マクラーレンのカスタマイズ部門である”マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)”は、アイルトン・セナの初タイトルから30年という節目の年を記念して、当時のセナの愛機であるマクラーレン・ホンダMP4/4の意匠をまとったP1 GTRを生み出した。
このP1 GTRは、1980年代から1990年代中盤までのマクラーレンの代名詞とも言える、マールボロのカラーリングで彩られており、MSOによってマクラーレンのコレクターのために3年をかけて作られたものだ。
【ギャラリー】MP4/4のカラーリングをまとった特製マクラーレンP1 GTR
MP4/4のカラーリングをベースとしているが、随所にセナの母国であるブラジルの国旗やセナのロゴが踊っている。またカーボンファイバー製のモノコックには、セナが残した次のような言葉が入れられている。
「2位や3位でフィニッシュするように生まれてきたわけじゃない。勝つためだけに生まれてきたんだ」
しかし、カラーリングだけが特別なわけではない。サーキット専用車であるP1 GTRをベースに、50kgの軽量化とダウンフォースの向上が図られているという。
エアロパッケージの再設計により、ダウンフォース量は600kgから800kgに増加。フロントのスプリッターやガーニーフラップなどが追加されている。エンジンルームには24金のヒートシールドが使われ、強化されたエンジンカバーが取り付けられている。
車内も改修。シートはP1 GTRの標準的なレーシングシートを、マクラーレン・セナのために開発されたモノに置き換えている。
エンジンはP1 GTRと同様3.8リットルのツインターボエンジンを搭載するが、オリジナルモデルの968bhpよりもパワーアップされている。
このMSO特製のマクラーレンP1 GTRは、セナの家族や友人が使っていたセナのニックネームである”ベコ(Beco)”と名付けられた。
MSOのマネージングディレクターであるアンサール・アリは、このマシンについて次のように語っている。
「我々のブランドの素晴らしい歴史に敬意を表する、このようなチャンスを手にできるのは、素晴らしいことだ。特に今年は、アイルトン・セナがマクラーレンと共に初めてF1のタイトルを勝ち取ってから、30年目の年なのだ」
このスペシャルなP1 GTRにインスピレーションを与えたマクラーレン・ホンダMP4/4は、1988年にセナとアラン・プロストが走らせたマシン。16戦15勝という圧倒的な強さを見せた。デザインしたのは、天才デザイナーのひとりに数えられるゴードン・マーレイである。
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