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スポーツ 2019.1.8

MotoGP:ロレンソが明かすドゥカティに留まらない理由。特性異なるマシンへ適応して見せた技術

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 2018年シーズン限りでドゥカティを去り、2019年からレプソル・ホンダに移籍するホルヘ・ロレンソ。そんなロレンソに、イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーがインタビューを実施。ヤマハからドゥカティと特性がまったく異なるマシンに乗り換えたロレンソは、どのようにしてライディングスタイルを変容させていたのだろうか。また、ドゥカティに留まらなかった理由とは。

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Q:2016年にMotoGPが共通ソフトウェアとミシュランタイヤに切り替えた時、君にとって状況はどのくらい変わった?

ホルヘ・ロレンソ(以下ロレンソ):とても大きく変わったね。2015年の終わりと2016年の初めに新しい電子制御とタイヤをテストしたが、大きな変化があった。なぜなら僕が新しい電子制御とエンジンブレーキを試した最初の数回は、常にリヤタイヤがロックしてしまった。ソフトウェアが旧式で性能が良くなかったからだ。バイクを乗りこなすのが難しかった。多くのエネルギーを消耗し、約2秒は遅くなったけど、状況は少しずつ良くなっていったよ。

そして、ミシュランタイヤだ。最初の頃はリヤタイヤに大きなグリップがあり、フロントにはほとんどグリップがなかったから、プッシュしようとするたびに、2周目か3周目でクラッシュするんだ。

他のライダーたちもクラッシュが多かった。中速コーナーでスロットルを開ける時にね。そしてミシュランはリヤグリップを減らし、フロントタイヤを改善した。だから状況は少しずつ安定していったんだ。

それと同時にすべてのチームがミシュランタイヤのシステムをできるだけ良いものにするために、共通ソフトウェアに取り組んだ。バイク自体もエンジンとシャシーが改善された。タイヤはコース次第だった。でも電子制御はいまだに以前(共通ECUになる前)と同じレベルには達していないね。

Q:君はヤマハにいた2015年は7回優勝し、2016年は4回優勝した。つまりヤマハはミシュランタイヤに大分苦戦していたということ?

ロレンソ:ホンダは2016年の序盤、加速の点で(電子制御のセットアップがうまくいかずに)苦戦していた。2016年の僕たちは強かったけれど、電子制御よりタイヤの方が大きな問題だった。フロントタイヤの感触がなかったんだ。

2016年は難しい状況だった。そして(2016年4月の第2戦アルゼンチンGPでスコット・レディングがリヤタイヤをバーストさせた後)ミシュランがより硬いリヤカーカスを導入した時に、さらに問題を抱えることになったんだ。

(2016年の)プレシーズンテストで僕はとても速かったけれど、ミシュランがより硬いタイヤを持ち込み始めた時から、僕は弱くなってしまったと言える。僕たちは電子制御については問題なかった。でもホンダがミシュランタイヤでの電子制御を大きく改善した。一方でドゥカティはすでに共通ソフトウェアでうまくいっていたから、シャシーのような他の領域を改善していた。

Q:新技術に対してどのようにライディングスタイルを変えていった?

ロレンソ:ヤマハにいた頃はそれほど変えていない。ミシュランのフロントタイヤの問題は、コーナーに進入する際にフロントを失いたくなかったら、ストレートでブレーキングして、そしてフロントブレーキをリリースしなければならなかったことだ。

ブリヂストンのフロントタイヤはブレーキングの際にハードにプッシュし、最後の瞬間までブレーキングを維持できる可能性があった。ほとんど完全にバイクを傾けているときにね。ミシュランタイヤではそれはできない。コーナー進入時にバイクをブレーキングでより減速させ、中速コーナーでのスピードを利用して、リヤタイヤでコーナー立ち上がりに備える必要がある。

Q:ドゥカティでの君のライディングスタイルはどうだった?

ロレンソ:(ドゥカティでの)僕たちはいまだにコーナー中盤で苦戦している。なぜならリヤタイヤは常にフロントタイヤよりもよりグリップがあるし、フロントタイヤは常にプッシュしている。だからコーナーを走るときは大幅に減速する必要がある。これは大きな問題だし、ドゥカティのバイクは僕のスタイルでは簡単には走れない。

ドゥカティのバイクは非常に特別なんだ。なぜならバイクを傾けることができないからだ。ある傾斜をつけると、バイクは曲がりにくくなる。他のバイクでは、傾ければ傾けるほど曲がりやすくなる。でもドゥカティではある超えられない限界があるんだ。

Q:それはなぜ?
ロレンソ:分からないんだ。

Q:では君はコーナーをできるだけショートにしている?

ロレンソ:ドゥカティでは、バイクの安定性を活かすことでラップタイムを出す必要がある。エイペックス(コーナーの内側の頂点)にすぐに到達し、バイクを傾けている時間を少しでも短くする。そして加速を活かすんだ。

Q:君のライディングスタイルと正反対だから、君にとって大きな違いだよね?

ロレンソ:そうだね。僕は1年以上も学ぼうとしていた。バイクをさらに傾けようとした。でも傾けるほど僕はコーナー中盤で遅くなったんだ。

Q:それはどうやって解決したの?

