ヒュンダイのチーム代表を務めるアラン・ペナスは、WRC最終戦ラリー・オーストラリアのSS3でアンドレアス・ミケルセンがクラッシュした件について、その直前にミケルセンが”謎のトラクター”に遭遇したことが一因となったと主張している。
SS2を終えてトップから5.9秒差の総合9番手につけていたミケルセンは、SS3を走行中になぜか路肩を走るトラクターを発見。なんとかこれを避けたものの、その後の高速コーナーでスライドし、ディッチ(くぼみ)にハマってしまった。その衝撃でミケルセンのマシンはエンジンにダメージを負ってしまい、デイリタイアを喫している。
■WRC日本ラウンド、2019年の復活ならず……その背景には一体何があったのか?
謎のトラクターの正体は、コースの整備を担当する主催者側の車両。ミケルセンの直前を走行していたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ)が、藁束で作られたシケインで接触し、藁束を動かしてしまったために、件のトラクターがその修復作業を行なっていたということだ。
ペナスはmotorsport.comに次のように語った。
「彼ら(ミケルセンとコドライバーのアンデルス・ヤーゲル)は取り乱してしまい、お互いに『ステージはキャンセルされたのか? ステージは安全なのか? 僕たちはどうすればいいんだ?』と話し合っていた。そしてそこから1km進んだところで、クラッシュしたんだ」
「間違いなく、それ(トラクター)が彼らの集中力を乱した」
「おそらく彼らは一旦減速して、頭を切り替えてから走り出すべきだったんだろう。だがこのような事態が起こるべきではなかったのは間違いない」
「現場のマーシャルは、(各車の走行間隔である)3分の間にトラクターでステージに入り、シケインを動かしてステージから出て行くことを決めた。ラリーコントロールからは、彼らが現場の判断でそうしたと説明された」
この問題について主催者と話し合ったペナスは、ミケルセンがデイリタイアという結果となったことに怒りを覚えているようだ。ミケルセンのマシンは修復作業中であり、走行に復帰できるかはまだ分かっていない。
ヒュンダイは現在、マニュファクチャラーズランキング2位。12ポイント差で首位のトヨタを追っているが、序盤に3台のうち1台を失ったのは、逆転タイトル獲得に向けて大きなダメージとなる。
「我々はまだマニュファクチャラーズタイトルを争っている。だが今、我々に残っているマシンは2台だ」とペナスは話した。
「アンドレアスのスプリットタイムはマイナス5.3秒と速く、SS3は彼が獲るはずだった。彼はこのステージでいつも調子が良かったんだ。我々はどうすればいい?」
ラリー・オーストラリアのスポーツディレクターであるエイドリアン・スタフォードは、次のように声明を発表している。
「15.70kmのSS3には藁束で作られたシケインがあったが、カーナンバー7(ラトバラ)が接触した結果、藁束によってステージが部分的にブロックされてしまった」
「ステージの外、近くの駐車場にトラクターが止めてあった。オーガナイザーからの指示はなかったが、(トラクターの)ドライバーがステージに入り、藁束を再配置した」
「トラクターはシケインを修理した後、路肩を移動し始めた。その後、カーナンバー4(ミケルセン)がシケインを通り過ぎた。トラクターは部分的に道にはみ出していたが、カーナンバー4とトラクターは接触しなかった」
「カーナンバー4はステージに沿って約1.20km走行し、高速コーナーイン側の溝に落ちてしまった。その後すぐに、ダメージによってマシンは止まっている」
「オーガナイザーは、ラリーへのさらなる介入がないよう、トラクターをコントロールしている」
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