるようにならないと、レースペースが上がらない。レースになれば、きっとタイヤの消耗も大きくなるだろうから、マップやタイヤの使い方を理解していかなきゃいけないと思うんだ」

 そして、今の自分はMotoGPライダーとしてまだ70パーセント、と言ってから、即座に65パーセントと訂正した。

「予選(の一発タイム)も大切だけど、やはり重要なのはレースディスタンスだからね」

 2019年のルーキーライダーは他に3名。ファビオ・クアルタラロ(Petronas Yamaha SRT)は、先日のコラムでも紹介したとおり、当初は2018年仕様での参戦が予定されていたが、急遽彼にも2019年型のマシンが支給されることになった。テスト2日目を終えたときに「最終日は2分の壁を越えるのが目標」と話していたが、その目標をきっちりとクリアして3日目は1分59秒497を記録した。

「アベレージは2分01秒台前半で、路面が60℃だったことを考えるとまずまずだったと思う」とひとまずは満足そうな表情で、次のカタールテストに向けた課題はブレーキングだと話した。

「今回は最終コーナーのブレーキングが課題だった。次のカタールは1コーナーのブレーキングがキツいので、そこをよくして深く突っ込めるようにしたい」

 クアルタラロよりもひとつ上の15番手でセパンテストを終えたのが、ジョアン・ミル(Team SUZUKI ECSTAR)。初日と2日目はやや苦戦傾向だったが、最終日には一気に1.390秒詰めて前進を見せた。「日に日に良くなって来て、多くのことを学習できた。今回のセパンはとても充実したテストになった」と振り返ったが、ファクトリー3年目のチームメイト、アレックス・リンスから0.306秒差という部分にも、彼がこの3日間で進めてきた順応がよくあらわれている。

 ミゲイル・オリベイラ(Red Bull KTM Tech 3)は、コンセッション(優遇措置)適用中のKTMマシンで戦うため、他のルーキー3名と比較して不利な状況は否めないが、小排気量時代から落ち着いた走りと冷静なレース戦略には定評があった。今回のテストでもファクトリー2名と遜色ないタイムで走っていた内容は、彼の高い資質を雄弁に物語っているといえそうだ。

 彼ら2019年シーズンのルーキー4名は、きっと数年後には最高峰クラスの中核を占める重要なライダーへ成長を遂げているはずだ。今のうちから彼らの走りに注目しておくことを強くおすすめしたい。

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