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31号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

掲載 更新
31号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

2018 AUTOBACS SUPER GT ROUND7
オートポリス
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
10月20日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:1万0550人
10月21日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:2万0380人

予選はまさかの最下位、戦略的なピットスタートからのレース開始

30号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

しっかりと追い上げて、10位でゴール!王座獲得に希望をつなぐ
 全8戦で争われるスーパーGTシリーズの第7戦、『AUTOPOLIS GT300km RACE』がオートポリスで開催された。今年もaprは2台のトヨタプリウスZVW51を走らせ、『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』を、新たにコンビを組むことになった、嵯峨宏紀選手と平手晃平選手に託すこととなった。

『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』の第2戦からの連勝記録は、前回のスポーツランドSUGOで接触が引き金となったクラッシュによって『4』でストップしたが、タイトルを争い合うライバルの多くが下位に沈んだこともあり、ランキング2位は依然としてキープし続けている。

 前回は90kgものウエイトハンデが予想以上に大きく影響を及ぼし、予選は12番手に留まった一方で、リタイアするまで入賞圏にあと一歩のところを走行。今回はウエイトハンデが半減し、45kgとなったからには再びの大暴れは必至。ノーハンデの戦いとなる最終戦に、王座獲得の権利を残して臨むことが期待された。

公式練習10月20日(土)9:00~10:38
 オートポリスは阿蘇の山あい、標高900mに位置するサーキットとあって、天候の変わりやすいことで大いに知られているが、このレースウイークは雨の心配こそなさそうだが、晴れたり曇ったりを何度も繰り返していた。

 曇れば寒いぐらいだが、陽がさせば着ていた上着を脱ぎたくなるほどで、とにかく寒暖差が激しかった。最初の走行となる土曜日の公式練習は上空が雲で覆われ、気温11度、路面温度は15度しかなく、この時期としてはミニマムともいえるコンディションではあった。

 今回も最初に、『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』に乗り込んだのは嵯峨選手。いつものようにコースオープンと同時に走行を開始し、チェックのみ行ってすぐピットに戻ってくる。最初のセットアップは入念に15分ほど行ってから、本格的な走行を開始。

 とにかく温度は低いから入念にウォームアップを行った後、まずは予選シミュレーションに取りかかることに。嵯峨選手は1分44秒294をマークして、その時点での3番手につけることとなった。それから3周後にピットに戻り、開始から40分ほど経過したところから平手選手の走行に。

 計測3周から4周で刻んで、そのたびピットでセットは詰められていく。そして、間もなくGT300専有走行のタイミング、というところで赤旗が出されて計測は中断。ちょうど平手選手はピットに戻ろうとした時だったので、特に支障を来すことはなかったのは何よりだった。

 ちなみに、それまでの平手選手のベストタイムは1分44秒562。すぐに再開され、そこからは再び嵯峨選手の走行に。そして、そのままチェッカーが振られるまで走り続けていた。最終的な公式練習の順位は5番手だった。

 続けて行われたサーキットサファリで、決勝セットの最終確認が行われ、前半は嵯峨選手が担当し、後半は平手選手が担当した。それぞれのベストタイムは1分47秒607と1分47秒326。5番手につけ、ドライバーふたりのバランスの良さも、今回の武器となりそうだった。

公式予選Q1 10月20日(土)14:30~14:48
 公式練習から予選までの4時間で、天候は激変して青空が広がるように。気温は15度とわずかに上がるに留まったものの、日差しが路面を強く照らしたことから、路面温度は34度にまで上昇していた。

 路面は若干ダスティだったこともあり、後半によりコンディションが向上するのは明らかだったから、Q1を担当する嵯峨選手は計測開始と同時に走行を開始したが、必要以上に熱を入れすぎないよう丁寧に周回を重ね、コース上で機が熟すのを待っていた。

 間もなく残り5分を切ろうというタイミングから、いよいよアタックを開始した嵯峨選手ではあったが、激しくコースを攻め立てる間に不運にも赤旗が……。残り5分間の計測、3分間の延長ですぐに再開されたが、すでに熱の入ったタイヤは本領を発揮してくれず。1分47秒974を記すに留まり、なんと最下位となってしまう。

 その後、赤旗の原因を作った車両はタイムを抹消、またペナルティを受けた車両もあったため、27番手に上がることになったが、厳しい状況には変わりない……。

嵯峨宏紀選手
 アタックの最中に赤旗が出てしまい、残念な結果になってしまいました。ただ、想定していたより路面温度が高すぎて、このコンディションでは難しいタイヤを選んでいたので、普通にアタックできていても、上位タイムでは無かったがQ1敗退は無かったと思う。

 想定外の状況をチームとミーティングして、少しでもいい方向に持っていけるようにします。落ち込んでもいませんし、もちろん諦めてもいませんから。

平手晃平選手
 全ては赤旗のタイミングでした。チャンピオンシップを考えてもかなり厳しい状況なのは間違いない。それでも諦めないのがaprの強さだと思います。僕も、同じ気持ちで明日は前向きに行きます。

金曽裕人監督
 それにしても、タイミングが悪かった。朝の絶好調からは想像ができない。さあ、最大限に知恵を振り絞り、何とか1ポイントでも取りに行けるように考えます。まだ、我々は終わったわけではない。

決勝レース(65周)10月21日(日)14:00~
 日曜日のグランドスタンドは超満員! さわやかな陽気に誘われたのか、当日券での入場者も多いというのも納得がいく。さて、スタート進行の始まりに行われる20分間のウォームアップは、今回もスタートを担当する嵯峨選手からの走行に。4周の計測で1分46秒785をマーク。