ロレンソ:分からない。でも僕のデータと(アンドレア・)ドヴィツィオーゾと(ダニロ・)ペトルッチのデータを比較したら、彼らはコーナー中盤でより小さい傾斜をつけていて僕よりも速かったんだ。なぜなんだろう? 僕は理解できなかった。どうやったらそんなことが可能なんだろう? でも、そんな感じだったんだ。

Q:リヤブレーキはどのように使うの? コーナー進入時により多く使う? それともバイクをコーナー中盤に進める時に役立てる?

ロレンソ:ドゥカティでは特にコーナー進入時にリヤブレーキを多用しなければならない。なぜなら両方のタイヤがライン上にあってスライドせず、バイクはグラベルに直進していこうとするからだ。だから、コーナーに入るときに正しい方向へ進ませるため、リヤタイヤでボートのように向きを変えてバイクを進める必要があるんだ。

Q:君がドゥカティで初めて優勝を飾ったムジェロでは、コーナー進入の技術をどう変えたの?
ロレンソ:それはフロントタイヤを労わることにつきる。スピードの問題というよりは、タイヤを保たせることが問題だったんだ。タイヤを保たせるためにどう改善したかは、僕のテレメトリーを見ないといけない。理解するのは難しいかもね。

Q:誰もがフロントとリヤタイヤをより労ろうと考えるようになったのはいつからだろう?

ロレンソ:ある時点まではスムーズに走らせないといけない。ただ、あまりにスムーズだとバイクを止められないし、曲がることができなくなるから遅くなってしまう。妥協しなければならないポイントがあるんだ。

ミシュランタイヤはある領域では僕に合っている。たとえば、加速の段階だね。僕は(バイクの)加速するポイントでとてもスムーズにスロットルを使う。

一方で、ブリヂストンタイヤは僕の戦略と狙いにより合っていた。なぜなら、最初のコーナーから最後のコーナーまで同じペースでプッシュできる可能性があったからだ。僕は狙いをつけて集中するのが得意だ。ミスはほとんどしない。だからライバルたちが僕に追いついて抜くのは難しかった。

今ではすべてのライダーがタイヤを労わり、レースの序盤の4分の3は80パーセントのスピードで走らなければならない。それからアタックするんだ。このことが理由で、今のタイヤは僕には一層合わないものになっているかもしれない。

Q:君はミシュランタイヤが自身の戦略に合わないと言った。そのことを解決するのにどれくらい長くかかった? 2017年はいくつかのレースでは首位だったのに、後半で勢いが衰えたでしょう?

ロレンソ:2017年は、自分の戦略を変えて結果を改善することができなかった。なぜなら僕にはペースがなかったし、2018年シーズンに得た知識がその時はなかったからだ。2017年にはあるコーナーでのドゥカティの乗りこなし方が分からなかった。それにタイヤをどう労ったらいいのかも分からなかったんだ。だから唯一可能だったのは序盤でできるだけ速く走ることだった。なぜなら序盤の周回ではタイヤの感触が他のライダーたちより良かったから、差をできるだけ広げようとしていた。

2018年はより多くの知識があった。バイクとタイヤについてより経験を積んだからね。ブルノでは(ロレンソが首位争いをし、ドヴィツィオーゾから0.178秒遅れでフィニッシュした)レースの最後までタイヤを労わる新しい戦略を試した。だから今では他のコースでも同じ戦略をとるだろうね。良い戦略だ。今では良い結果を出すためのやり方がたくさん分かっているからね。

Q:君にはデスモセディチGP18でのブレーキング中に人間工学的な問題があったけれど、GP17ではどうだった?

ロレンソ:2017年中は燃料タンクの問題はなかった。ドゥカティの乗り心地の問題だったんだ。GP18でプレシーズンテストを始めた時に、僕はこの燃料タンクは助けにならないと不満を言い始めた。

Q:GP17とGP18の主な違いは何?

ロレンソ:すべてだね。シャシーもエンジンも違う。エンジンがスムーズになり、バイクは曲がりやすくなった。曲がりやすくなったけれど、大抵の場合、何か新しいことを試す時にバイクは100パーセント良くはならない。10点中7点か8点は改善できるかもしれないけど、2点か3点はうまくいかないかもしれない。GP17に乗っているライダーたちの何人かがあるコースではとても速かったのはそれが理由だ。一部のコースでは旧型のバイクの方が速かった。

2018年、僕たちはこれほど違うバイクに乗り換える難しさを過小評価していたんだ。フルレースの距離を乗りこなせるようになった最後の要素は、ムジェロで導入した改良型の燃料タンクだ。ムジェロの前と後では、僕にとってはふたつの違うチャンピオンシップのようだった。

僕が(2019年シーズンに)ドゥカティにいない訳は、人々が僕の結果を見て能力を過小評価したからだ。彼らは短期的に考えていて、僕が過去に成し遂げたことを忘れていたんだ。悲しいことだね。僕たちはともにより素晴らしい結果を達成できたはずなのに。

ドゥカティに僕が残していくものは、バイクを改善するためにより多くの道があるということ。彼らは今、それを知っている。

僕に残されたものは、僕が異なるバイクに合わせてライディングスタイルを完全に違うものに変えることができ、競争力を発揮することができると分かったことだ。このことを次のチームに持ち込めることを願っているよ。

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