最近のF1は、どのグランプリへ行っても金曜日の走行では驚くほど、多彩なメニューを行っている。週末に向けての大事な金曜日の練習走行ではあるが、基本的にFP1はサーキットの路面ができていないので、レースセッティングの細部を詰める作業は行えず、イニシャルチェックとエアロテストがおもな走行目的になっている。
そして近年では、特にシーズン後半にもなると金曜日のFP1では多くのチームがヤング・新人ドライバーを走らせてスキルを磨かせたりする。
【津川哲夫の私的F1メカ】マシンの後部で基本性能を左右するギヤボックス・ケーシング
実際、FP1テストではその週末の開催レース用ではない走行テストをすることが多く、現実には近未来のレース用部品などのテストをすることが多くなっている。現在、シーズン中に行えるテストが限りなく制限されているために、実走での開発テストはこのFP1でしかできないのが現実だ。
したがって、この時間帯では数多くのマシン、パーツテストがこなされてゆく。もっとも多いのがエアロテストだ。路面が決まっていない状況とはいえ、同じ条件での比較テストは可能なため、新旧のパーツを代わる代わるテストすることが極めて多い。
FP1では各部にピトー管を装着したり、フロー・ビジュアライズ(境界層視認/通称『フリービズ』)ペイントと言われる、軽油に黄緑色などの蛍光ペイントを混ぜた塗料が使われていたりする。そして多くのエアロパーツがファクトリーでのCAD上、そして風洞テストを経て、サーキットで実走テストされるのだ。
これらのパーツはテストで効果が確認できれば、いずれはレースカーに搭載されるもの。画期的なパーツなどは搭載状態での遵法性も確認しておかなければならない。
ではこの金曜日のルノーR.S.18を撮影した写真、なにか変なところがないだろうか?
そう、よく見るとフロアフロント・バージボードそしてポッドエントリーダクト周辺のスラット処理が左右で異なっているのがわかる。もちろん、本来なら左右対照のものだ。
これはFP1で新旧両タイプをテストするために、各部の遵法性を確認するために車検場に並んでいるのだ。こうして見ると何がどう違うかが明確に確認できて実に面白いのだが、チームのエンジニアにとっては今後のアップデートの方向性がバレてしまうので、もちろん、見てほしくない状況のはずだ。
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