 ドライバー交代の練習も兼ねて、折り返しで交代した平手選手は1分46秒304を記して、3番手につけることとなった。だが、ここで明らかになったことがある。気温は17度、路面温度に至っては36度にも達しており、このタイヤでは平凡な結果しか望めないことを……。

 そこで急きょ作戦を変更。硬いタイヤに改めて、ピットスタートとする奇抜な作戦を取った。

『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』がグリッドに並んでいないことに気づいたアナウンスで、サーキットは騒然となるが、むしろ『チームの計算では、最後尾には2周で追いつくはずなので、もともとのグリッドを考えれば、大したロスにならないでしょう』と嵯峨選手。

 全車1コーナーをクリアしたところで『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』はピットを離れるも、オープニングラップにスピンした車両もあって、わずか1周で追い越し、さらに2周目には2ポジションアップ。ストレートの速いFIA-GT3こそ抜きあぐねる光景は見られたが、それでも嵯峨選手はオーバーテイクを続けていく。

 14周目には、ついに16番手にまで浮上! さらに18周目から22周目まで行われたセーフティカーランは、全体の差を詰めることともなった。

 リスタート後は、すでにミニマムの周回数を超えていたことから、タイヤの厳しくなった車両が続々とピットに入り、やがて2台のポルシェとランキングトップのBMWの背後につけるように。その時点での順位は7番手。

 ただ、車両の特性の違いからポルシェがなかなか抜けず、詰まったままでロスを抱えてしまえば、交代後の平手選手が追い上げられなくなるとチームは判断。そこで予定を早めて、29周目に嵯峨選手をピットに呼び戻す。

 タイヤを4本とも換えてコースに送り出された平手選手の視界は、その時点では良好。だが、最大の不運は、件のポルシェが2周後のピットの後、また『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』の前に現れてしまったことだ。

 それでも間に挟んだ1台をすぐに抜いて、ポルシェ追撃態勢に入った平手選手。全車がドライバー交代を終えた42周目は、ちょうどまた1台を抜いたところで13番手につけた。そして46周目には9番手を争う集団の背後にも。

 50周目には12番手、54種目にも11番手に浮上するが、またしてもポルシェの壁は厚い。ようやく前に出られたのは59周目の第2ヘアピン。ブレーキングでインを刺して、ついに10番手に浮上する。さらにもう1台にも迫っていったが、そこで無情にもチェッカーが振られることとなった。

 ランキングトップのBMWは4位でゴールしたことから、1ポイントを重ねても差は14ポイント、そしてランキングもひとつ落として3位となってしまったものの、まだ逆転のチャンスは残されている。

 最終戦のツインリンクもてぎは、『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』との相性も良く、しかもノーハンデの戦いだ。勝ってなお、ライバルの動向次第ではあるが、諦めることなく最善を尽くすことを、ドライバー、スタッフ全員が宣言した。

嵯峨宏紀選手
 ピットスタートということでご心配をかけましたが、トラブルではなくチームの戦略。最善の策というのがピットスタートだろうと。目論見どおり2周目には最後尾に追いついていたので、ほぼほぼピットスタートのロスはない状態でした。そこからは1台、1台丁寧に抜いていきました。

 中にはストレートの速いGT3が何台かいて、抜きどころを抑えられて苦労した場面もあったんですが、500の車両が来たタイミングなどをうまく使いながら、頭を使いながらレースをやっていました。

 その後、晃平選手も抜いてきてくれて、1ポイント獲得することもできました。(チャンピオンの)可能性がないわけではないので、最終戦に向けては僕らができる最善を尽くします。

平手晃平選手
 ピットのタイミングにいろいろあって、もうちょっと引っ張っていればBMWの真後ろで行けたかもしれません。でも、嵯峨選手がタイミング悪くポルシェに、BMWと一緒に2周ぐらい引っかかっていたから入れざるを得なかった。

 我々が入った直後にポルシェがペースを上げれたのが効いてしまって、向こうが戻ってきたのが僕の前だったから、また抜けずで……。本当に運がないというか、ちょっと展開に恵まれなかったですね。

 でも、みんなで頑張って18ポジションアップの10位で1ポイント獲れたし、まだチャンピオンの芽はないわけではないので、最後に得意のもてぎでしっかり優勝し、あとは他の結果、待ちましょうって感じです。

金曽裕人監督
 いちばん大きなポイントはタイヤ交換しピットスタート作戦。予選で赤旗が出てタイヤの一番いいところがなくなってしまったのと、昨日の温度に翻弄されすぎて、タイヤが少し柔らかめだったので。決勝はコンスタントに走りたく、硬めのタイヤにしようと。

 あのワースト順位ですから、あまり影響を及ぼさないと判断して、決勝気温に最適なベストタイヤを入れることにしたのです。嵯峨選手が順調に抜いてきてくれて、平手選手につないだところで#55BMWもひとつ前に見えてました。

 ただ、抜きづらいポルシェに引っかかってしまったので、早めに入れることにしたのですが、また前に出てこられたのは誤算。結局、抜きあぐねている間に振り出しに戻って、10位がいっぱいでした。

 最終戦、逆境に立たされましたが、更にチャンピオンシップは面白くなったし、ファンの皆様も楽しみでしょうから、可能性の残っている限りは僕らは最終戦、勝つしかないと思っています。aprの底力と執念を皆様にお見せできればと思います。

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