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スポーツ 2018.11.15

ヤマハ中須賀が全日本ロード“絶対王者”たる理由。目指すは「優勝のさらに上」

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 全日本ロードレース選手権の最高峰・JSB1000クラスで、中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が8度目のチャンピオンを獲得した。2018年シーズン開催された決勝12レースのうち、8勝。圧倒的な強さの彼は、まったく満足していない。

 敵なしの状態を、中須賀は喜ばしいとは思っていない。37歳の彼は、ひたすら待ち続けているのだ。自分を脅かす若武者の登場を。チャンピオンを決めた最終戦・鈴鹿大会で発した彼の言葉の数々は、若手のいっそうの奮起を望む切実な思いに満ちていた。

    JSB1000最終戦でヤマハに一矢報いたホンダ。2019年シーズンは雪辱を果たせるか/全日本ロード

 恐らく中須賀は、ひどく孤独だ。もう長いこと、彼は自分とだけ戦っている。たったひとつしかない頂きに立ち続け、時にはそこから墜ちることがあっても、彼の敵は彼でしかない。自分に打ち“克つ”というひとりきりの戦いは、今年も変わらなかった。1年離れていた王座に腰かけた中須賀は、少し寂しげでもあった。

 全日本ロードレースの最高峰・JSB1000クラスで自身初のタイトルを獲得した2008年、彼は27歳だった。そして8度目の戴冠を果たした今年、2018年の中須賀は37歳になっている。この11シーズンで8度のタイトル。2015年にヤマハがファクトリー体制になって以降は飛躍的に勝利数が増えた。2015年から2018年の4シーズンに行われた決勝全36レースで、26勝。勝率は7割を超える。“向かうところ敵なし”は、数字にも表れている事実だ。

 チャンピオンを決めた中須賀は、笑いながら「ずっと若手のつもりでいたけど、いつしかいい年になってました」と言った。そして、「現役もいつまでやっていられるか分からないけど、やってる間はタイトルを獲るつもりで戦います」と、変わらぬ意欲を見せた。

 彼にはふたつのモチベーションがある。ひとつは、若手の目標となることだ。中須賀は常日頃から「若手の本気のチャレンジを待っている」といった内容の発言を繰り返している。

「僕も負けるつもりはない。お互いが切磋琢磨することで、日本のバイクレースはもっとレベルが上がる」と。それはつまり、“おまえらまだまだ本気度が足りないぞ”という先輩としての激励だ。

■「優勝を狙っていては勝つことはできない」
「レースは事前の準備がすべて。レースウィークにサーキットに入った時点で、勝負は決まっている。常日頃からどれだけ本気でレースに取り組んでいるかが重要なんです」と中須賀。「自分が若手のモノサシになれれば」と中須賀は言うが、それはライディングのことだけを指しているのではない。レースに対する本気の心構えも含めて、レーシングライダーとしてのあり方を示しているのだ。

 もうひとつのモチベーションは、「もっと上に行きたい」という彼自身の情熱だ。中須賀は、「2位や3位を狙っているようでは、2位にも3位にもなれない。優勝を狙っていては、勝つことはできない。勝つためには、優勝のさらに上を目指さなければ」と言う。

 全日本ロード最高峰クラスで8度もタイトルを獲得し、日本最大のバイクレースである鈴鹿8時間耐久ロードレースでも4連覇を成し遂げている中須賀にとって、ターゲットにすべき冠はもはや日本にはない。彼にとっての「さらに上」は、世界だ。

「世界に出て戦いたいという気持ちは、常に自分自身の中にあります」と中須賀。

「なかなか実現できずにここ(日本)に留まっている状態だけど、世界を追い求めているからこそ今の結果があると思っています」

 ヤマハMotoGPマシン・YZR-M1の開発ライダーを務めている中須賀は、MotoGPにスポット参戦を繰り返してはいる。だが、世界選手権へのフル参戦経験はない。

「年齢的に厳しいことは分かっている」と37歳の中須賀は自認する。それでも世界を目指して努力を続けるのは、より高い目標を設定し、そこに向けて努力することこそが自分を高める唯一の道だということを知っているからだ。

 だが、そういった世界への熱意すらも、「次世代のための足がかりになればいい」と中須賀は考えている。

「世界を目指してチャレンジし続けていることで、僕はMotoGPにもスポット参戦できている。それが少しでも若い選手たちのチャンスにつながったり、(世界への)道を作ることになればいいなと思ってます」

 現在唯一の日本人MotoGPライダーである中上貴晶の名を挙げながら、日本人ライダーが少しでも世界で活躍する姿を見せることが後続のためになる、と中須賀は語った。

 自分のための戦いという次元に、もはや彼はいないのだ。彼が望んでいるのは、若手の踏み台になることだ。彼が待っているのは、自分を踏み倒す力強い若手の登場だ。Team HRCで念願のファクトリー体制を獲得した28歳の高橋巧。Kawasaki Team GREENで最強の呼び声が高いZX-10RRを走らせる28歳の渡辺一馬。そしてYAMAHA FACTORY RACING TEAMのチームメイトで同じYZF-R1を駆る23歳の野左根航汰──。彼らが死に物狂いで中須賀に勝負を挑み、全力で王座を奪い取り、世界へと大きく羽ばたくその時を、中須賀は待ち望んでいる。

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(AUTOSPORT web )

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みんなのコメント

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  • ken*****|2018/11/15 23:58

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    国内レースを全く見ないので気が付きませんでした。
    中須賀選手、未だに現役だったのですね。
    もう38歳ですか。

    同年代ではMotoGPにフル参戦していた選手もいましたからね。

    若手の踏み台になる、心意気が素晴らしいです。
    広島カープに戻ってくれた黒田元投手と同じ感覚なのでしょうか。

    それにしても日本人ライダーが育たない。
    いくつか理由はあるでしょう。
    商業的にレースが浸透していない、スポンサー企業が少ない(国際レースでも同じ傾向だが)、当然プロライダーも少ない、そもそも気軽に参加できる草レースが少ない、などなど。
    メーカーとしてファクトリーチームとして世界トップクラスの実績があるにもかかわらず、世界で通用する選手はこれまでにも指折り数える程度。

    日本においてはモータースポーツが文化になる事は無いのでしょうかね。
  • mog*****|2018/11/15 21:26

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    星野一義さん状態ですか。
  • koh*****|2018/11/16 08:52

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    本当のところはわからないが、本気で世界で戦いたいのであればこれまでにもチャンスはあったはず。特にヤマハがSBKに復帰した年なんかは。スポット参戦とフル参戦では全く違う!

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