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WEC富士:セーフティカーに翻弄された一貴とバトン。ロッテラーは表彰台獲得も「退屈だった」

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WEC富士:セーフティカーに翻弄された一貴とバトン。ロッテラーは表彰台獲得も「退屈だった」

 10月14日に富士スピードウェイで6時間の決勝レースが行われた2018-19年のWEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”第4戦。戦いを終えて、総合2位を獲得した8号車トヨタTS050ハイブリッドの中嶋一貴、総合3位を獲得した1号車レベリオンR13・ギブソンのアンドレ・ロッテラー、総合4位を獲得した11号車BRエンジニアリングBR1・AERのジェンソン・バトンがレースをふり返った。

■一貴「いい流れが水の泡になったところはある」。8号車と明暗分けたセーフティカー
 一貴はウエット路面やセーフティカー導入などで荒れた展開となったレース序盤と最終スティントで走行。8号車トヨタをドライブするドライバーのなかで最多となる121周を走行した。

【順位結果】2018/19年WEC第4戦富士 決勝暫定結果

 特に一貴はレーススタート直後からペースを上げてギャップを構築。一時は2番手の7号車トヨタに対し、1分以上のリードを築いてみせる。

 しかし、スタートから30分が過ぎたころに、LM-GTEアマクラスの70号車フェラーリ488 GTEの右リヤタイヤがホームストレートでバーストしてクラッシュ。散乱したマシンのパーツなどを回収するためセーフティカーが導入され、レースが一度リセットされることに。加えて、このセーフティカーラン中に3号車レベリオンR13・ギブソンがクラッシュしたことが追い打ちをかけた。

「スタート時はウエット(コンディション)で(7号車とは)タイヤの選択も違いましたから、直接の比較はできませんけど、僕たちは正しいタイヤチョイスができていて序盤は順調でした」と一貴。

「僕たちのなかで(スタートタイヤは)ウエット以外の選択肢はありませんでした。そのあとセーフティカー中にインター(ミディエイト)に(履き)替えました。少し悩みましたけど、(タイヤを履き替えた)タイミングも良かったと思います」

「ただ、そのあとレベリオン(の3号車)がクラッシュしたことでセーフティカーランが伸びてしまって。その間に路面が乾いてドライコンディションになってしまいましたね。(このセーフティカーで)それまでのいい流れが水の泡になったところはあります」

 その後はアンダーステアなどに苦しみ、7号車トヨタに匹敵するペースで走行できなかった8号車トヨタ。結果的にトップと11.440秒差の総合2位でチェッカーを受けることになった。

「(路面が)ドライになってから少しペース的にキツイ部分もあって、最後は20秒くらいの差がつく場面もありました。ドライ(コンディション)のなかでは、こういう実力差だったのかなと。ラップタイムで負けていた部分もあったと思います」

「セーフティカーがなければ7号車に勝つチャンスはあったはず。1分くらいはリードしていたわけですからね。まぁ、こういうときもありますよ」

■対照的な言葉残したバトンとロッテラー。バトンは「スーパーGTでもやったことがない」と満足げ
 8号車トヨタの流れを変えたレース序盤のセーフティカーランを味方につけ、スポットライトを浴びたのがジェンソン・バトン擁するSMPレーシングの11号車BRエンジニアリングだった。

 バトンがスタートドライバーを務めた11号車はセーフティカーラン中にステイアウト。先行するトヨタの2台がピットに向かったため、22周目から32周目終わりの11周に渡り、ワークスチームを抑えて総合首位を走り、レース開始から1時間の節目をラップリーダーとして迎えたのだ。

 ただ、そのあとにルーティンのピット作業を終えると直近のライバルである1号車レベリオンR13に先行を許して総合4番手に後退したほか、レース途中にはオルタネータートラブルもあり、緊急のピットインを余儀なくされてしまう。

 チームはパーツを交換してトラブルを修復したが作業に8周を擁し、トップから11周遅れの総合4位でレースを終えた。

「この富士スピードウェイでは(2018年にフル参戦している)スーパーGTでもラップリーダーになっていないんだ。だから、それをWECで達成できてうれしい」とバトン。

「スタートはドライブしていて楽しかった。バトルもできたしね。ウエットタイヤでスタートして、ドライ(タイヤ)に履き替えるというストラテジーも正しかった。ただセーフティカーが僕たちにとっては裏目に出てしまい、レベリオンの後ろまでポジションを落としてしまった。それでも、レース開始から1時間を総合トップとして迎えられたことはうれしく思うよ」

「レース中はマシンバランスに苦しめられたし、オルタネーターのトラブルもあった。パーツを交換しなくてはならず、それで8周程度は遅れをとってしまった。それでも総合4位でフィニッシュできたことは驚きだ」

「オルタネーターの交換を終え、ニュータイヤを履いてコースインしたんだ。そこから15周くらいはトヨタの後ろを走り続けることができた。これまで僕たちは速いペースを維持し続けるだけの安定性を発揮できていないんだけど、あの15周はトヨタに引き離されることはなかった。楽しかったよ」

 総合4位で表彰台を逃しながらもレースを楽しんだというバトンと対照的だったのは、総合3位につけた1号車レベリオンのロッテラー。暫定表彰式終了後、会見場に現れたロッテラーは「リザルトは悪くないけど、予選と決勝のどちらも、燃料使用量を念頭にセーブした走りをしなくてはならなかった。こんな状態でトヨタと戦うのは不可能だ。退屈なレースだった」と言葉少なに、その場を後にした。

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